連載
今日は何の日?■モビリオの派生車モビリオ・スパイク誕生
2002(平成14)年9月18日、ホンダからコンパクトなマルチワゴン「モビリオ・スパイク」が発表(発売は翌日)された。モビリオ・スパイクは、コンパクトなボディでありながらクラストップレベルの室内空間、多彩な使い方が可能なカーゴルームを持ち、レジャーなど様々な趣味に活用できるマルチユースカーである。

3列シートを配置した7人乗りミニバンのモビリオ
2001年12月にデビューしたモビリオは、「フィット」と同じグローバル・スモールプラットフォームを採用。燃料タンクを車体中央のフロントシートの下に配置して、全長4m程度の小さなボディに3列シートを収めているのが特徴である。

スタイリングは、欧州の路面電車をモチーフにしたとされる低いフロアと圧倒的に大きなウインドウ、ショートノーズには大型ヘッドライトを装備し、両側スライドドアと多彩なシートアレンジが特徴。パワートレインは、最高出力90ps/最大トルク13.4kgmを発揮する1.5L 直4 SOHCエンジンとホンダマチックCVTの組み合わせ、駆動方式はFFと4WDが用意された。

車両価格は、3つのグレードが用意され、2WDが140万円/150万円/160万円、4WDは18万円高に設定。モビリオは、そのユニークなスタイルと使い勝手の良さで人気を獲得した。
ホンダが進めたSMALL MAXシリーズ
2000年当時、ホンダは新世代スモールカーとして“SMALL MAXシリーズ”を展開していた。これは、「ホンダ360」から始まった“MM思想(Man-Maximum、Mecha-Minimum:人のためのスペースは最大に、メカニズムのためのスペースは最小に)“をベースにした、グローバル・スモールプラットフォームを採用していた。
スモールカーの理想を求めた“パーソナルMAX”として開発されて、2000年にデビューして大ヒットしたフィットに始まり、第2弾が上記モビリオで、毎日の生活シーンで楽しく快適に使いこなせる“ファミリーMAX”を開発テーマとして開発された。

そして、第3弾が2002年9月のこの日に発表された、趣味や遊びの世界を広げる“ホビーMAX”のモビリオ・スパイクである。モビリオの基本コンポーネントを使ってハイトワゴンに仕立てて、“スモールでもここまで大きく遊べる、スモールだからこんなに楽しい”とアピールしたのだ。
ボクシーなスタイリングに遊ぶ心満載のモビリオ・スパイク

モビリオの派生車として誕生したモビリオ・スパイクは、3列シートのモビリオと異なり、2列シートの5人乗りである。ホンダは、モビリオをコンパクトミニバン、モビリオ・スパイクをコンパクトマルチワゴンと表現していた。

モビリオ・スパイクの開発テーマは、“自分流に使えるCARGO(荷室)”、こだわりのSTYLING”、“楽しく過ごせるCABIN”の3つ。特にクラストップの広さを誇る荷室スペースが自慢だった。またセンタータンクレイアウトの採用でフロアは低く、しかもスクエアだったので利便性にも優れていた。


シートアレンジについても、ロアシートは座面部分の沈み込み機構により簡単に収納ができ、ヘッドレストを外す必要もない。荷室は、助手席をフルリクライニングすると、サーフボードやスキーなど長尺物も楽々搭載できるなど、まさに遊ぶために工夫が随所に施されていた。

エクステリアは、個性的なスクエアなボクシースタイル、なかでも太い形状のリアクォーターピラーが重厚感を醸し出し、インテリアでは可倒式大型アームレスト付きベンチシートで親しみやすさをイメージさせた。パワートレインは、ベースのモビリオにも搭載された110ps/14.6kgmの1.5L 直4 SOHCエンジンとホンダマチックCVTの組み合わせ。駆動方式はFFと4WDが用意された。

車両価格は、3グレード設定され、FF仕様で134.9万円/139.9万円/149.9万円、ミニバンのモビリオよりも廉価である。
実用性が重視され始めた2000年代に、絶妙なサイズ感でとにかく趣味のためにいろいろ積めて楽しめるモビリオ・スパイクが、独身ユーザや趣味に生きる人たちに受けたことは言うまでもない。

・・・・・・・・
スパイクとは、英語で釘や先の尖ったものを意味し、“何事にもこだわりを忘れず尖っていたい”そんな冒険心や個性を大切にするクルマという意味を込めて命名されたそうだ。フリード・スパイクも同じで、趣味のためのクルマとしていろいろな工夫が施されている。スパイクはミニバンをベースにしているが、ミニバンとは対極的なクルマに仕立てられているのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

