0-100km/h加速は0.2秒短縮の2.5秒を実現!
ニュルブルクリンクのラップタイムは約14秒短縮!

改良を受けたいわゆる「992.2型」となった911ターボSは、9月9日からミュンヘンで開催される「IAAモビリティ2025」で披露される。新しい911ターボSは卓越したパフォーマンスと高級感、長距離走行時の快適性、日常の使いやすさを兼ね備えた、これまで市販された911のなかで最もパワフルなモデルだ。

パワートレインはハイブリッド化された。640ps/760Nmを発する3.6L水平対向6気筒エンジン+8速DCT(PDK)に、電動エグゾーストガスターボチャージャー「eターボ」を組み合わせ、総合で711ps/800Nmを発揮。0-100km/h加速は従来型から0.2秒短縮となる2.5秒(カブリオレは2.6秒)を実現。最高速は322km/hに達する。

911カレラGTSのT-ハイブリッドではeターボが1基搭載されているが、新しい911ターボSでは2基を搭載。タービンとコンプレッサーは、最上位モデルの要件を満たすように特別に設計された。2基のeターボは性能の大幅な向上に貢献するだけでなく、パワートレインの応答性も向上させている。容量1.9kWhのコンパクトで軽量な高電圧バッテリーは、911カレラGTSに使用されているものと同じ。

高性能ハイブリッドシステムのコンポーネントが追加されたにもかかわらず、新しい911ターボSの重量は先代モデルよりわずか85kg増加しただけ。この重量の増加は、ドライビングダイナミクスに関わるあらゆる領域で十分に補われている。その好例が、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェでのラップタイム。2024年秋に実施された最終開発段階の一環として、軽くカモフラージュされた911ターボSが公証人の立ち会いのもと、7分3秒92のタイムを記録した。これは先代モデルよりも約14秒速い。

改良版911ターボSの開発とテストに携わり、公式ラップタイムを記録したポルシェ・ブランドアンバサダーを務めるイェルク・ベルクマイスター氏はこのように述べている。
「重量増加はまったく感じません。それどころか、この車ははるかに俊敏で、グリップ力も向上し、サーキットのあらゆるセクションにおいて先代モデルよりも大幅に速くなっています」

ポルシェのエンジニアたちは、911の最上位モデルのこの抜群の性能に合わせて、車両を全方位にわたって適合させた。911ターボSに使用されている新世代のタイヤは、優れたウェット性能を維持しながら、ドライ条件のハンドリングが大幅に改善されている。リヤには、先代モデルに比べて10mmワイドな325/30ZR 21サイズを装着。フロントは先代と同じ255/35ZR20サイズだ。

標準装備のPCCB(ポルシェセラミックコンポジットブレーキ)システムには新しいブレーキパッドが装備され、非常に大きな荷重に耐えることができる。これにより、ブレーキ性能とペダルフィールが同時に向上した。リヤのブレーキディスク径は390mmから410mmに拡大し、フロントには直径420mmのディスクを採用。これにより、新しい911ターボSは、ポルシェが2ドアモデルに搭載したなかで最大のPCCBブレーキシステムを搭載していることになる。

新しいエアロダイナミクスコンセプトにより、冷却と効率も最適化された。車両前部に垂直に配置されたクーリングエアフラップとアクティブフロントディフューザーは、先代モデルから継承された可変フロントスポイラーリップや伸縮と傾斜が可能なリヤウイングとともに、効率的な全体システムとして機能。クーリングエアはブレーキとラジエーターに最適に流れる。

アクティブエアロダイナミクスは、走行状況に応じて揚力(格納時は空気抵抗)をインテリジェントに低減。911ターボSクーペの空気抵抗係数は、すべてのアクティブエアロダイナミクスエレメントが最も効率的な位置において、先代モデルよりも10%低減されている。さらに、アクティブエアロダイナミクスはトップモデルのウェット時のブレーキ挙動を改善。ウェットモードではフロントディフューザーが閉じて、フロントブレーキディスクを過剰な水しぶきから保護する。

高電圧電気システムとバッテリーシステムを備えたT-ハイブリッドパワートレインにより、911ターボSは電気油圧制御式ポルシェダイナミックシャシーコントロール(ehPDCC)を標準装備することができる。これは方向転換時のロールを抑え、コーナーへの進入と脱出時の俊敏性を向上させるものだ。このシステムは、走行状況に応じてオイル流量により圧力が増加するクロス接続されたアクティブカップリングロッドを作動させる。スタビライザーは支持力を発生させ、車両のバランスを保つ。これにより、ハイパワーにもかかわらず、さらに予測可能で運転しやすくなり、運転の快適性とドライビングダイナミクスの両方が向上する。

