足回りを中心にカスタムされたJB02モンキー125。

モンキー125は50cc時代と比べて圧倒的に大きくなった。そのため「これはモンキーではない」とおっしゃる50cc時代のオーナーもいるわけだが、乗ればサイズ以上に走りが良いことを痛感するはず。50cc時代のモンキーでも走りは楽しいが、それは無理な姿勢や乗り心地の悪さなどをひっくるめた「楽しさ」。それに比べモンキー125はバイクとしての完成度が高く、どのようなシチュエーションであっても走りを楽しむことができる。いわば少々小さなボディにバイクとしての楽しみ方が詰まっているモデルと言える。

ヒザ擦りを楽しまれていたのでタイヤの端までキレイに使っている。

走りが楽しいモンキー125だから、カスタムする方向性として足回りに特化するケースが多い。車格に対してエンジンパワーは十分なので、より積極的にコーナリングや長距離を楽しむなら足回りをカスタムしたくなるからなのだ。カスタムモンキーが550台以上も参加した2025年のモンキーミーティングには、やはり足回りを中心にカスタムされたモンキー125が大勢いた。その中でも本気でこだわっていると感じられた青いJB02を紹介しよう。

吸排気の変更とハイカムを組んだエンジン。

なぜ本気のこだわりと感じられたかといえば、タイヤの使い方がハンパではなかったから。前後ともキレイに端まで使っているのが手に取るようにわかるので、走りを突き詰めたオーナーなのだろうと声をかけさせていただいた。話を聞けばやはりで、オーナーの春川博孝さんは若い頃に峠へ通い詰め、ヒザ擦りを楽しんできたレプリカライダーだった。とはいえ51歳になった今ではヒザ擦りすることはなく、純正にバイクツーリングを楽しまれている。その相棒に選んだのがモンキー125だった。

マフラーはヨシムラ製を選んでいる。

しなくなったとはいえ元ヒザ擦りライダーである。ツーリング中の山道では存分にマシンを倒してコーナーを楽しんでいる。そこで純正への不満を解消するため、カスタムを施したそうだ。エンジンはビッグスロットルボディへ変更しつつ、マフラーをヨシムラ製に変更。さらにクリッピングポイント製のハイカムを組み込みエニグマで制御している。合わせてエアクリーナーを加工してラム圧が得られるようにしたのでエンジンパワーは十分以上になった。

ブレーキはブレンボ製2ポットキャリパーを選んだ。

問題なのは足回りでタイヤを端まで使うような走り方をすれば当然不満が出る。そこでフロントフォークは年式違いのケースを用いてレーシングブロス製インナーカートリッジでバネレートと減衰力を調整できるようにした。エンジンパワーが向上しているため、フロントブレーキもブレンボ製2ポットキャリパーとキタコ製ディスクローターで強化している。

リヤブレーキもブレンボ製キャリパーに変更している。

対してリヤはOVERレーシングのスタビライザー付きスイングアームに変更してカヤバ製リヤショックを組み合わせた。これで動きや剛性感は十分に得られる。またリヤブレーキにもブレンボ製キャリパーとブレーキングのディスクローターを組み合わせてフロントとバランスさせている。

左リヤショック付け根に装着したマスダンパー。

興味深いのは左リヤショックの付け根にある円筒状のパーツ。何かと聞けばRERACE PERFORMANCE製のマスダンパーで、内部でリヤショックの動きと逆方向に作用するもの。これを装着することで路面からの突き上げが大幅に改善され、路面状況を問わず落ち着いた挙動が得られるそうだ。

グロムのレーシング用ハンドルで抑えの効くポジションになる。

ツーリングライダーなのでポジションの改善にも積極的に取り組んだ。モリワキ製のグロムレーシング用ハンドルに変更して抑えの効くポジションとしつつ、ロッシグリップやZETA RACING製レバーで操作性を向上させた。またエニグマで燃調をセットするのに不可欠なKOSOの空燃比メーターを追加しつつ、メーター自体もOPMID製デジタルに変更している。

ゴールドアルマイトのバックステップはベビーフェイス製だ。

軽量化にも積極的でフロントフェンダーやリヤフェンダー、フォークガード、ライトステーなどはCAT’S FACTORY製のカーボンパーツに変更してある。また随所でチタンボルトと入れ替えてありルックスにも貢献している。さらにベビーフェイス製バックステップに変更してあり、SP武川製を加工したシートと合わせて自由なライポジが得られる。まさに走りを楽しむためにカスタムされたモンキー125なのだ。