スバル車300台!? 絶版旧車から最新モデルまで富士山麓に大集合した『富士でスバルの秋祭り』に行ってみた! | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム

今年は富士で秋祭り!オールスバルファンミーティング第2回 静岡県袋井市/掛川市の小笠山総合運動公園「エコパ」P3駐車場にて、オールスバルのミーティングイベント『エコパでスバルの秋祭り』が開催されたのは2024年9月23日 […]

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【『富士でスバルの秋祭り』レポート vol.1】イベントの様子はこちら。

イベント参加車両で一番古いモデルは初代レオーネRX

『富士でスバルの秋祭り』はオールスバルミーティングだけに、新旧様々なモデルがエントリーする。前回の『エコパでスバルの秋祭り』ではスバル360が最古のモデルだったが、今回は初代レオーネが参加車両の中では一番古かった。

『富士でスバルの秋祭り』参加車両最古のモデルとなる初代レオーネRX。

初代レオーネは1971年に登場し、1979年に2代目にモデルチェンジするまで8年間も販売された。その間、乗用車初となる4WD(四輪駆動)の設定、SEEC-Tによる排ガス規制のクリア、ピラーレスハードトップ、ピックアップトラックのブラットの追加と、何かと話題が多いモデルである。

スタイルはファストバッククーペだが、リヤはハッチバックではなくトランク。

そんな話題のひとつが今回『富士でスバルの秋祭り』に参加していた「RX」の追加だ。スポーツグレードである「1400GSR」をモータースポーツ参戦も視野に入れ、専用のハードサスペンションとクロスレシオの5速MTを採用したホッテストモデルとして1972年に登場。量産大衆車としては日本で初めて4輪ディスクブレーキを採用している。

「RX」のエンブレムに加え「5SPEEDS」=5速MTと「4DISCS」=4輪ディスクブレーキのエンブレムが組み合わせられている。左のステッカーは、当時スバル車やいすゞ車を扱っていた伊藤忠自動車のもので、レプリカではなく本物だとしたら貴重なステッカーだ。余談だが、伊藤忠自動車は後に中央スバルになり、1999年に東京スバルに統合された。

レオーネRXは競技ベース車両的にあ位置付けもあり、国内のラリーなどで活躍。1974年の「第16回日本アルペンラリー」では平林 武/中原祥雅組がスカイラインやセリカ、レビン(TE27)、ブルーバードSSS(510)といった排気量で上回るスポーツモデルを向こう回しにして優勝している。

エンジンはEA63S型1361ccL水平対向4鬼頭OHV。ツインバレルキャブと10.0:1の圧縮比から最高出力93p/6800rpmと最大トルク11.0kgm/4800rpmを発生。レオーネといえばスペアタイヤをエンジルームに搭載するのが普通だが、RXのみトランクに搭載されている。

初代レオーネは排ガス規制の影響で、規制をクリアしたとはいえダウンしたパワーを補うために排気量をアップしている(1975年)。RXも当初の1.4Lから1.6Lに変更されたが、この車両は1.4Lのモデルだ。

昨今のクルマからは考えられないくらいエンジンルーム内に余裕がある。
初代レオーネの型式はA型。このRXはA22型だ。

オーナーに話を訊くと、さすがに維持管理には気を遣っているという。とはいえ、機関系のパーツであれば意外と海外から入手することができたり、それ以外でもオーナーズクラブで融通し合うなどしているとのこと。さすがに今年の夏はおいそれと乗れる暑さではなかったが、ようやく涼しくなってきたので思い切って参加したそうだ。

レオーネRXのコックピット。細身の大径ウッドステアリングが当時感あふれる雰囲気だ。シフトノブにはレオーネのマークがあしらわれている。センターコンソールには三連メーターを追加。助手席側のマップランプやダッシュボード下に設置された機器はラリー用だろうか?
スポーティなモノフォルムのレザー調シート。
リヤクォーターウインドウやリヤウインドウルーバーが時代を感じさせる。
無線用のアンテナとルーフベンチレーターは非オリジナル。

