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今日は何の日?

■高性能VTECエンジンを搭載したプレリュードSiR・S spec

1998(平成10)年9月25日、ホンダは1996年11月にモデルチェンジした5代目「プレリュード」に、最高出力220psのスポーティな走りの「SiR・S spec」を追加した。SiR・S specは、もともと設定されていたSiRグレードに、高性能グレードType Sに搭載されていたハイチューンの220psエンジンを搭載して仕立てられた。

ホンダ5代目「プレリュードSiR・S spec」
1998年に追加設定された5代目「プレリュードSiR・S spec」

2代目と3代目プレリュードはデートカーとして一世を風靡

初代「プレリュード」
1978年に登場した初代「プレリュード」
初代「プレリュード」
1978年に登場した初代「プレリュード」のコクピット、エンジン

初代プレリュードは1978年11月に誕生。直線基調のワイド&ローのオーソドックスなクーペスタイルの初代プレリュードは、FFながら俊敏な走りと優れたハンドリング性能は評価されたが、スタイリングが地味であったためか、日本での販売は期待ほど伸びず、むしろ米国で評価された。

2代目「プレリュード」
1982年に登場した2代目「プレリュード」
2代目「プレリュード」
1982年に登場した2代目「プレリュード」のエンジン

1982年11月には、初めてのモデルチェンジで2代目に移行。リトラクタブルヘッドライトの採用によってノーズを下げ、ワイド&ローのスポーティなスタイリングに変貌し、多くの先進技術が採用された。パワートレインは、125ps/15.6kgの1.8L 直4 SOHC CVCCエンジンと5速MTおよび4速ATの組み合わせ。

2代目「プレリュード」
1982年に登場した2代目「プレリュード」のコクピット、シート

2代目プレリュードは、デートの際に女性にも好れる“デートカー”の元祖として、若者層を中心に人気を獲得し大ヒットを記録した。

3代目「プレリュード」
1987年に登場した3代目「プレリュード」
3代目「プレリュード」
1987年に登場した3代目「プレリュード」のエンジン
3代目「プレリュード」
1987年に登場した3代目「プレリュード」のコクピット、シート

続いて1987年4月に登場した3代目は、人気のワイド&ローのスタイリングとリトラクタブルを継承しながらも、さらに2代目にも増して最新技術を投入。なかでも最大のアピールポイントは、世界初を謳った4WS(4輪操舵)で、エンジンについては145ps/17.8kgmへと大幅にパワーアップした2.0L 直4 DOHCエンジンを搭載。3代目は、バブルの後押しもあって2代目を凌ぐ人気を獲得し、デートカーの象徴的な存在となった。

4代目「プレリュード」
1991年に登場した4代目「プレリュード」
4代目「プレリュード」
1991年に登場した4代目「プレリュード」に搭載されたエンジン

そして、1991年9月にモデルチェンジした4代目は、ボディを大きく3ナンバー化してスポーティさをアピール。デートカーと呼ばれたスペシャリティカーからスポーツカーへと舵を切ったが、発売直後にバブル崩壊に直面したしため、プレリュードの勢いは失速し、人気に陰りが見え始めた。

スペシャリティカー復権を目指した5代目プレリュード

そして1996年11月には、歴代プレリュードの集大成として原点回帰を目指した5代目がデビューした。

5代目プレリュードSiR
1996年にデビューした5代目プレリュードの上級グレード「プレリュードSiR」
5代目プレリュードのスポーツグレード「プレリュード TypeS」
1996年にデビューした5代目プレリュードのスポーツグレード「プレリュード TypeS」

“クーペテクノロジー・プレリュード”のキャッチコピーのもと、異形ヘッドランプ採用による個性的なフロントマスクとロングノーズのノッチバッククーペスタイルを採用して、大人のクーペを印象付けた。

5代目プレリュード
1996年にデビューした5代目プレリュードに搭載されたエンジン

4つのグレードが設定され、エンジンはすべて2.2L 直4エンジンだが、それぞれチューニングを変えて特徴付けられた。ベースグレード「Xi」は、最高出力135ps/最大トルク19.6kgmのSOHCエンジンで優れた燃費性能が魅力だった。主力のグレード「Si」は、160ps/20.5kgmのDOHCエンジンでNA(自然吸気)らしいリニアな加速が持ち味。上級グレード「SiR」は、200ps/22.3kgmのDOHC VTECエンジンでパワフルさと静粛性を両立させた。そしてスポーティグレード「Type S」は、220ps/22.5kgmのDOHC VTECで100ps/Lを超える最強グレードである。

トランスミッションは、5速MTと4速ATが設定されたが、Type Sは5速MTのみだった。

5代目プレリュードのスポーツグレード「プレリュード TypeS」
1996年にデビューした5代目プレリュードのスポーツグレード「プレリュード TypeS」

足回りは4輪ダブルウィッシュボーン式で、改良版4WSも設定された。またスポーティグレードのType Sには、コーナリング時に左右の駆動力を最適化するATTS(アクティブ・トルク・トランスファー・システム)を採用して、優れたコーナリング性能が自慢だった。

車両価格は、5速MT仕様でXi:163.3万円/Si:188.3万円/SiR:218.3万円/Type S:265.3万円。当時の大卒初任給は19.5万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算で現在の価値で193万円/222万円/257万円/313万円に相当する。

SiRグレードに220psエンジンを搭載したSiR・S specを追加

ホンダ5代目「プレリュードSiR・S spec」
1998年に追加設定された5代目「プレリュードSiR・S spec」
5代目「プレリュードSiR・S spec」のリアビュー
5代目「プレリュードSiR・S spec」のリアビュー

5代目がデビューした約2年後の1998年9月のこの日、新たに上級グレード「SiR」の5速MT車に、Type S専用エンジンとして開発した最高出力220psの2.2L DOHC VTECエンジンを搭載したSiR・S specが追加された。

5代目「プレリュードSiR・S spec」のコクピット
5代目「プレリュードSiR・S spec」のコクピット
ホンダ5代目「プレリュードSiR・S spec」のシート
ホンダ5代目「プレリュードSiR・S spec」のシート

パワーアップの他にも、よりスポーティな走りを実現するリミテッド・スリップ・デフ(LSD)が採用され、さらにトランクスポイラーとボディ同色サイドシルガーニッシュ、16インチアルミホイール+205/50R16タイヤを装着し精悍さを強調。またインテリアには、革巻きステアリングホイールとシフトノブ、カーボン調メーターパネル、スウェード調シート表皮などを装備して、走る楽しさが演出された。

ホンダ5代目「プレリュードSiR・S spec」のエンジン
ホンダ5代目「プレリュードSiR・S spec」のエンジン

車両価格は、229.3万円、SiRグレードから11万円高額となった。

ホンダ5代目「プレリュードSiR・S spec」
1998年に追加設定された5代目「プレリュードSiR・S spec」

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大人の雰囲気を持つ完成度の高い5代目プレリュード。しかしそれを求めるユーザーは少なく、一世を風靡したプレリュードはこの5代目を最後に2001年に幕を下ろし、100ps/Lのエンジンを搭載した高性能なプレリュードType SやSiR・S specも評判になることなく市場から消えてしまった。が、2025年9月5日、いよいよ発売された6代目プレリュード。ここからまた新たな伝説が生まれるのだろう。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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