連載
今日は何の日?■ステーションワゴンとミニバンの良いとこ取りしたマークXジオ
2007(平成19)年9月26日、トヨタはミニバンの車高を低くしたステーションワゴン「マークXジオ」を発売した。使用シーンに応じてキャビンを2~7人乗りの様々な形に変化させて、ミニバンとステーションワゴンのそれぞれの使い勝手を備えた新発想の3列シート乗用車である。

マークXジオの先代にあたるマークIIブリッド

実質的なマークXジオの先代にあたる「マークIIブリッド」は、2002年1月にデビューした。「マークII」は、1980年代に“ハイソカーブーム”を巻き起こして一世を風靡したスポーティな高級セダン。しかし、バブル崩壊とともにセダン人気が低迷し、マークIIも9代目の2004年で幕を下ろした。しかし、9代目マークIIをベースにしたステーションワゴンのマークIIブリッドは、2007年まで販売。なお、2004年にマークIIの後を継いだのが、マークXである。

マークIIブリッドは、高級FRステーションワゴンとして高級セダンのマークIIとは全く違う精悍さとスポーティさをアピール。縦型の独立4灯ヘッドライトと強い傾斜を持たせた太いCピラーが個性的だった。
パワートレインは、2.0L 直4 DOHC、2.5L 直6 DOHC、トップグレードに最高出力280psを発揮する2.5L 直6 DOHCターボエンジンの3機種と、電子制御4速/5速ATの組み合わせ、駆動方式はFRと4WDが選べた。

高い走行性能とワゴンならではの居住性と収納性がマークIIブリッドのアピールポイントだったが、当時流行りのステーションワゴンとはコンセプトが異なったためか、市場ではあまり評価されず、2007年に生産を終了した。
ミニバンとステーションワゴンの特徴を生かしたマークXジオ

マークIIと入れ替わるように2004年11月にデビューしたマークX、その使命はユーザーの若返りによるセダン復権だった。そんなマークXの冠を付けたステーションワゴンとして登場したのが、2007年9月のこの日にデビューしたマークXジオである。

マークXジオはマークXを名乗るものの、デザインやメカニズムはマークXとの共通点は全くなし。マークXがFRに対し、マークXジオはFFレイアウトを採用していた。スタイリングはボンネットが短いワンモーションフォルムで、3列シートなのでミニバン風だが、ミニバンとステーションワゴンそれぞれの特徴を生かした構成となっていた。

ジオの3列シートの2列目は、グレードによってセパレートシートとベンチシートが選べ、3列目は2名掛け。したがって、セパレートシートなら6名、ベンチシートなら7名乗車となる。ただし、3列目は補助シートと位置づけ、1列&2列席の快適性を重視した点が、一般的なミニバンとは異なる。

パワートレインは、最高出力280ps/最大トルク35.3kgmの3.5L V6 DOHC、163ps/22.6kgmの2.4L 直4 DOHCの2種エンジンと、V6が6速AT、直4がCVTの組み合わせ。駆動方式はV6がFF、直4はFFと4WDが選べた。
車両価格は、2WDの標準グレードが256万円(2.4L)/333万円(3.5L)に設定された。


マークXジオは、広く快適な室内と多彩なシートアレンジが魅力だったが、当時の日本市場は実用性の高いボクシーなミニバンが流行り始めていた。当初は順調に滑り出したマークXジオだったが、見た目がやや窮屈そうに見えたためか、徐々に販売は苦戦して2013年に生産を終えた。

マークXもミニバン&SUV人気に押されて終焉
一方、2004年にセダン復権を目指してデビューしたマークXは、デビュー当初は目標を上回る販売でセダンとしては好調な滑り出しを見せたが、その後はミニバンとSUVが人気を加速する中で、マークXの販売も徐々に低迷した。
その後、2009年のモデルチェンジによって2代目へと移行し商品力の強化を実施。車両価格は先代より10万円程度安価に設定されたが、それでも歯止めはかからず、さらに販売台数は落ち込んでしまった。結局、ユーザーの若返りを図った新世代セダンのマークXだったが、セダン低迷に歯止めをかけることはできず、デビューから15年を迎えた2019年末に生産を終えた。
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3列目シートを使えばミニバン、畳めばステーションワゴンという、ミニバンとステーションワゴンの“一粒で二度おいしい”を狙ったマークXジオだったが、欲張りすぎて逆に安直な印象を与えてしまったのかもしれない。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

