「遊ぶのにお金がかからない」GA2の真価
ドライバーを育てる素材としての“走りの素性”
1986年に登場した2代目シティ(GA1)は“トールボーイスタイル”を謳った初代から一転、ワイド&ローのフォルムにロングホイールベース採用と大きな変身を遂げた。そのマイナーチェンジモデルが1988年に発売されたGA2だ。
エンジンは1.2LのD12A型から1.3LのD13C型に変更。スポーティグレードCR-iと、上級グレードCZ-iにはPGM-FI(電子制御燃料噴射装置)仕様が搭載され、キャブレター仕様を18ps&1.1kgm上回る100ps&11.6kgmを誇った。

注目すべきはその車重で、CR-iで750~760kg、CZ-iでも760~780kg(いずれも5速MT車の数値)と、今時の軽自動車よりも圧倒的に軽い仕上がりとなっていたのだ。取材車両はCR-iベースでサーキット仕様として仕上げられた。
「今となってはパーツもなくなったけど、遊ぶのにお金が掛からないクルマ。ドライビングの練習に打ってつけやし、今でもモータースポーツ入門車としての魅力は大きと思うよ」とは、2023~2024年にEF8で四国ジムカーナR2クラスのシリーズチャンピオンを2年連続で獲得し、GA2で岡山国際を走るスペックD代表の土居さん。
今回の取材車両は土居さんがスペアカーとして保管していたものを、常連の近藤さんが「オレもGA2で走りたい!!」ということで譲った個体。オーナーの近藤さんは、K11マーチワンメイクレースの岡山国際シリーズ戦で初代チャンピオンに輝いた経歴を持ち、「ライトウエイトFFの楽しい走りを再び…」というわけだ。

GA1に搭載されたD12A型に対してボア径を1.7mm拡大した73.7φ、ストローク量は変わらず76.0mmで排気量を1296ccとしたD13C型エンジン。この頃のホンダ製エンジンは逆回転クランクを採用していたため、助手席側にエンジン本体、運転席側にミッションが配置され、ドライバーが乗った状態で左右バランスに優れると言われた。事実、ジムカーナなどではパワーで上回るマシンよりも速さを見せ付けた。

足回りにはオーリンズ車高調をセット。ブレーキはフロントがディスク式、リヤがドラム式とされ、強化と言えばフロントに制動屋製パッドを組む程度。車重が軽いから性能的にはコレで十分。

キャリパーやローターの大型化は不要だからチューニング費用は抑えられるし、タイヤ代を含めたランニングコストの負担も軽くて済む。

ステアリングをナルディ製に交換。ステアリングコラム上にオートゲージ製水温計が装着される以外、ノーマル然としたインパネ周り。

運転席はブリッドZIEG Ⅳに交換。サベルト4点式フルハーネスと共にサーキット走行時のホールド性を向上させる。助手席は純正シート。

後席を外して2名乗車に変更。アンダーコートも剥がされ、フロアはグレーで塗装される。他に軽量化が行なわれているのはFRP製ボンネットの導入くらいだ。土居さんいわく、「これで30kg近くは軽くなっとるんと違うかな。少なくとも700kg台前半なのは確実やね」。
例えば、ベース車として軽いと言われるハチロクやEF/EGシビックあたりでも750kg以下に収めるにはボディパネルのドライカーボン化を始めとした大胆なリメイクが必要。それがGA2シティなら、手軽な作業だけで達成できてしまう。加速減速コーナリングと、走り全般に対して軽さが大きく効くのは言うまでもない。GA2最大の魅力はそこにあるのだ。
⚫︎取材協力:スペックD 高知県高知市一宮西町3-2-25 TEL:088-826-5001
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