「令和最狂のハチロク計画！」3S-Gターボで600馬力を叩き出すモンスター爆誕へ
フルチューン3S-Gで狙うは600馬力！
岡山国際に照準を合わせたタイムアタックウエポン
ドリフトやレースなど走ることに基本をおきながら、魅せるカーメイクにも強いこだわりを持つ広島県のイープライム。代表の大東英嗣さんは自身の車両製作を通して、己が信じる道を誇示する孤高のビルダーだ。
今回取材した87年式のAE86スプリンタートレノは、大東さんにとってはまだまだ道半ばの製作車両。だが、すでに隅から隅まで魂のこもったクラフトワークにはオーラが漂う。
「これとは別に4AGターボで作ったレビンがあるんですけど、そっちはある程度の完成形が見えたので、今度は岡山国際をターゲットにタイムを出せる仕様を作ろうと思ったのが始まりです。排気量アップは最低条件で、トヨタ車にはトヨタのエンジンを…と考えた結果、ビームスターボに辿り着きました」。
AE86にデュアルVVT-iを備えた3S-GE Beamsエンジンを搭載することを決意した大東さん。ターボ化を前提に、まずはSPLクランクや鍛造ピストンがキット化された戸田レーシングのキャパシティアップキットで排気量を2.2Lまでアップさせた。
また、エンジンルーム内のサイクルフェンダーも各製作車両でイープライムの個性を発揮するパート。今回は3Sのヘッドカバーに似せた形状で鉄板を切り出して製作した。微妙なアールの再現に苦労したそうだが、そこだけ見ても「大東さんの仕事だな」と思わせるシグネチャー的な役割を果たしている。
さらに、ボルトオンでは面白くないと自らエキマニを製作し、600psを想定するHKSのGT5565-BBタービンを装着。タービンハウジングとウエストゲートからニョキっと突き出るエキゾーストパイプ、インタークーラーとラジエターを水平にマウントする独自のレイアウトも構築していった。
サージタンクはオーストラリアのウェルドスピード製で、TAARKSのアダプターを使って電スロを装着。アクセルペダルは日産の純正品を流用している。水平にマウントしたインタークーラーはセトラブ、その下にあるラジエターはトラストだ。
オルタネーターを支える移設ブラケットを使用し、振動対策としてロスパフォーマンスのクランクダンパーも装着。ビレット削り出しのエンジンマウントはJSP製。AE86に3S-Gをスワップするためのビレットマウントが売っているところがアメリカらしい。お約束のマスターバックレスも美しく仕上げられている。
また、エンジンルーム内のサイクルフェンダーも各製作車両でイープライムの個性を発揮するパート。今回は3Sのヘッドカバーに似せた形状で鉄板を切り出して製作した。微妙なアールの再現に苦労したそうだが、そこだけ見ても「大東さんの仕事だな」と思わせるシグネチャー的な役割を果たしている。
カーボン製のダッシュボードを備え、不要な物はごっそりと排除したレーシーなインテリア。ステアリングはアメリカのレナウン製を採用している。同じくアメリカのJSPがリリースしているビレット削り出しのシフターを備え、アルテッツァ用6速MTのシフト位置を最適化。その前方には前後ブレーキのバランサーも装備する。
ホイールはワークのマイスターCR01。ワイドフェンダーに合わせたサイズ選定を行い、フロントが9.5Jマイナス9×15、リヤが9.5Jマイナス40×15という深リムを実現している。タイヤはアドバンA050。ブレーキはエンドレスのキャリパーを特注色で仕上げ、旧車っぽい雰囲気を出した。
ルーフパネルもカーボン製を導入して重心の低下を図っている。ドアミラーもクラフトスクエアのカーボン製。レーシングカーであっても、ディテールへのこだわりを忘れない。
大東さんがまだ完成度50％と語る理由は、現状ホーシングのままとなっているリヤエンドとサスペンションの作り変え、トランスミッションの変更も視野に入れているから。エンジンもラジエターとインタークーラーへの導風をもう少し工夫したいと、まだまだやりたいことが山積みだ。
「最終的なセッティングまで漕ぎつければ、タービンのポテンシャルを全部使い切って600psを絞り出したいと考えています。ショーでたくさんの人に見てもらったり、ドリフトは純粋に遊びとして楽しんだりできればいいと思うんですけど、レースはタイムとか順位とか数字で結果がはっきり出るじゃないですか。自分はそこを追求しながら、クルマを格好良くもしたい。やりたいことって、ただそれだけなんですよね」。
ただひたすらに我が道を行くビルダーは、これからも見果てぬ理想形を追い続ける。
PHOTO：Akio HIRANO／TEXT：Hideo KOBAYASHI
⚫︎取材協力：トータルクリエイト・イープライム 広島県広島市安佐北区白木町井原1990-1 TEL：082-205-1115
【関連リンク】
トータルクリエイト・イープライム
https://totalcreate-eprime.wixsite.com/e-prime
