6代目となる新型プレリュード、そのモチーフとなったのは空を翔けるグライダー

ホンダは2025年9月5日、新型「PRELUDE(プレリュード)」を発売する。販売計画は月間300台で、価格は617万9800円。

24年ぶりに復活を果たすプレリュードの新型は、電動化時代における「操る喜び」を追求したスペシャリティスポーツハイブリッドという位置づけ。発想の起点となったのは、大空を自由に舞うグライダーだ。「UNLIMITED GLIDE」というグランドコンセプトを掲げ、優雅な高揚感と非日常のときめきを提供することを狙った。

新型プレリュードのボディサイズは、全長4520mm×全幅1880mm×全高1355mm、ホイールベース2605mm。エクステリアデザインは低くシャープなフロントノーズと抑揚のある滑らかなボディライン、ワイドなスタンスが特徴となっている。外側に向かって駆け上がる細かいストライプを成形したマルチファンクションライトやフロントグリルのブラッククロームメッキ、ルーフレーザーブレーズ技術やガラスプリントアンテナの採用によるスムーズなルーフライン、そして「UNLIMITED GLIDE」を象徴するフロント/リヤバンパー下部のブルーアクセントなど、デザイン上のこだわりは多い。

ボディカラーは5色を用意する。「ムーンリットホワイト・パール」は次世代の電動車を象徴するプレリュードに相応しいカラーとして開発された新色で、マイカベース層の体積収縮率を高めることで乱反射を抑制し、強い陰影感を実現。膨張色である白色ながら、造形を際立たせてくれる。また、ホンダのサブスクサービスである「Honda ON」では、このムーンリットホワイト・パールとブラックルーフの2トーンカラーを限定で販売する。

インテリアは、運転席だけでなく助手席も快適な空間を目指したデザインを採用する。内装色のメインカラーである「ブルー×ホワイト」は上質な雰囲気で、「大人のクーペ」と称したくなる仕上がりだ。やわらかな陰影のホワイト表皮には「PRELUDE」のロゴが刺繍されるほか、足の出し入れを考慮したドアライニング形状など、細やかな造り込みも目を引く。

運転席はホールド性を重視、助手席は包み込まれるような快適性を実現するなど、シートを左右で作り分けているのも特徴だ。運転席に座ってみると、低く水平基調のダッシュボードがもたらす良好な視界、Dシェイプステアリングやメタル製のパドル、プレリュード専用のフルグラフィックメーターといった要素が気分を盛り上げてくれる。

インパネ中央上部には、9インチサイズのHonda CONNECTディスプレイを配置する。Googleを搭載しており、GoogleアシスタントやGoogleマップ、Google Playといった機能が利用できる。また、8スピーカーのBOSEプレミアムサウンドシステムを標準装備。独自技術「Dynamic Speed Compensation」により、車速に応じて音量と音質を自動調整し、快適なリスニング体験を提供するという。

パワートレインにはホンダ独自の2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」を搭載。さらにホンダ車初の「Honda S+ Shift(エスプラスシフト)」を採用し、仮想的に8段変速を再現することで、モーター駆動でありながらダイレクトな駆動レスポンスと変速感を実現し、さらにエンジン回転数と同期した迫力のある音をスピーカーから再生するアクティブサウンドコントロールも相まって、ドライバーの五感を刺激し、一体感を高める工夫も盛り込まれた。

さらに、グライダーの滑空を模したかのような「コースティング制御」をホンダ車で初採用したり、ドライブモードは「SPORT」「GT」「COMFORT」に加えて、6項目をカスタマイズできる「INDIVIDUAL」を採用するなど、走りに関する機能が充実している。

シャシーはシビック タイプRをベースに専用セッティングを実施した。旋回性能に優れたデュアルアクシス・ストラットサスペンション、減衰力可変式のアダプティブダンパー、VGR(可変ステアリングギアレシオ)、リニアなフィールと耐フェード性に優れたBrembo製ブレーキ、空洞共鳴音を吸収するノイズリデューシングホイール(19インチサイズ)などを採用するほか、ホンダ車として初めてアジャイルハンドリングシステムの作動領域をブレーキング時まで拡大し、ターンインから立ち上がりまでシームレスなライントレースを可能とした。

パッケージ面ではワイド&ローのプロポーションにこだわりつつ、タイヤ外径の全高に占める割合をスポーツカーのトレンドラインである約50%に設定。また、ホイールベースは直進安定性、トレッド幅は旋回性と、両者の比率(アスペクトレシオ)は外観だけでなくダイナミック性能にも寄与するが、新型プレリュードでは両方のバランスを考慮したレシオ「1.6」に設定している。これはNSXやS2000、CR-Xなどホンダの歴代スポーツモデルも参考にしながら決められた数値だ。

新型プレリュードでは、日常使いへの配慮も行き届いている。テールゲート式となったことでアクセスしやすくなった荷室はスーツケース2個を搭載可能で、後席を畳めば9.5型ゴルフバッグ2個、ショートボードサイズのサーフボード2枚も呑み込む。また、床面ボードの下にも収納スペースを用意しているほか、床面ボードは立てて荷室の仕切り板として使うこともできる。先進安全運転支援システムの「Honda SENSING」も標準装備で、プレリュード専用セッティングが施されており、人の感覚に近い自然な制御を採用する。