先進技術で磨く痛快さ!
現代の技術で80年代のフィーリングを安定して楽しむ!
国産初のミッドシップスポーツとして登場したのがAW11だ。2シーターのショートホイールベースに1.6L自然吸気の4A-Gを搭載するパッケージは、アクセルに呼応する力強さと切れ味鋭い旋回性能を誇り、生半可なドライビングスキルでは思うように攻め込めないじゃじゃ馬マシンだった。

そんなライトウエイトMRを、フルコンや4スロ、電動パワステといった先進技術で研ぎ澄ましてきたのがM・Mさんだ。若い頃はクラウンなどのハイソカーに夢中で、スポーツカーにはまったく縁がなかったそうだが、知人から声を掛けられて「MR駆動と4A-Gの組み合わせを味わってみよう」とAW11を購入。しかし迎え入れた愛車はハイカム&ハイコンプ仕様のジムカーナ車両で、「街中を気持ちよく走りたい」という思いは見事に打ち砕かれてしまった。
「これぞ競技車両といったピーク重視の味付けで、アイドリングもままならないうえに、一度エンストすると再始動がなかなかできない。しかもAW11はパワステがないので、当初はまともに走らせることすら難しかったんです。そこで、アイドリング不調を改善しようと、フルコンの取り扱いで有名なインパクトに相談しました」と振り返る。


そこで導入されたのが、ハルテックのエリート750を用いたフルコン制御。さらに、オーバーラップによる脈動の影響を抑えつつレスポンスを高める4スロ化を実施し、扱いやすさと速さを兼ね備えた仕様へとアップデート。燃料系もアルテッツァ用300ccインジェクターを組み合わせ、シーケンシャル制御へ変更されている。
また、純正の重ステが扱いにくさを増していたが、タクティカルアート製の電動パワステを導入して解消。車速制御によってアシスト量を変化させ、低速域では車庫入れが楽になり、中高速ではフロントタイヤの接地感を感じ取れる安定したハンドリングを実現した。

もともとはアルミ製マウントプレートだったが、M・Mさんの遊び心でカーボンシートをあしらい、さりげないオシャレも加えている。

80年代車で頻発する電装系トラブルは、フルコン化に合わせてハルテックのリレー&ヒューズボックスを導入し、ハーネスを刷新することで完全対策。シンプルかつ無駄のない仕上がりは非常に美しい。

点火系も30プリウス用コイルを流用したダイレクトイグニッション化で強化。ディストリビューター自体は残しているものの、コイルやイグナイターを撤去することで、整然としたエンジンルームへと仕上がった。

4スロ化に伴ってワンオフ製作したエアタンクに、コンパクトかつ動作レスポンスに優れたホンダ製ISCVユニットを接続してアイドリングを安定させる。

20年以上前に組まれた4A-Gは慎重にセッティングされ、マージンを確保しながらも142ps&15.17kgmを発揮している。

足まわりにはジムカーナ仕様のクスコ製車高調が装着されていたが、街乗りに適した車高へリセッティング。扱いやすくなった現状に満足しているが、今後は長く乗るためにブッシュ類のリフレッシュを計画中だ。

電動パワステだけでなく、ディスプレイオーディオやマルチメーターを導入したインテリアは、オリジナルの雰囲気を崩さない進化系スタイルと呼べるクオリティだ。

購入時に付いていたバケットシートはヤレが目立っていたため、純正の7ウェイスポーツシートへ変更。ブラック×イエローのツートンが鮮やかなアクセントになっている。

ヘッドライトにはバス用のLEDライトユニットを装備。味わい深いハロゲン仕様も魅力だったが、視認性を最重要視し、雑然としたハーネスでHID化されていたヘッドライトをさりげなくアップデートしている。

「最新スポーツカーのような絶対的な速さはないですが、4スロの吸気音やマフラーサウンドを背後から聞きながら流すAW11は、それだけで十分楽しいんです。イジりすぎると逆にカッコ悪くなるので、80年代らしさを残した“ノーマル+α”のスタイルで楽しんでいきたいですね」とM・Mさん。
素性の分からない旧車にありがちな調子の悪さや乗りにくさを、フルコンを筆頭とした先進技術で解消。80年代のライトウエイトスポーツを輝かせるためのヒントが、このAW11には詰まっている。
●取材協力:インパクト 京都府久世郡久御山町野村村東91-3 TEL:075-754-7405
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