軽量で走りが軽快なエンジン 重厚な乗り味のハイブリッド

2020年にデビューしたヤリスのSUV版となるヤリスクロス。SUVの中でも最近では最も伸びているBセグメントに属するが、ライバルに対すると後発だ。それだけに商品力で上回ろうという気合いを感じさせるモデルでもある。

エクステリア

力強い外観が特徴で、「GR SPORT」を除き、アッパーグリルにオフロード感の漂うアクティブなデザインを採用。よりSUVらしいタフな顔つきに仕立てられている。最小回転半径は5.3m。

車両価格、燃費性能などで優位に立ちながら、このクラスには珍しいパワーシートも備える。ただし、コストを掛けないよう開発した1モーター式のため作動音が大きいのはご愛敬。手動に比べれば快適だ。パワートレインは1.5ℓ直列3気筒のハイブリッドと1.5ℓ直列3気筒のエンジン車の2種類。それぞれ4WDも用意される。

インストルメントパネル

ハードスイッチを中心に操作系をセンタークラスターとステアリングに集約し、操作性のしやすさを重視している。2024年1月発売以降のモデルは、7.0インチメーターが標準化され、最新の8インチディスプレイオーディオに対応。

ヤリスに比べると100㎏ほど重くなるため動力性能に余裕はない。特にハイブリッドの4WDともなると1250㎏〜1270㎏もあるのでトルクの太いモーターが加わっても必要十分のギリギリといったところだ。エンジンが高回転になる頻度が高いので静粛性でも不利になる。FFならば80㎏ほど軽いのでだいぶ楽になるが、動力能重視で選ぶならば軽量なエンジン車がお薦めだ。

居住性

乗り心地に関しても軽い方が有利。背高のSUVで重ければそれだけサスペンションが硬くなるのは自明の理だからだ。エンジン車が快適ではあるものの、FFのハイブリッドはそこにほど良く重厚感が加わって落ち着いた乗り味となる。

うれしい装備

使い勝手でユニークなのが6対4左右分割式のアジャスタブルデッキボード。荷物の大きさなどに応じて床面の高さを2段階から選択できる。
「X」を除く全車に標準装備される4対2対4分割可倒式リヤシート。センターアームレスト付きで、2個のボトルホルダーを備える。
力強い加速を引き出せるパワー、エアコンと出力を抑えるエコなどの走行モードのほか、ハイブリッドは電池の残量によりEVモードにもなる。
月間販売台数    8778台 (24年9月~25年2平均値)
現行型発表     20年8月( 一部改良 25年2月)
WLTCモード燃費   30.8 ㎞/ℓ ※「X(ハイブリッド)」のFF車

ラゲッジルーム

軽量なヤリスと比べるとネガな面も見えるが、総合的な商品力は高いヤリスクロス。ヒットしているのも納得できる内容なのだ。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.167「2025-2026年 国産&輸入SUVのすべて」の再構成です。

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