ビームス仕様の3S-GEはレスポンス抜群の実測210馬力仕様!

天邪鬼な感性が生んだ昭和のアルテッツァ

「最初はAE86でドリフトしていたんですよ。グリップにもハマってハチロク世界一決定戦にも出場したくらいなのですが、いかんせん同じ車種が多くて目立たない。そこで目を付けたのが、AA63型カリーナでした」。開口一番、そのように語ってくれたのは、初期のD1GPで活躍した“TSファクトリー”の富久田代表だ。

D1GP発足当時からドライバーとして活躍していた富久田さん。2001年の初年度はカリーナ(TA63)で出場していたほど、カリーナへの思い入れは深いのだ。

カリーナはスポーツセダンとして打ち出されたモデルだ。フラッグシップはDOHCターボ(3T-GTEU)を搭載していたが、下位グレードにはハチロク同様の4A-GEU搭載モデルもあり、ハチロクに慣れ親しんだ富久田代表にとっては恰好の狙い目だったわけだ。

富久田代表が、これまで乗り継いできたカリーナは計3台。もちろん、どれもキッチリと手が入れられたチューンドで、搭載エンジンは4A-G→3S-GT→ビームス仕様の3S-GE…と、徐々に進化を図っている。

「このカリーナは“昭和のアルテッツァ”がコンセプトです。スポーツセダンとして進化したパワーユニットを組み合わせ、さらにフルコンのLINKで制御。見た目は懐かしく、走りは現代的スペックと呼べるレベルまで引き上げています」。

現在の相棒は、デュアルVVT-iを装備するアルテッツァ用の3S-GEを搭載したNAメカチューン仕様。アルテッツァ用のハーネスを丸ごと移植した上で、LINKのG4+プラグイン(SXE10用)でマネージメント。エンジン内部はノーマルとしているが、インマニを始めとする吸排気環境はワンオフメイドで完全にリメイクしている。

ラジエターはS2000の純正を流用。これについては「コアの大きさはもちろん、ラジエターホースの取り出し位置がベストだったので使ってみました」とのこと。

メータークラスターにはCAN対策も兼ねて、アルテッツァ純正メーターをインストール。切って貼った感が一切ないため、エンジン換装というハードメイクが行われていることを全く感じさせないクオリティだ。

ミッションはアルテッツァ純正6速だが、エンジン特性に合わせて、内部をクルスタルボディ横浜のクロスギヤとS15用6速ギヤを投入。サイドブレーキは、脱着式の延長アダプターをかませてドリフト時のコントロール性を高めている。

足回りは、ジールファンクションのカスタムオーダーを軸にセットアップ。ホイールは、当時感を重視してRSワタナベのエイトスポークを選択。ブレーキは前後ともR32スカイライン純正を移植して強化済みだ。

フロントエプロンやボンネット、トランク、フロントフェンダー等々、エクステリアはTSファクトリーのオリジナルFRPエアロでフル武装。補修用として使えるように純正デザインで仕上げられているのがポイントだ。これら外販パーツの軽量化により、車重は1070kgを実現している。

「他人とは違うオンリーワンのドリ車メイク」という天邪鬼からスタートしたAA63型カリーナチューニングだが、こういう仰天マシンが生息しているからドリフトの世界は面白いのだ。

●取材協力:TSファクトリー 栃木県日光市板橋2334-1 TEL:0288-27-1049

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