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今日は何の日?■3代目スカイライン2000GT、GT-Rに続いたGT-X
1971(昭和46)年9月22日、日産自動車は3代目となるスカイラインシリーズに、新たに「スカイライン2000GT-X」を加えた。2000GTと同じL20型直6エンジンだが、SUツインキャブレターを搭載して性能と装備をグレードアップした、2000GTとGT-Rの中間的な位置づけのモデルが20000GT-Xだ。

2代目スカイラインGTを進化させた3代目2000GT

3代目スカイラインは、1968年8月にデビューした。当初はショートボディの4ドアセダンとワゴン/バンの2種類で、エンジンは最高出力88psのG15型1.5L 直4 OHVのみだった。同年10月に、先代S54A型(GT-A)スカイラインGTの後継モデルであるロングボディのL20型2.0L 直6シングルキャブを搭載した「2000GT」がデビューした。



3代目スカイライン2000GTは、レース参戦のために急遽仕立てられた初代のS54型とは異なり、当初から計画されたモデルであり、ロングノーズのボディは同じだが、スタイリングからメカニズムまで専用設計された。エンジンは、先代の直6を改良した最高出力105ps/16.0kgmを発揮する2.0L 直6 SOHCシングルキャブ仕様(L20型)で、トップスピード170km/hを記録した。
車両価格は、86万円に設定。当時の大卒初任給は3.1万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約638万円に相当する。
レースで圧倒的な走りを披露したGT-R
さらに翌1969年2月には、2000GTをさらにパワーアップしたスカイラインGT-Rが登場した。

プロトタイプ・レーシングマシンであるR380用エンジンをベースにした最高出力160ps/最大トルク18.0kgmの2.0L 直6 DOHCエンジン(S20型)を搭載。サスペンションやブレーキなども最新の技術が盛り込まれ、トップスピードは、200km/hを超えた。
4ドアセダン(翌年にはハードトップ登場)のGT-Rの外観は、ノーマル仕様のスカイラインとほとんど同じなので、“羊の皮を着たオオカミ”と呼ばれるようになった。


当然のようにレースへ参戦、そのデビュー戦に選ばれたのは、その年の5月3日に開催されたJAFグランプリレースだった。辛勝ではあったが勝利をおさめ、ここからGT-Rの破竹の連勝が始まった。その後も進化しながら他を寄せつけない圧倒的な走りで、スカイラインGT-Rは1972年まで国内レース49連勝という金字塔を作り伝説となったのだ。

車両価格は150万円で、現在の価値なら約1015万円に相当する高額だった。
スポーティでラグジュアリーなGT-Xも登場

1971年9月のこの日、人気のスカイライン2000GTにスポーティでラグジュアリーなHT(ハードトップ)モデル2000GT-Xが加わった。速いスカイラインを印象付けたエンブレムが“青バッジ”の2000GT、サーキットで敵なしの圧倒的なパワーを持つ“赤バッジ”のGT-R、そして追加された“ゴールドバッジ“の2000GT-Xは、2000GTの走りと装備をブラッシュアップしたハイグレードモデルである。

エンジンについては、2000GTと同じL20型だが、シングルキャブの2000GTに対して、SUキャブを2連装したツインキャブでパワーアップ、最高出力130ps/最大トルク17.5kgmまで向上。特に2000GTと較べると、DOHC化の威力によって高回転域の伸びに優れていた。まさに2000GTとGT-Rの中間的な性能を誇った。


エクステリアは、ダブルリボン式のタイヤやブラック仕上げのホイールカバーなどで、特別なグレードであることをアピール。装備についても、シートやドアトリムに専用のファブリック張りを使って華やかさを演出。さらに8トラック式のカセットオーディオ、パワーウインドウが標準装備。クーラーはオプションだったが、装備の充実ぶりも目を見張るものがあった。

車両価格は、99.3万円(4速MT)/104.8万円(3速AT)に設定。現在の価値では、約675万円/713万円に相当する。
スカイラインGT-Xは、走りと快適性を両立させたグランドツーリング(GT)カーの先駆的なモデルとして人気を獲得したが、話題性が高く強烈なインパクトを持ったGT-Rの陰にやや埋もれがちだった。
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スカイラインGT-Xは、翌1972年に4ドアセダンも発売されたが、その年の9月には4代目(C110型)「ケンメリ」へとモデルチェンジ、ケンメリでもGT-Xは同じ位置付けで設定されたが、5代目(C210型)「ジャパン」以降はGT-Xは設定されなかった。中間的イコール中途半端と見られたのだろうか。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。