この初代レオーネRX以降、レオーネのスポーツグレードは「RX」の名を受け継いでいく。レオーネがインプレッサにバトンタッチした際にはそこにWRCとのダブルミーニングで「WRX」へとなり、現在のスバルWRXに続いている。そう考えると、この初代レオーネRXは非常に重要なモデルだということになる。

ボディサイドにはストライプをあしらい、「RX」ロゴを組み合わせる。
ボディサイドには車名とエンブレム。なかなかカッコいいデザインだ。
旧エンブレムは星の配置が星座通りに並んでいる。
リヤのマッドフラップはタイヤハウスとリヤバンパーで二重に設置。バンパー側は金属ステーに蝶番で可動する非常に凝った作りだ。
タイヤはグッドイヤー・エフィシエントグリップエコを装着。サイズは175/70R13だ。

スバル系のイベントでも初代レオーネの姿を見ることは非常に稀、『富士でスバルの秋祭り』で見ることができたのは幸いだった。会場でも注目を集めており、ゲストのマリオ高野さんも関心しきりだったようだ。

フラッグシップの夢よ、もう一度……アルシオーネ

今でこそBRZが人気を集めているが、スバルの独立したクーペモデル(レオーネクーペやインプレッサクーペのような派生モデルではなく)は商業的には不遇だった。それゆえに、今となっては非常に貴重な存在となっている。

アルシオーネオーナーズクラブ「XAVI(”クサビ”と読む)」もあり、イベントにはメンバーが都度都度参加しているよう。

初代アルシオーネはスバル初のフラッグシップモデルとして1985年に登場。リトラクタブルヘッドライトを採用した強い楔形のスタイルが特徴。ドアハンドルまでフラッシュサーフェース化して、当時としては最高レベルのCd値0.29を達成(FFの「VS」)したことが話題となった。

左から前期VRターボ(4WD)、後期VSターボ(FF)、後期VRターボ(4WD)。FFの「VSターボ」は4WDの「VRターボ」や「VX」(今回は不参加)に比べると車高がかなり低いのがわかる。

3代目レオーネから流用したコンポーネンツではスタイルからは想像もできない悪路走破性はともかくとして、クーペモデルとしては性能不足は否めず、当時のスバルのブランドイメージやクーペにしてはやたらと高い車高と癖の強いデザインが災いして販売は低迷。スバル初の水平対向6気筒エンジン搭載グレード「VX」を追加するも、起爆剤とはならなかった。

女子会エリアに参加した後期VSターボ’(FF)。今回は6気筒グレード「VX」の参加は無かった。

アルシオーネは1991年に、2代目となるアルシオーネSVXにモデルチェンジ。ジョルジェット・ジウジアーロがデザインしたグラスラウンドキャノピーを採用したデザインと水平対向6気筒エンジンのフィーリングは秀逸だったものの、バブル崩壊による景気低迷もあり、残念ながら販売的には振るわず1996年に生産終了となった。

アルシオーネSVXは当日エリアも含めて2台が参加していた。
“500miles a day”を謳ったグランドツアラーだが、まだETCの無い当時、開閉部が狭いミッドフレームウインドウは高速道路などの料金所でのやりとりが大変だったらしい。

初代、2代目ともに他にないスタイルでコアな人気があるアルシオーネ。発売当時よりもむしろ最近の方が高く評価されている印象もある。とはいえ、どちらもすでに30年〜40年前のクルマになってしまった。こうしたイベントで見ることができるのは、維持管理しているオーナーに感謝しきりである。

マイナー寄りのスバルのオリジナル軽自動車

スバルが経営・開発資源の選択と集中のために軽自動車生産から撤退したのが2012年。以降、スバルで販売される軽自動車は同じ大トヨタグループのダイハツ製となっている。軽トラ・軽バンのサンバーは不動の人気を誇ったが、ヴィヴィオ以降、プレオ、ステラと軽ハイトワゴンブームには乗り遅れてしまった。

