製造から41年を経てもいまだ現役!

現代的手法も取り入れたマシンメイク!

製造から41年を経てもなお現役。現代的手法も取り入れたマシンメイクが施されたR30スカイラインを紹介しよう。

80年代を代表するスカイラインといえばR30とR31だが、ここで登場するのはグリルレスデザインの後期型…、鉄仮面の愛称で親しまれたR30だ。

R30と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、2.0L直4DOHCターボのFJ20ETを搭載したRS。スーパーシルエットでのワークス参戦や、スカイライン史上屈指のポテンシャルを誇り、当時のチューニングシーンを大いに盛り上げた存在だろう。

だが、オーナーの越智さんが惹かれたのはエンジンではなく、厚みを抑えたボディとシャープなラインが際立つスタイリング。18歳のときにL20ET(2.0L直6SOHCターボ)を搭載したGTを手に入れ、サスペンション交換やブーストアップを施してストリートを楽しんでいた。

「ピックアップやパンチのある走りは直4ターボが有利ですが、高回転まで気持ちよく吹け上がる直6こそスカイラインの醍醐味。そこでL28改3.1LとT51Sを組み合わせ、L型フルチューンに仕立てました」。

心臓部が製作されたのは30年前。当時所有していたR30が事故で廃車となり、2台目も海外赴任などで“草ヒロ化”。エンジン製作から20年以上を経て、ようやく3台目のR30に搭載され、理想の1台が完成したのは10年前のことだった。

ベースエンジンはL28E。腰下にLD28クランクや東名パワードの鍛造ピストンを組み込んだ3.1L仕様だったが、エンジン単体で長期保管されていたことから、タービンとともにオーバーホールを敢行したそうだ。

T51Sは最大ブースト圧1.0キロでセットアップ。純正はインタークーラーレスとなるためタービンサイズに見合ったインタークーラーを備えるのは一苦労だったそうだが、フロントバンパー内をフル活用してトラスト3層コアをクロスフローでレイアウトした。

エンジンが製作された90年代、通称金プロと呼ばれるF-CON Vプロはまだ登場していなかった。搭載までに思わぬ時が流れたことからフルコン制御が可能となり、RB26用を流用してのハーネスリフレッシュも果たしている。

450psを許容するミッションを手に入れるため、HCR32の71Cミッションに換装。L型用ベルハウジングの小加工で搭載できてシフトレバー位置も変わらないが、純正シフトブーツは装着不可となるためにカーボン調に飾ったアルミプレートで対処した。

足まわりは、セミトレーリングアームのままでは450psに耐えられないと判断し、S14シルビアのサスメンバーを移植してマルチリンク化。取り回しが大きく変わることとなったマフラーは、軽量なチタンでワンオフ製作されている。

そのほか、ホイール選択肢を拡大するためのハブの5穴化や、ブレーキ強化、インナードラム化などR30以降で進化した要素を積極注入。サスペンションは、長らく使用していたN1ダンパーからハイパーマックスRに換えてリフレッシュしたばかりだ。

室内は、Bluetooth接続したスマホに車両情報を表示させるなど、先進アイテムを積極的に採用。ただし、シートやステアリングなど要所を押さえた仕上げとして、80年代車らしさを損なわない雰囲気となっている。

外装は現車合わせのフェンダー叩き出しでセットアップし、リヤは20mmワイドながら純正ラインを崩さない自然な仕上がりとなった。

「L型と聞くと旧車のイメージですけど、自由気ままなチューニングで楽しくR30に乗れたらいいと考えているので、80年代らしさには拘らず、気に入ったものは積極的に採り入れています。機関系は良好ですが、最近は錆との戦いになってきていて、朽ちてきたボルトを見映えがするキャップボルトで置き換え中。どこかのタイミングでボディのコンディションアップを図って、長く乗り続けられるように仕上げたいと考えています」。

こうして完成したL型フルチューンR30は、完成からわずか10年。84年式ながら40年選手とは思えぬほど、今なお最前線を駆け抜けるストリートチューンドへと進化を遂げていた。

●取材協力:フィースト 愛媛県伊予郡松前町昌農内25-1 TEL:089-985-0504

「わずか5台の幻」櫻井眞一郎の魂が込められた伝説のV6エンジン搭載R31スカイラインに乗った!

1994年に姿を現した「S&Sドリフトパッケージ」。櫻井眞一郎の“未完のR31”への想いと、ステルビオのために用意された余剰VG30DETが交錯して誕生した、わずか5台の幻。ミッション換装や特注ホイールを備え、スカイラインの未来を先取りしたその存在は、今なおR31ファンの心を揺さぶり続けている。

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