実証の背景
日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラル(CN)を目指しており、物流業界においても脱炭素化が急務となっている。24時間営業のコンビニエンスストアへの配送は昼夜問わず連続して行われるため、車両の高い稼働率が求められている。また、配送用トラックの電動化には充電に伴うダウンタイムが大きな課題であり、短時間で満充電のバッテリーに交換できるバッテリー交換式車両の活用が有効な解決策とされている。
今回、バッテリーを両サイドから同時に交換可能な仕様に改造した「エルフEV」が3台配備され、横浜市内のファミリーマート約80店舗にてルート配送が行われる。この実証用車両はバッテリー交換ステーションとの通信機能を搭載し、車両がステーションに入庫すると自動で満充電のバッテリーへと交換が始まり、従来のディーゼル車の燃料給油と同等の時間でバッテリー交換が完了する。このように、今回の実証実験では現場の業務効率化と車両運行の継続性向上について検証される。

2024年10月から行われている、いすゞ藤沢工場内での実証実験が撮影されたもの
実証の概要
| 実証開始日 | 2025年11月 |
|---|---|
| 車両台数 | 3台 |
| 車両用途 | ファミリーマート店舗への商品配送 |
| 実証実験エリア | 横浜市内 |
| 主な役割 | いすゞ:バッテリー交換ステーションと車両の開発・設置・管理、実証プロジェクト管理、事業性・脱炭素効果検証 ファミリーマート:実証事業のフィールドデータ提供 伊藤忠商事:実証プロジェクト管理、事業性・脱炭素効果検証支援 横浜市:実証用地に関する調整、関係法令等に関する調整 |
物流におけるCNへの取り組みが求められる中、いすゞが提案する「EVision Cycle Concept(イービジョン・サイクル・コンセプト)以下ECC」は、車両からバッテリーを切り離して短時間で満充電のバッテリーに交換できるため、車両のダウンタイムの大幅な短縮による輸送稼働の効率化と、バッテリーEVによるCN化の両立が可能。
また、いすゞはEV普及促進としての活用のみなならず、地域の再生可能エネルギーの普及への貢献など、切り離された車両用バッテリーの利活用方法も今後検討する。
| 時期 | 取り組み |
|---|---|
| 2023年10月 | 「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー)」で、バッテリー交換式ソリューション「EVision Cycle Concept」を世界初公開 |
| 2024年10月 | 藤沢工場で社内実証実験を開始。車両両側からバッテリー交換が可能なステーションを設置 |
| 2025年11月 | ファミリーマート、伊藤忠商事、横浜市とバッテリー交換式EVトラックを用いた配送実証を開始 |