そんなステラが1台参加。しかも専用色のWRブルー(マイカメタリック)を纏った500台限定車「カスタムRS Sエディション」の4WDモデルだそうだ。

スバルはプレオ、ステラを設定する一方で、軽ハイトワゴンブームとは異なる路線でパーソナルコミューター的なモデルを開発。スバル360の後継モデルの名跡を継いだR2(初代はR-2)と、その3ドアモデルのR1だ。

R2の参加車は1台。R2は当初、スバルがファミリーフェイス化を図っていたスプレッドウイングスグリルで2003年にデビューしたが、翌年には早くも変更されている。このR2はスポーティグレードの「typeS S」(スーパーチャージャー仕様)で、ボディカラは2005年に設定されたWRブルー・マイカのようだ。
R1は2005年デビュー。パーソナルコミューターを目指した3ドアクーペスタイルが特徴。ゲストの山下秀選手のクルマ(写真)ともう1台の2台も参加していたのが驚きだ。さらに驚くことに……
ボディカラーと合わせたツートーンカラーが特徴のインテリア。カラーといいデザインといいセンスよくまとまっていると思うが……さて、お分かりいただけただろうか?
トランスミッションがラインナップに無い5速MTに換装されているのだ。R1は、エンジンは直列4気筒SOHC/DOHC/DOHCスーパーチャージャー、駆動方式はFFと4WDが用意されたが、トランスミッションはCVTのみの設定だった。山下選手のクルマは群馬県のショップで換装されたものだという。
リヤバンパーには勝手に貼られたというロッソモデロのステッカーがあるが、基本的にはノーマル。
フロントフェンダーとリヤゲートに自作したてんとう虫のステッカーを貼る。リヤゲートのものはR1の車名入りだ。実際、R1はスバル360をフィーチャーしており「NEWてんとう虫」のキャッチコピーを用いていた。
ホイールはミニライトを装着。小さいクルマにはミニライトを履かせいたいというのは山下選手の趣味。165/50R15サイズのグッドイヤー・イーグルLS2000ハイブリッドIIを組み合わせる。

残念なことにR2が2003年〜2010年の7年間で約13万台、R1に至っては2005年〜2010年の5年間で1万5000台にとどまった。R2でも2万台弱/年、R1は3000台/年と台数が求められる軽自動車としては厳しい数字だ。しかも販売終了から15年経っており、現存個体の数も減ってきていることだろう。それが3台(しかも2台が少数派のR1!)も参加しているのだから、このイベントの奥深さを感じる。

もう1台のR1は参加したオーナーのクルマ。たまたま出先の群馬で見つけて、即決で購入したそうだ。こちらのクルマは色々とカスタムされている。弊社刊行の『スバルスタイル』が取材していたので、次号以降に詳細が掲載されると思われる。
ステアリングはスパルコ製。ドライバーズシートも交換している。
この個体も5速MTに換装されており、おそらく山下選手のクルマと同じショップの手によるものだと思われる。

意外と少ないSUV系……でも、並行輸入車も?

今や時代はすっかりSUV。スバルもフォレスターを筆頭にクロストレックやレヴォーグレイバック、ちょっと前までレガシィアウトバックをラインナップしていた。そして、今回のイベントには、なんと日本未導入のアセントが新旧2台も参加していたのだ。

2018年から北米エリアで販売されているSUV、アセント。左が2022年にマイナーチェンジされた現行モデル。全長4999mm、全幅1930mmと日本的に見れば大型だが、クルマのグローバル化、大型化で今となってはそれほど大きいわけでもない。アルファードやCX-80よりちょっと幅がある程度のサイズ感だ。
右がマイナーチェンジ後のモデル。日本未導入モデルでは、アセントの前のモデルにあたるトライベッカの姿はなかった。

