「クルマ選びは洋服選びと同じ。“キュン”とするかが大切なんです」

2025年9月11日、ホンダは新型軽乗用EV「N-ONE e:(エヌワンイー)」を発表した。翌12日から発売されたN-ONE e:は、“e:Daily Partner(イー デイリー パートナー=日常のパートナー)”をコンセプトに掲げ、都市生活に寄り添うコンパクトEVとして開発された。11日には商業施設「二子玉川ライズ」にて発表・発売イベント「N-ONE e:パーク」を開催。そのステージには、開発責任者の堀田英智さん、CMF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)デザイナーの古小路美和さん、そしてスペシャルゲストとしてモデル・タレントの谷まりあさんが登壇した。モータージャーナリストの藤島知子さんの進行で、開発者の思いとゲストの新鮮な体験が交わる、楽しいトークセッションとなった。

藤島知子さん(モータージャーナリスト)

イベントの冒頭、堀田さんは「かつて国民車として多くの方から親しまれたN360のような、ガソリン車のN-ONEが持っていた愛らしさと使いやすさを、EVとしてどう引き継ぐかに挑戦しました」と語った。全高1550mm以下というパッケージを維持し、都市部の機械式駐車場にも対応できる点は、従来モデルから大切に受け継いだポイントだという。さらに、シングルペダルコントロールを採用することで、市街地での煩わしいペダル操作を簡潔にし、軽快で安心感のある走りを実現したと語った。

堀田英智さん(N-ONE e: 開発責任者)

一方、古小路さんはデザイン面の工夫を解説。「“身軽・気軽”をキーワードに、日常の中で愛着を持っていただける色や素材を選びました」とし、フロントグリルには廃棄バンパーを再利用した再生材をあえて“見える場所”に使ったことを紹介した。植物由来のバイオ樹脂を用いたインパネなど、サステナブルな素材を積極的に採用した点も、N-ONE e:の特徴だ。さらに古小路さんは「これまで見えない部分に使ってきたリサイクル材を、あえてデザインの表面に出したのは大きくこだわったポイント」と話し、地球に優しいクルマづくりへの思いをにじませた。

古小路美和さん(N-ONE e: CMFデザイナー)

そんなトークで盛り上がる中、会場の雰囲気をひと際華やかにしたのが谷まりあさんの登場だった。谷さんは2016年からファッション誌の専属モデルとして活動を開始し、日本テレビ『世界の果てまでイッテQ!』の出川ガールズで一躍脚光を浴びる存在に。Instagramのフォロワーはなんと約353万人という人気者だ。

谷まりあさん

谷さんは展示車両の新色「チアフルグリーン」に合わせた艶やかなグリーンのワンピースで登場し、「外で一緒に写真を撮りたいと思ってコーディネートしました」とニッコリ。イベント直前に降り出した雨のため会場が変更となり、隣りにある展示車両のカラーが「フィヨルドミスト・パール」になったのがちょっと残念だったかもしれない。谷さんは初めて目にするN-ONE e:の第一印象を「かわいい!」と返答。「このクルマが電気で走るんだという不思議な気持ちと、早く試乗したいっていう気持ちでワクワクします」と期待を語った。

藤島さんが「谷さんはファッション誌でモデル活動もされていますが、クルマを選ぶ際にファッションの観点を取り入れることはありますか?」と尋ねると、谷さんは「洋服を選ぶときと同じで、乗ったときに“キュン”とするか、自分に自信をくれるかを大切にしています。カラーやこだわりも含めて、毎日を一緒に過ごすものだから、自分の一部のように好きだと思えるクルマを選びたい」と答えた。古小路氏も「私たちもN-ONE e:のデザインでは“キュンとする瞬間”を意識していたので、ぜひ実車でそのポイントをご覧いただきたい」と応じ、開発者とゲストの視点が重なる場面となった。

続いて、トークの話題はN-ONE e:の外部給電機能へ。会場には二子玉川の蔦屋家電がセレクトした防災・レジャー向けの家電が並べられ、藤島さんは「防災の日にちなんだ展示ですが、アウトドアや日常にも役立ちそうです」と紹介。堀田さんも「“走る蓄電池”と言われるように、電気を蓄えて活用できるのはEVの大きなメリット。100V・1500Wの出力でキャンプや停電時にも役立つ」と解説した。谷さんが実際にAC外部給電器の「パワーサプライコネクター」を接続し扇風機を動かすと、「クルマから電気が出て家電が動くなんてすごい!」と驚きの歓声を上げた。

インテリアの紹介では、古小路さんが「日常で頻繁に乗り降りするユーザーを想定し、シートの段差を減らしてスムーズに動けるよう工夫した」と解説。N-ONE e:に乗り込んだ谷さんも「ストレスなく乗り降りできる」と実感を込めて語った。さらに収納について話題が及ぶと、谷さんは「クルマは自分の部屋みたいな感覚。ティッシュや財布など、日常の小物を入れる場所はすごく大事」と力説。これに古小路さんは「リサーチでも収納への要望は強かった。スマホを置けるトレーは滑りにくい工夫をして、エコバッグや長財布が収まるスペースも確保しました」と説明。さらに「黒いトレーに黒いスマホを置いて忘れるケースがあったので、視認性の高い明るい色を採用しました」と、細部まで配慮した設計を明かした。谷さんも「普段使うものをサッと置けるのは安心」と共感し、生活に寄り添う工夫を評価した。

終盤、谷さんは「海に行ってリフレッシュしたいですね。リンクコーデをして、一緒に写真を撮ったりして、N-ONE e:と一緒の時間を楽しみたいです」と理想のドライブ像を披露。堀田さんも「まさに“パートナー”というコンセプトにふさわしい」と笑顔を見せた。

イベントの締めくくりとして、谷さんは次のように語った。「ここに来るにあたって、ホンダさんの強みやこだわりをお伺いできるのを楽しみにしていました。実際にたくさんの“ユーザーへの愛”を感じられてうれしかったです。今日は試乗できませんでしたが、今度はぜひその軽快さを実際に体験したい。そして、これからのホンダの進化を、クルマ好きとしてずっと楽しみに見ていきたいです」

短い時間ながら、開発者の情熱と谷まりあさんの素直で可愛らしいリアクションが重なり合った今回のイベント。N-ONE e:は、ただの移動手段ではなく“日常の相棒”として寄り添うEVであることを強く印象づけた。

「N-ONE e:パーク」は9月15日まで二子玉川ライズで開催中

なお、ホンダはN-ONE e: が体験できるイベント「N-ONE e:パーク」を9月15日(月・祝)まで、二子玉川ライズ 中央広場で開催する。N-ONE e:やN-VAN e:の展示のほか、電気について学べるクイズラリーや、家電が当たるSNSキャンペーンも実施。N-ONE e:に早く触れてみたい方は、足を運んでみていただきたい。