その結果、運転の快適性、安定性、俊敏性がさらに向上した。ehPDCCは400Vシステムに統合されているため、日常の使いやすさを最適化するために、先代よりもはるかに高速で作動するオプションのフロントアクスルリフトシステムが用意されている。

チタン製のリヤサイレンサーとテールパイプトリムを備えた新しい標準スポーツエグゾーストシステムも、サウンド面で911ターボSを強化。そのサウンドはトップモデル専用に調整され、エグゾーストシステム自体の軽量化も実現した。さらにエモーショナルなサウンドイメージを生み出すもうひとつの要素は、内燃エンジンのアップグレードだ。3.6L水平対向エンジンは非対称タイミングを採用し、エンジン音にさらなる周波数を追加することで、より力強くシャープなサウンドを生み出す。

エクステリアは、ポルシェのクロスシリーズターボデザイン戦略が導入された。数多くのコントラストエレメントが、ターボバージョン専用のターボナイトカラーでデザイン。これには、ポルシェクレストとリヤの「turbo S」のレタリングも含まれる。さらに、リヤウイングのスラットとサイドウインドウのストリップにはターボS専用のインサートが施され、最上位モデルを強調。ターボS用のホイールには、ターボナイトの新しいセンターロックデザインが含まれている。

ボディとトレッドはカレラモデルと比べて明らかにワイドになり、リヤサイドにも開口部が設けられた。再設計されたリヤフェイシアでは、印象的なベンチレーション開口部が車幅のワイド感をさらに強調する。ターボ特有のデザインを再解釈したチタン製エグゾーストテールパイプは、テールライトストリップ上部のダイナミックなパール構造と同様に、ターボSのシリーズにおける主導的なポジションを主張している。特殊な構造を持つチタン製オーバルテールパイプトリムもオプションで用意されている。その独特なルックスは、他の911モデルとは明らかに異なったものだ。

インテリアもターボナイトのアクセントで特徴づけられており、ドアパネル、ステアリングホイール、ダッシュボード、センターコンソール周り、デコレーティブステッチ、スポーツクロノストップウォッチ、メーターパネルなどに採用されている。シートベルトとセンターコンソールのいくつかのボタンも、ポルシェのデザイナーによってこの色でデザインされている。今回初めて、ネオジムトリムを備えたカーボン構造のトリムストリップと、ブラックの裏地が付いたパーフォレーテッドマイクロファイバーヘッドライナーが、専用インテリアの一部に採用された。

クーペは標準で2シーターとして提供される。要望に応じて、追加料金なしでリヤシートシステムを選ぶことができる。カブリオレでは2+2のシート構成が標準だ。

装備としては、夜間走行時の安全性を格段に高める革新的なライト機能を備えるHDマトリックスLEDヘッドライト、タイヤ温度計を含むスポーツクロノパッケージ、専用にチューニングされたPASMサスペンション、PDCC電気油圧式ロールサポート、チタン製スポーツエグゾーストシステムが標準で備わる。

インテリアでは、メモリー機能付18ウェイ・アダプティブスポーツシートプラスやヘッドレストの「turbo S」レタリングが標準装備として採用されている。シート表面とドアパネルに施されたターボS専用のエンボス加工は、初代911ターボ(930型)のデザインの特徴を再解釈したものだ。

ポルシェエクスクルーシブマニュファクチャーでは、さらなるカスタマイズも可能だ。エクステリアでは100色以上のカラーバリエーションから好みのカラーを選択できるほか、カーボンブレードをネオジムで塗装したターボエクスクルーシブデザインホイール、織目模様カーボンの軽量ルーフ、エクスクルーシブデザインリヤライト、カーボン製リヤサイドセクションエアインテークなどが含まれる。今回初めて、標準コンポーネントより50%軽量化されたカーボン製軽量ワイパーアームを注文できるようになったのもニュースだ。

インテリアは、コントラストカラーのデコレーティブステッチ、パーソナライズされたエンボス加工、上質なデコレーティブステッチを施したレザーのシートコンソールとシルパネル、パーソナライズされたカラーリングの車両キーなどにより、ディテールでさらに引き立てることができる。

ポルシェ公式サイト「911ターボS」
ポルシェ公式サイト「911ターボSカブリオレ」