もちろん、今やスバル車の一番人気にまで成長しただけあって、フォレスターも歴代モデル合わせてなかなかの台数が集まっていた印象だ。そして、なぜかSG型はローダウン系カスタムが多いように見えた。STIバージョンなどオンロード仕様車がラインナップされたせいだろうか?一方で、比較的最近のモデルはノーマル然としたクルマが多く見えた。

ルーフラックにバグガード、フォグランプを装着。ハイリフトしてブリヂストン・デューラーM/Tを履かせたワイルド系カスタムを施したSK型フォレスター。このタイプのカスタム車はあまり見かけなかった。
こちらのSK型フォレスターはブースを出展していた「名もなき」のデモカー。フォレスターではSK型が多かった。
2025年に発売されたばかりの現行モデル(SL型)のフォレスターは1台。

その他にも気になるクルマが……よく見ると希少モデルが何台も!?

流石に歴代全モデルとまではいかないが、実に多彩なスバル車が参加していた『富士でスバルの秋祭り』。車種はもちろん、メジャー車種であっても希少なグレードや仕様だったりするクルマもいて実に油断ならない。

BE型レガシィB4のスパークイエローマイカは生産台数9台とも言われるレアカラー。コンディションも良く、ゲストのSTI篠田淳氏は「褪せやすいこのカラーをこのコンディションに維持している点が実に素晴らしい」と絶賛した。
BP型レガシィツーリングワゴンの『ガールズアンドパンツァー』(聖グロリアーナ女学院・ローズヒップ)仕様の痛車。
BE/BH型に続いて設定された「ブリッツェン」がベース。
しかも水平対向6気筒を搭載した「ブリッツェン6」だ。
2018年にSTI設立20周年を記念として500台限定で販売されたコンプリートカー・WRX STI TYPE RA-R。
販売価格は499万8240円。自動車価格が高騰する今となっては安く感じる。
この個体のシリアルナンバーは195/500だそうだ。
希少モデルというわけではないが、NBR Challenge車もかくやのワイドボディが大迫力のVA型WRX STI。
スプリッター付きGTウイング。フェンダー後端はエアアウトレットになっている。
ウイングの下のトランクリッドにはメッシュのアウトレット風デカール。
タイヤはシバタイヤREVIMAX R23。295/30R18という超ワイドサイズ。

ワゴンブームを牽引し、歴代モデルで最も、しかもダントツに売れた(約49万5000台で、次が4代目の約29万台)2代目レガシィも今やすっかり希少車に。『富士でスバルの秋祭り』には、前回紹介したセダンとこのツーリングワゴンの2台のみだった。

ホイールがインプレッサWRX用16インチになっている以外はノーマル然としたレガシィツーリングワゴン「GT」。前期型のグリルだが、サイドモールがボディ同色になっているのが気になるところ。

こうした貴重なクルマを一堂に見ることができるのだから、たとえ参加しなくとも見ているだけでも楽しめるイベントだったと言えるだろう。

スバル車以外もギャラリーで参加

スバル車のミーティングではあるが、ギャラリー参加にはスバル車以外のクルマも並んでいた。中には1990年代末のスポーティカーや現代の4WDスポーツが並ぶあたり、スバルのスポーツイメージに通じるものがある。

本気のFFスポーツとして人気を集めたホンダ・インテグラタイプR(DC2型)の後期98スペックと、最後の直列6気筒搭載モデルとなったR34型スカイライン。
現代の国産4WDスポーツの代表的存在であるトヨタGRヤリスと、4WDスポーツ車の元祖的なアウディのスポーツモデルRS3。
スバルオーナーはレプリカ好き?WRCだけじゃない!?『富士でスバルの秋祭り』のレプリカマシンをまとめて見せます! | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム

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【『富士でスバルの秋祭り』レポート vol.2】レプリカマシン編はこちら。

フォトギャラリー:『富士でスバルの秋祭り』の希少車、ほか