ボルクレーシングの選び方、教えます!
ホイールメーカー・レイズが2025年の新たな体験型コンテンツとして展開している『RAYS DRIVING EXPERIENCE』。

2025年4月に富士ジムカーナ場で開催されたイベントを潜入レポートしたが(https://motor-fan.jp/article/188766/)、今回はその流れをさらに発展させ、プロドライバーによるクローズドテストが実施された。

テスト内容はシンプルだ。ノーマルのND型ロードスターに同一タイヤを履かせ、ボルクレーシングの「TE37 SAGA S-plus」「ZE40」「CE28N-plus SL」という3銘柄の鍛造ホイールを4輪すべて付け替え。それぞれの軽さ、剛性、強度といった純粋なホイール性能が走りにどのような違いを生むのか、プロドライバーの視点から体感してもらい、ユーザーのホイール選びの参考となる“忖度なし”の意見を引き出すのが狙いだ。

テストドライバーを務めたのは、Team TOYO TIRES DRIFTに所属し、国内トップドリフトカテゴリ・D1GPで活躍する田野結希選手。D1 LIGHTSシリーズチャンピオンの実績を掲げ、2024年にD1GPへデビュー。最高位3位を獲得し、2025年はニューマシンGR86で全戦の単走予選を通過するなど、安定感のある走りで注目を集める27歳の若手ホープだ。

テスト車両のND型ロードスターは、ノーマルにHKSハイパーマックスRの車高調を装着した仕様。それぞれの17インチ7J+45ホイールにはダンロップ・ディレッツァZIII(215/40R17)を組み合わせ、舞台は鈴鹿ツインサーキットGコース。走行ごとにタイヤ温度のデータも取り、エア圧も基準値で統一された。

なお、今回の走行はすべてグリップ走行で実施。田野選手には本格的なレース経験はないが、D1GPの審査区間で数cm単位のラインをコントロールする繊細な操作技術に注目し、テストドライバーとして起用されたのである。
VOLK RACING TE37 SAGA S-plus

「比べた3つのなかでは最も安定感を感じるホイールでした。ハンドル操作に対して急に操舵感が変わる場面もなく、他と比べて急なアクセルやブレーキの入力を受け入れてくれる懐の深さがあります。全体的にマイルドな印象で、とても乗りやすさを感じました。細かい操作に気を使う必要が減るので、一発勝負よりも耐久レースのように長時間集中力をキープする競技に向いていそうです。さらに、よりスピードレンジの高い国際コースではTE37の剛性感が安心材料になりますし、クルマのパワーを上げていっても十分に対応できる余裕を感じました」。
VOLK RACING ZE40

「このなかでは最も軽いホイールだということがはっきり分かりました。同じアクセルの踏み方をしても早くホイールスピンするようになり、同じクルマなのにパワーが上がったように感じるほどです。小さなコースやジムカーナに向いている特性ですね。応答性が良くなった反面、ハンドルがあるポイントから急に切れ込むような特性が出て、セッティングのシビアさや操作のピーキーさが際立ちました。限界付近でラフな操作ができない分、ドライバーを選ぶかもしれません。ただ、それを乗りこなす自信がある人にとっては理想的な一本です。今のセットで1周の速さを狙うなら、私はこれを選びます」。
CE28N-plus SL

「安定感のあるTE37と、軽さが際立つZE40のちょうど中間的な性格を持つホイールだという印象でした。ハンドルやアクセル操作に対してピーキーすぎず、高速コーナーからのブレーキングでもリヤが滑ることはありませんでした。さらに、ハンドルを切り始めてからアクセルを踏める体勢になるまでの動きも早く、今回のロードスターのスペックや鈴鹿ツインのスピードレンジには非常にマッチしていると感じました。安定して好タイムを刻めるホイールだと思います」。
総括



今回、VOLK RACINGの3銘柄(TE37 SAGA S-plus/ZE40/CE28N-plus SL)を乗り比べた田野選手が最も強く感じたのは「軽さの違い」だったという。すべて鍛造ホイールであるがゆえに、強度・剛性面ではすでに高い次元で揃っており、その差が出にくい環境だったことも要因だろう。そして、ZE40 → CE28N → TE37の順に「軽さを感じた」という印象は、実際の重量順とも一致していた点も興味深い。

2025年4月に開催された『RAYS DRIVING EXPERIENCE』で純正ホイールと鍛造ホイールの違いを体感した田野選手。今回は鍛造ホイール同士の比較だったが、その特性の差は想像以上に大きかったと語る。
「ドリフトの大会ではコースに合わせてトーやキャスターといったアライメントを調整していきますが、正直ホイールの違いはそれと同じくらい効果があると感じました。ホイール銘柄の違いは、確実にセッティングツールとして有効です。サーキット初心者には少し難しいかもしれませんが、街乗りでも同じクルマに長く乗っている人なら違いは分かるはずですし、シミュレーターをやっていたりサーキット走行に慣れている人なら、間違いなく体感できると思います」。

今回のテストを通じて、ドレスアップアイテムとしてだけでなく「走りを作るセッティングツール」としての可能性を秘めた、ボルクレーシング鍛造ホイールの実力が改めて浮き彫りになった。
●問い合わせ:レイズ
【関連リンク】
レイズ
https://www.rayswheels.co.jp/
