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今日は何の日?■13年ぶりに復活を果たした8代目ハイラックス
2017(平成29)年9月12日、トヨタは13年振りとなる「ハイラックス」の8代目を国内に投入した。1968年に誕生したハイラックスは長く世界で愛され続けていたが、6代目で一旦国内販売を中断した。しかし、根強いハイラックスユーザーの乗り換え先やアウトドアブームの若者のツールとして国内投入を決断したのだ。

日野との共同開発で誕生した初代ハイラックス
トヨタの「ライトスタウト」と日野自動車の「ブリスカ」の統合後継モデルとして1968年に誕生した初代ハイラックスは、トヨタが企画し、日野が開発と生産を担当した共同開発の小型ピックアップトラックである。

頑強なセパレートフレーム構造に、スタイリッシュなデザインを採用。パワートレインは、70psを発揮する1.5L(その後、1.6Lに変更)直4 OHVエンジンと4速MTの組み合わせ。サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン、リアはリジットアクセルを採用。駆動方式はFRだったが、1年後にパートタイム4WDが追加された。
3名乗りで積載量は1トン、荷台長は1850mmで、使い勝手の良さと優れた耐久信頼性で好評を得た。車両価格は標準グレードが51万円/DXグレードが54万円。ちなみに、当時の大卒初任給は3.1万円程度(現在は約23万円)なので、単純計算では現在の価値で標準グレードが約378万円に相当する。
ハイラックスの北米進出と躍進
ハイラックスの米国輸出は、誕生の翌1969年から始まり、ランクルのタフさを継承した小型ピックアップとして日本以上に米国で人気を獲得。米国では、ハイラックスのようなピックアップは一般的なビジネス用よりも、気軽で便利なパーソナルカーとして活用されるケースが多い。


ハイラックスは、初代以降もグローバルモデルとして好評を得て、モデルチェンジしながら2代目、3代目、そして1983年に4代目へ移行。当時の日本ではRVブームが起こっていたことから、トヨタは1984年に4代目ハイラックスをベースにした派生車「ハイラックスサーフ」を投入。ハイラックスのショートボディに脱着式のFRP製トップを被せて、さらにオーバーフェンダーや専用デカールなどを装着してRVに仕立てたのだ。

ハイラックスサーフは堅調な販売で滑り出し、1989年に初のモデルチェンジで2代目に移行。より乗用車志向を高めた2代目は、三菱の「パジェロ」とともにRVブームをけん引するヒットモデルへと成長した。またハイラックスサーフは、米国では「4 Runner(フォー・ランナー)」の車名で日本にも負けない人気を獲得した。

続いて1988年に5代目、1997年に6代目が登場したが、2004年をもって日本市場から撤退してしまった。

復活を果たしたスタイリッシュな8代目ハイラックス
7代目ハイラックスは日米では販売されず、新興国向けに投入された。その後、およそ13年ぶりに海外生産の7代目をスキップする形で、2015年5月にデビューしたタイ生産の8代目が日本に輸入されることになった。



8代目ハイラックスは、旧型ハイラックスユーザーの乗り換えや、若者向けのアウトドアでの活用を期待して復活を果たした。“タフ&エモーショナル”をコンセプトにした躍動感ある迫力満点のスタイリングに、インテリアはブラックを基調にシルバーの装飾やブルーのイルミネーションなどで洗練された室内空間が演出された。

パワートレインは、最高出力150ps/最大トルクを発揮する2.4L 直4 ディーゼルIC(インタークーラー)ターボとスーパーインテリジェント6速ATの組み合わせ。駆動方式はパートタイム式の4WDで、走行環境に合わせてダイヤル操作で2WD/4WDを選択できる。

サスペンションは、前:ダブルウィッシュボーン、後:リーフスプリング式。ヒルスタートアシストコントロールやアクティブトラクションコントロール、ダウンヒルアシストコントロールなどに加え、上級モデルには車両だけでなく歩行者も認識できる歩行者検知機能付きプリクラッシュセーフティシステムや、車線逸脱の回避を支援するレーンディパーチャーアラートなどの安全運転支援技術も搭載された。
車両価格は、326.7万円と374.22万円に設定された。
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ハイラックスは、新興国では平日は人と荷物が運べるビジネスの足として、休日は家族とドライブする乗用車的な使い方で親しまれている。一方で先進国では、それらに加えてアウトドアで若者が使うお洒落でスタイリッシュなマルチパーパスなクルマとして絶大な人気を誇っているのだ。
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