較べたし、この美貌と走り!
180馬力仕様の4A-Gエンジンをスワップ
チャンネル登録者数9万9500人を誇る人気YouTubeチャンネル『51マシーンズ』。群馬県に店舗をかまえる鈑金塗装専門店ガレージ・クエストの東野 亨さんと、高校時代からの悪友であるヒロシさんがレストアやカスタマイズを行なう動画が人気を呼んでいる。

今回取材したのは、YouTubeの企画用に製作されたKP61スターレット。発売は1978年だが、最初のマイナーチェンジが施された中期型が80年、後期型が81年で、51マシーンズのKP61は中期型をベースに前期型ルックへとコンバートした仕様だ。
「長年放置されていたドンガラの箱を当時5万円くらいで買ってきたもので、買ってからも10年くらい放置してました。YouTubeのネタにちょうど良かったので重い腰を上げて起こしたんですけど、やっていくうちに火がついちゃって(笑)。最終的に2024年のWeKFestではトヨタ車の1番のアワードをゲットしました」。

当初はオーバーホールしたキャブ仕様の4A-Gを搭載する計画で進んでいたが、せっかくなら今っぽいテイストも取り入れようとインジェクション&フルコン制御仕様へと方向転換。エンジンパートは同じ群馬県にあるガレージ・インフィニティーに依頼し、ボディの修正や塗装などをガレージ・クエスト&ヒロシ組で行なう分業体制が整えられた。
ボディカラーはKP61スターレット純正のグリーンでペイント。もともとドンガラだったため、ボディ全体にサンドブラストを掛け、下回りにはラプターライナーで下地処理を行った上、室内やエンジンルームも含めて丸っと塗装。エンジンパートとボディの作業を分けて効率的に進める方法も、このKP61の製作過程で要領を掴んでいったそうだ。


リヤフェンダーも腐りが酷かったので、メタルで純正形状のワンオフフェンダーを製作。丸目ヘッドライトが可愛い前期型ルックに変更するため、貴重な部品取り車を探し出し、顔周りやテールランプなどを移植している。

インジェクション化された4A-Gは、KP61のエンジンメンバーにカスタムのエンジンマウントを取り付けて搭載。AE86純正のT50トランスミッションもKP61とAE86のミッションマウントをニコイチにして載せた。シフターの位置は10cmほど後退してしまうため、トンネルの一部を切開してある。


4連スロットルはAE111純正。上下反転させて装着するアダプターを使い、インジェクターが下に、スロポジセンサーが奥に行くレイアウトとすることで、見た目のすっきり感も高めている。デスビは純正をベースに内部を加工。1番以外の信号を読むポイントは削り落としてある。エキマニはパワークラフトの5V用を少し加工して取り付け。ポリッシュをかけて見映えもアップした。ラジエターはシビック用として販売されているものを横倒しにしてレイアウト。HPIのオイルクーラーも備わり、水回りとオイルの配管もすっきりとさせている。

エンジン本体にハイカムや鍛造ピストンが備わる素性の良さを活かしつつ、LINKがECUと一緒にキット化しているダイレクトイグニッションを導入。デスビ内部は1番上死点の信号のみ拾う加工を施し、1−3−4~2の点火時期をフルコンで自動計算させている。

最も拘ったポイントは、インジェクション化に伴って再構築した燃料配管。KP61はもともとキャブのため燃料ポンプが備わらず、新たにリヤにコレクタータンクを設置すると同時に燃料ポンプでガソリンを圧送するラインを作り上げた。



ダッシュボードも状態のいいものをヤフオクでポチって装着。ロールケージも組まれてスパルタンな印象だが、室内もグリーンだと不思議にポップな印象も受ける。ナルディのステアリングにはクイックリリースも装着。

ホイールはRSワタナベのエイトスポークを装着。フロント8J×13、リヤ8.5J×13の極太サイズに、155/60R13のアドバンネオバAD07を引っ張って組み合わせた。サスペンションはガレージ・インフィニティーのAE86用オリジナル車高調、ブレーキはAE86純正の前後ディスクを装備。

ダイナパックでのパワーチェックでは最高出力の計測中にプロペラシャフトが折れるトラブルが発生! 現在はより径を太くして対策済みだ。その時の結果から、おそらく180psは出るだろうと踏んでいるが、軽量ボディゆえにパンチの効いた走りを実現できそうだ。
PHOTO:Akio HIRANO/TEXT:Hideo KOBAYASHI
