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今日は何の日?■5代目フェアレディZをマイチェンでパワーアップ
2005年(平成17)9月8日、日産自動車のフラッグシップスポーツ「フェアレディZ」の5代目(Z33型)のマイナーチェンジ行なわれた。6MTモデルの最高出力を従来の280psから294psに引き上げたほか、足まわりを強化するなど走りのパフォーマンスを向上させた。

日本を代表するスポーツカー、フェアレディZの歴史
日本でモータリゼーションが急速に進展した1969年、トヨタから発売されたスーパースポーツ「2000GT」は市場に大きなインパクトを与えた。ライバルの日産は「トヨタ2000GT」に対抗するため、高価なスポーツカーではない誰でも手の届く低価格のスポーツカーを目指して、1969年10月に「フェアレディZ(S30型)」をデビューさせた。

スポーツカーらしいロングノーズ&ショートデッキの美しいボディに、2.0L直6 SOHCおよびハイグレードにはDOHCエンジンが搭載され、最高出力160ps/最大トルク18.0kgmを発生し最高速は210km/hを誇った。
フェアレディZは、流麗なスタイリングとパワフルな走り、リーズナブルな価格によって日米で大ヒット。その後、1978年に登場した2代目(S130型)は、キープコンセプトでボディをやや大型化して居住性を重視した、より快適で使いやすいGTカー風に変貌。1983年に登場した3代目(Z31型)は、直6から新世代V6に変更し、リトラクタブルヘッドライトを纏った精悍なフロントマスクが特徴だった。
そして、1989年に登場した4代目(Z32型)は、超スラントヘッドライトやショートオーバーハングなど洗練されたスタイリングが特徴。エンジンは、3.0L V6 DOHC(VG30型)でNA(自然吸気)とツインターボの2機種が用意され、国産初の出力自主規制値280psに達成したことで知られた。しかし、2000年8月に生産を終え、フェアレディZの名前は一旦途絶えることになった。
日産リバイバルプランの目玉としてフェアレディZが復活
販売が途絶えたフェアレディZだったが、ルノーと提携して再生を図っている日産にとって、スポーツカーとして世界的に確固たる名声を得ていたフェアレディZの復活は不可欠だった。そんな内外の復活を求める声の高まりを受け、日産リバイバルプランの車種展開の目玉として2002年7月に5代目(Z33型)がデビューした。

Z33型は、空力性能に優れた流麗なスカルプチャーデザインを採用、ボディは2シーターのみ。パワートレインは、出力規制値280ps/最大トルク37.0kgmを発揮する3.5L V6エンジン(VQ35DE)と6速MTおよび5速ATの組み合わせ。先代と同じ最高出力ながら、ターボでなく大排気量のNAを搭載し、ターボとは異なる太い低中速トルクによってスムーズかつ力強い走りが楽しめる大人のスポーツカーに仕上がっているのが特徴だ。
車両価格は、6速MTの標準グレードを330万円に設定。途中でロードスターを加えつつ、伝統のフェアレディZらしさと現代感覚を上手くミックスさせたZ33型は、世界中で高い評価を受けて世界累計販売台数は3年間で約16万台を達成するヒットモデルとなった。
マイナーチェンジでさらに走りに磨きをかけたZ33型
そして、2005年9月のこの日にマイナーチェンジが行なわれた。


マイナーチェンジでは、エアダクト径の拡大による吸気効率の向上やバルブタイミングのチューニングなどで、最高出力280ps→294psと14ps向上(※280ps出力規制は、2004年に撤廃)。最大トルクは、37.0kgm→35.5kgmへと1.5kgm低下。レブリミットは7000rpmまで余裕があり、エンジンを回せば回すほど加速が楽しめる仕様である。エンジンが変更されたのは6速MTのみで、5速ATについてはエンジンの仕様は変更されなかった。

外観については、基本デザインはそのままでフロントバンパーやヘッドランプの変更、高輝度LEDリヤコンビネーションランプや専用18インチアルミロードホイールを採用。内装は、手が触れる部位のソフト化やスイッチの配置変更、収納スペースを追加するなど、質感とともに使い勝手についても改善された。

さらに、デュアルフローパスショックアブソーバーや車速感応式パワーステアリングの採用により、ハイパワーを支えた。車両価格は、標準グレードが332.85万円に設定。その後も人気は衰えることなく、結局6年間で約25万台を販売した。

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その後フェアレディZは、6代目(Z34型:2008年~)が3.7L V6 (VQ37VHR)エンジンを搭載して336ps/37.2kgm、7代目(Z34型:2022年~)が3.0L V6ツインターボ(VR30DDTT型)エンジンを搭載して405ps/48.4kgmとパワーアップし、日本を代表するFRスポーツとして今も輝き続けている。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。




