イベント参加車両で一番古いモデルは初代レオーネRX
『富士でスバルの秋祭り』はオールスバルミーティングだけに、新旧様々なモデルがエントリーする。前回の『エコパでスバルの秋祭り』ではスバル360が最古のモデルだったが、今回は初代レオーネが参加車両の中では一番古かった。

初代レオーネは1971年に登場し、1979年に2代目にモデルチェンジするまで8年間も販売された。その間、乗用車初となる4WD(四輪駆動)の設定、SEEC-Tによる排ガス規制のクリア、ピラーレスハードトップ、ピックアップトラックのブラットの追加と、何かと話題が多いモデルである。

そんな話題のひとつが今回『富士でスバルの秋祭り』に参加していた「RX」の追加だ。スポーツグレードである「1400GSR」をモータースポーツ参戦も視野に入れ、専用のハードサスペンションとクロスレシオの5速MTを採用したホッテストモデルとして1972年に登場。量産大衆車としては日本で初めて4輪ディスクブレーキを採用している。

レオーネRXは競技ベース車両的にあ位置付けもあり、国内のラリーなどで活躍。1974年の「第16回日本アルペンラリー」では平林 武/中原祥雅組がスカイラインやセリカ、レビン(TE27)、ブルーバードSSS(510)といった排気量で上回るスポーツモデルを向こう回しにして優勝している。

初代レオーネは排ガス規制の影響で、規制をクリアしたとはいえダウンしたパワーを補うために排気量をアップしている(1975年)。RXも当初の1.4Lから1.6Lに変更されたが、この車両は1.4Lのモデルだ。
オーナーに話を訊くと、さすがに維持管理には気を遣っているという。とはいえ、機関系のパーツであれば意外と海外から入手することができたり、それ以外でもオーナーズクラブで融通し合うなどしているとのこと。さすがに今年の夏はおいそれと乗れる暑さではなかったが、ようやく涼しくなってきたので思い切って参加したそうだ。


この初代レオーネRX以降、レオーネのスポーツグレードは「RX」の名を受け継いでいく。レオーネがインプレッサにバトンタッチした際にはそこにWRCとのダブルミーニングで「WRX」へとなり、現在のスバルWRXに続いている。そう考えると、この初代レオーネRXは非常に重要なモデルだということになる。
スバル系のイベントでも初代レオーネの姿を見ることは非常に稀、『富士でスバルの秋祭り』で見ることができたのは幸いだった。会場でも注目を集めており、ゲストのマリオ高野さんも関心しきりだったようだ。
フラッグシップの夢よ、もう一度……アルシオーネ
今でこそBRZが人気を集めているが、スバルの独立したクーペモデル(レオーネクーペやインプレッサクーペのような派生モデルではなく)は商業的には不遇だった。それゆえに、今となっては非常に貴重な存在となっている。

初代アルシオーネはスバル初のフラッグシップモデルとして1985年に登場。リトラクタブルヘッドライトを採用した強い楔形のスタイルが特徴。ドアハンドルまでフラッシュサーフェース化して、当時としては最高レベルのCd値0.29を達成(FFの「VS」)したことが話題となった。

3代目レオーネから流用したコンポーネンツではスタイルからは想像もできない悪路走破性はともかくとして、クーペモデルとしては性能不足は否めず、当時のスバルのブランドイメージやクーペにしてはやたらと高い車高と癖の強いデザインが災いして販売は低迷。スバル初の水平対向6気筒エンジン搭載グレード「VX」を追加するも、起爆剤とはならなかった。

アルシオーネは1991年に、2代目となるアルシオーネSVXにモデルチェンジ。ジョルジェット・ジウジアーロがデザインしたグラスラウンドキャノピーを採用したデザインと水平対向6気筒エンジンのフィーリングは秀逸だったものの、バブル崩壊による景気低迷もあり、残念ながら販売的には振るわず1996年に生産終了となった。


初代、2代目ともに他にないスタイルでコアな人気があるアルシオーネ。発売当時よりもむしろ最近の方が高く評価されている印象もある。とはいえ、どちらもすでに30年〜40年前のクルマになってしまった。こうしたイベントで見ることができるのは、維持管理しているオーナーに感謝しきりである。
マイナー寄りのスバルのオリジナル軽自動車
スバルが経営・開発資源の選択と集中のために軽自動車生産から撤退したのが2012年。以降、スバルで販売される軽自動車は同じ大トヨタグループのダイハツ製となっている。軽トラ・軽バンのサンバーは不動の人気を誇ったが、ヴィヴィオ以降、プレオ、ステラと軽ハイトワゴンブームには乗り遅れてしまった。

スバルはプレオ、ステラを設定する一方で、軽ハイトワゴンブームとは異なる路線でパーソナルコミューター的なモデルを開発。スバル360の後継モデルの名跡を継いだR2(初代はR-2)と、その3ドアモデルのR1だ。





残念なことにR2が2003年〜2010年の7年間で約13万台、R1に至っては2005年〜2010年の5年間で1万5000台にとどまった。R2でも2万台弱/年、R1は3000台/年と台数が求められる軽自動車としては厳しい数字だ。しかも販売終了から15年経っており、現存個体の数も減ってきていることだろう。それが3台(しかも2台が少数派のR1!)も参加しているのだから、このイベントの奥深さを感じる。

意外と少ないSUV系……でも、並行輸入車も?
今や時代はすっかりSUV。スバルもフォレスターを筆頭にクロストレックやレヴォーグレイバック、ちょっと前までレガシィアウトバックをラインナップしていた。そして、今回のイベントには、なんと日本未導入のアセントが新旧2台も参加していたのだ。


もちろん、今やスバル車の一番人気にまで成長しただけあって、フォレスターも歴代モデル合わせてなかなかの台数が集まっていた印象だ。そして、なぜかSG型はローダウン系カスタムが多いように見えた。STIバージョンなどオンロード仕様車がラインナップされたせいだろうか?一方で、比較的最近のモデルはノーマル然としたクルマが多く見えた。



その他にも気になるクルマが……よく見ると希少モデルが何台も!?
流石に歴代全モデルとまではいかないが、実に多彩なスバル車が参加していた『富士でスバルの秋祭り』。車種はもちろん、メジャー車種であっても希少なグレードや仕様だったりするクルマもいて実に油断ならない。




ワゴンブームを牽引し、歴代モデルで最も、しかもダントツに売れた(約49万5000台で、次が4代目の約29万台)2代目レガシィも今やすっかり希少車に。『富士でスバルの秋祭り』には、前回紹介したセダンとこのツーリングワゴンの2台のみだった。

こうした貴重なクルマを一堂に見ることができるのだから、たとえ参加しなくとも見ているだけでも楽しめるイベントだったと言えるだろう。
スバル車以外もギャラリーで参加
スバル車のミーティングではあるが、ギャラリー参加にはスバル車以外のクルマも並んでいた。中には1990年代末のスポーティカーや現代の4WDスポーツが並ぶあたり、スバルのスポーツイメージに通じるものがある。


フォトギャラリー:『富士でスバルの秋祭り』の希少車、ほか
スバル車300台!? 絶版旧車から最新モデルまで富士山麓に大集合した『富士でスバルの秋祭り』に行ってみた! | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム



















スバルオーナーはレプリカ好き?WRCだけじゃない!?『富士でスバルの秋祭り』のレプリカマシンをまとめて見せます! | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム