輸入スーパーカーにも負けない迫力と美しさ

普段乗りでもストレスフリーなクルマとしての圧倒的完成度!

1990年に発売された初代NSX。通常モデルの発売から遅れること2年、1992年に追加設定された「タイプR」は生産期間3年の間に480台しか登録されなかったレアモデルだ。

そんな超希少車をシャコタン仕様に仕上げ、ツーリング専用機として乗り回しているのが、2000psオーバーのR35GT-Rを筆頭に多彩なマシンでドラッグレースに参戦する“クルウチ”の久留内代表。

「若い頃からずっとゼロヨン一筋だった僕が40歳になった時、周りの同級生や先輩たちはフェラーリやランボルギーニに乗っていたんです。で、自分が普段乗りやツーリングなどを楽しむ目的で乗りたいクルマってなんだろう?と考えて辿り着いたのが、このクルマでした」と久留内さん。

足回りはアラゴスタの車高調を軸にセットアップ。スプリングはベステックスで、レートはフロント18kg/mm、リヤ25kg/mm。さらにフロントにはスイッチ操作で車高を上げ下げできるロベルタカップも追加。走りと日常での使い勝手を両立する。

ホイールは鉄板のBBS LMで、フロントは8.0J×18+40をリバースリムに組み変えて装着、リヤはR35GT-R用(10.5J×20+20)をセットした。キャンバーは前後ともネガ3度の設定だ。

エクステリアは、ソーサリーのフロントバンパーに加え、チェイサー用のオリジナルサイドディフューザーを加工して装着。リヤウイングはステーをショート加工したエスプリのタイプ651だ。

タイプRに搭載される2977ccのC30Aエンジンは、ベースモデルと同じ280psのままだが、重量やバランス精度を高めたタイプR専用のクランクシャフトやピストン、チタン製コンロッドなどが組み込まれている。性能面では満足しているため、ブリッツ製のエアクリーナーを装着している他は基本的にノーマルだという。

一方、エキゾーストサウンドには並々ならぬ拘りがあるようで、ECUセッティングによって空燃比を薄め(リーンバーン)にすることで乾いた音を奏でるようにセッティング。エキゾーストマフラーはKSPがかつて販売していた4本出しマフラーを装着。「現行モデルより太くて、中音のハモリ音がお気に入り」とのこと。

室内はノーマルをキープ。ドアトリムにかけて連続性が持たされ、運転席と助手席を囲むようにデザインされたダッシュボードが特徴的だ。レカロと共同開発された電動バケットシートや、エアバックレスのMOMOステアリングなどはタイプR専用品。

「実は240ZGを普段乗りにしようと購入したんですが、ツーリングにはやっぱり不向きで。でも、このタイプRなら他のスーパーカーにも引けを取らない迫力と美しさがあるし、何より乗りやすいですからね」。

480台しか存在しない奇跡の1台。しかし久留内代表にとっては、ただの“飾り物”ではない。走るために生まれ、走ることで輝きを増す。その本質を知る者の手によって、NSXタイプRは今日もツーリングロードで咆哮を上げている。

●取材協力:クルウチ 三重県多気郡明和町佐田906-12 TEL:0596-53-0070

「V6から直4ターボへ・・・」異端のチューンドNSXが狙う新境地

稀代のスーパースポーツとして名高い初代NSX。しかし、その美しいデザインや空力性能とは裏腹に、重量とパワー不足はチューナーたちを悩ませる課題でもあった。そんな限界を打ち破ろうと、カリフォルニアのアミール・ベンタトゥは大胆にもホンダ直4「K20」をターボ化して搭載。完全オリジナルのカーボンエアロと組み合わせ、425馬力を発揮する“新世代NSX”を創り上げた。彼が挑むタイムアタックの舞台裏に迫る。

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