GTスーパーチャージャー&6速MTで武装!

オープボディのネガを払拭し、スポーツマシンへと進化!

Z33の中でも、電動ソフトトップを備えたロードスターは立ち位置がちょっと異なる。クーペが走りを前面に押し出し、ワンメイクレース(Zカーチャレンジ)まで開催されたモデルであるのに対して、ロードスターはゆったりと流しながらオープンエアを楽しむGTカー的な性格をより強めたモデルだからだ。

そんなZ33ロードスターをベースに速さを求めたチューニングを施したのがエスプリ。「サーキットでタイムを狙いたい」というオーナーのリクエストに応える形で製作された。

当初、エンジンはHKS鍛造ピストンを使ったNAハイコンプ仕様として組まれた。が、その速さに満足できなかったオーナーはさらなるパワーアップを希望することに。そこで選ばれたのが、すでにエスプリでワンオフを含む数々の装着実績を誇っていたHKS GTスーパーチャージャー(GTS7040)だった。

「まず、軽量コンパクトでターボのように熱のことを考えんで済む。それと、エンジン回転数に合わせてリニアに高まっていく過給特性だからトルク変動が少なく、レスポンスにも優れる。そのへんがGTスーパーチャージャーのメリットやろな」とエスプリ代表の前川さんが言う。

しかも、エンジン本体はハイコンプ仕様のままGTスーパーチャージャーを装着。同時に燃料系は強化ポンプとR35純正インジェクターで容量アップが図られた。これで、過給効果が期待できない負圧領域のトルクやレスポンスを悪化させることなく、中高回転域の劇的なパワーアップを果たしている。

実はこのエンジン、製作されたのは10年以上も前のこと。今でこそ、高圧縮比のまま過給機をプラスする手法は自動車メーカーでも当たり前になってきたけど、エスプリではそれに先駆けてカタチにしていたことになるのだ。

エンジン制御はHKS F-CON Vプロが担当。R35純正インジェクター交換による燃調と点火時期をコントロールする。エアフロレスによるDジェトロ化はお約束だ。

マフラーはアミューズR1チタンに交換。排気効率の向上と軽快なエキゾーストサウンドを両立する。ボルトオンスーパーチャージャー仕様なら、エキマニ以降の排気系に手を加える必要がないのも大きなメリットと言える。

もちろん、サーキット走行を見据えた手直しはエンジンだけに留まらない。ミッションは5速ATから純正6速MTに換装。クラッチとデフはATS製カーボンで強化され、連続周回を可能にするためデフオイルクーラーも追加される。

また、オープンカーではどこのサーキットでも必須とされるワンオフロールケージを装着。運転席にはブリッドフルバケとタカタ4点式ハーネスが装備される。

足回りにはクァンタム車高調をセット。ブレーキはフロントブレンボ製6ポットキャリパー、リヤ4ポットキャリパーで強化される。

いい意味でZ33ロードスターらしくないチューニング内容とGTウイングまで備えた戦闘的スタイル。走りを突き詰めた一台が放つ存在感は独特だ。

●取材協力:エスプリ 三重県鈴鹿市住吉3-19-1 TEL:0593-70-8080

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