どんな火災でも初期段階なら個人で対処できる

クルマを運転中、なにやらきな臭いニオイを感じたと思ったら、エンジンルームから白い煙が……。想像するだけでも恐ろしい車両火災だが、その原因は様々。エンジンの不調や燃料漏れ、など機械的な問題から、EVの場合にはバッテリーの劣化やショート、またタバコの火の不始末など人為的なものまで、実はそれぞれの状況によって適切な消火方法が異なるという、なんとも厄介な問題なのである。たとえばガソリンやディーゼル燃料が燃えているとき、水をかけると逆に燃え広がってしまうので厳禁。

またEVやハイブリッドのバッテリーは種類によって、水をかけると爆発してしまうことも。正直、車両火災が発生した場合にもっとも適切な方法は速やかに119番に通報することだが、我々にもできることがある。そう、初期消火だ。

燃え始めならコンパクトな消火器でも消し止めることが可能で、被害を最小限に抑えられるのだ。そこで車載にお勧めのコンパクトな消火器具2モデルを紹介しよう。日本の消防法令上では「消火器具」と呼ばれており、法令上設置が義務付けられている消火器と入れ替えて設置することはできないが、初期消火には非常に有効なアイテムなのである。

グローブボックスやシート下などわずかなスペースに設置でき、操作も簡単でイザというときすぐに使える。いずれも使い切りタイプだが長期保存が可能。ちなみに初期消火の目安は、出火から約2分といわれている。イザというときはそうそう来るものではないが、手元に消火器具があれば、安全度も格段に高まる。備えあれば憂いなしなのだ。

長期保存が可能で火元から距離を置いて対処できるスティックタイプ

TCL『ファイヤーショーカスティック』は、車載の発煙筒と同様の操作で、空気を遮断する薬剤を約100秒も噴射。ガスを用いたスプレータイプではないので耐用年数約15年と長期保存が可能な消火器具である。

可燃性固体火災(布や木材など)はもちろん、可燃性燃料火災や電気火災などほとんどの種類の火災に対応できる。全長は約330mmでグローブボックスにちょうど収まるサイズ。質量は約365gという軽量コンパクトなスティックタイプで、火元に近づかなくても消火作業が可能なのだ。噴射される主な成分は微細なカリウム粒子と窒素、水蒸気。白い蒸気状の気体が火元を包み込み空気を遮断。消火できるという仕組みになっている。

TCL『FIRE SHOKA STICK FSS100SEC(価格:1万9800円/税込)』
使い方はまず黒いハンドルを持ちながら赤い保護カバーを取り外す。そしてハンドル後部にある黄色いキャップを外し、噴射口先端と黄色いキャップの先端同士、マッチを点ける要領で擦ると点火される。
薬剤の噴射はすぐに始まるので顔などは近づけないこと。噴射時間は約100秒。

手軽に使えて安全性にも優れるエアゾールタイプ

マカン『ファイアアウト』は、片手で持てるペットボトルサイズながら、天ぷら油火災や電気火災などにも対応できる水溶性消火剤を採用したエアゾールタイプの消火器具。

本体質量は約535gで連続噴射時間は約20秒。90℃の耐熱試験にも合格しているので、クルマへの積載も安心だ。使い方は上部のキャップを外してスプレーするだけ。水溶性消火剤を使用しているので、粉末性に比べて使用後の掃除も簡単という点も見逃せないポイントだ。

MKN『FIRE OUT(価格:1万2800円/税込)』
使い方は火元に向けてスプレーするだけ。噴射時間は約20秒で断続使用も可能となっている。
車内のドリンクホルダーにピッタリ収まるサイズ。壁掛け用ホルダーも付属しており、様々な場所に設置可能だ。