McLaren ARTURA COUPE
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Aston Martin Valhalla

低くワイドなスタンスが与えられたヴァルハラ

世界中が電動化へと舵を切った2020年代前半。マクラーレンはラインナップにハイブリッドモデルを加えるべく、専用プラットフォーム「マクラーレン・カーボン・ライトウェイト・アーキテクチャー(MCLA)」を開発。2021年、そのMCLAをベースとする初の量産ハイブリッドスーパースポーツ「アルトゥーラ」を発表した。

アストンマーティンは、「ヴァルキリー」に続くレッドブル・レーシングとの共同プロジェクト第2弾モデル、プラグインハイブリッド・パワートレインを搭載する「ヴァルハラ」を発表。2019年に存在が明らかにされたヴァルハラは、長い開発とテストが続けられ、2025年ついに生産を開始した。間もなくデリバリーが行われる。

ボディサイズはヴァルハラがアルトゥーラよりもひと回り大きく、全長で約190mm、全幅で約100mm、ホイールベースで120mmも長い。逆に車高は32mm低く、ワイド&ローフォルムは世界耐久選手権(WEC)を戦うレーシングプロトタイプを思わせる。どちらもシャシーやコンポーネントにカーボンファイバーを多用しているが、コンパクトなアルトゥーラの方が155kgも軽い。

マクラーレン アルトゥーラ

ボディサイズ=全長4539×全幅1913×全高1193mm
ホイールベース=2640mm
車両重量=1395kg(Dry)
タイヤサイズ=235/35R19(前)、295/35R20(後)

アストンマーティン ヴァルハラ

ボディサイズ=全長4727×全幅2014×全高1161mm
ホイールベース=2760mm
車両重量=1550kg(Dry)
タイヤサイズ=285/30ZR20(前)、335/30ZR21(後)

1000PSを超えるヴァルハラのPHEVパワートレイン

アルトゥーラに搭載されるハイパフォーマンス・ハイブリッドは、3.0リッターV型6気筒ツインターボにアキシャル型モーターを組み合わせ、リヤを駆動。最高システム出力は700PSを実現した。ヴァルハラは4.0リッターV型8気筒ツインターボエンジンに3基の電気モーターを搭載するAWD。エンジン単体出力は800PSを超え、これにモーターを追加することで、システム最高出力は1079PSを誇る。この強力なハイブリッドパワートレインにより、0-100km/h加速でアルトゥーラを0.5秒も圧倒する。

マクラーレン アルトゥーラ

エンジン形式=V型6気筒ターボ+ハイブリッド
排気量=2993cc
システム最高出力=700PS/7500rpm
システム最大トルク=720Nm/2250〜7000rpm
トランスミッション=8速DCT
駆動方式=RWD
最高速度=330km/h
0-100km/h加速=3.0秒

アストンマーティン ヴァルハラ

エンジン形式=V型8気筒ツインターボ+3モーター
排気量=3982cc
エンジン最高出力=828PS
システム最高出力=1079PS
システム最大トルク=1100Nm
トランスミッション=8速DCT
駆動方式=AWD
最高速度=350km/h
0-100km/h加速=2.5秒

レッドブル・レーシングが誇る技術への対価

ヴァルハラのコクピットは、10.25インチフルデジタル式デジタル・ドライバーディスプレイと、10.25インチセンタータッチスクリーン・インフォテインメントディスプレイの組み合わせ。先行したヴァルキリーよりも、快適性が重視されたとはいえ、機能性と快適性を両立したアルトゥーラのコクピットと比較すると、その室内はシンプルに感じられるかもしれない。

アルトゥーラはキャビン後方の低い位置に、7.4kWh容量のリチウムイオンバッテリーを搭載。電動のみで走行する「Eモード」で、33kmの航続距離が確保されており、市街地での移動を十分にカバーする。前後アクスルに合計3基のモーターを搭載するヴァルハラのバッテリー容量は6.1kWh。EVモードでの航続距離は15km、最高速度は130km/hとなっている。

F1で鍛えられた電動化技術がフィードバックされた2台だが、アルトゥーラがカタログモデルであるのに対し、ヴァルハラは999台のみの限定プロジェクト。走行パフォーマンスに関しては、アルトゥーラでも十分過ぎるスペックを持つが、ヴァルハラはレッドブル・レーシングが持てるノウハウを注ぎ込んだ、公道走行可能なレーシングカーである。そのパフォーマンスを考えれば、4倍近い価格差も納得できるはずだ。

車両本体価格

マクラーレン アルトゥーラ 3300万円
アストンマーティン ヴァルハラ 1億2890万円

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