未来生活を現代に引っ張り込んで、いっそいまから実証実験!
「Woven City」とは、トヨタがトヨタ自動車東日本・東富士工場(静岡県裾野市)の跡地に建造した実験都市のこと。

街を模して造った街だから、愛知県の明治村かTBSの緑山スタジオシティにあるオープンセットのトヨタ版のようなものだが、「実験都市」を謳うだけにきちんと目的があり、自動運転をはじめ、パーソナルモビリティ、ロボットやスマート技術、人工知能(AI)といった、先進技術が採り入れられた生活を送るとどうなるかの実証実験のために造られた。
いってみれば、「未来の生活はどうなっているんだろう」とタイムマシンで未来に行き、そこで見た気に入った街の一部を勝手に切り取って現代に持ち帰り、そこで生活するイメージだ。







この街を造ったのはトヨタだが、未来生活を実験で送るには、いかに天下の自動車メーカー・トヨタといえど、トヨタ単独ではできない。
新しいプロダクトやサービスを開発・実証するには自動車分野以外のひとたちの力があってこそなわけで、この取り組みに参画する企業・個人をInventors(インベンター(発明家))と呼称。
そのインベンターは現時点で20の参画が決まっているといい、その一部を下記に掲げるが、トヨタのものづくりの知見やWbyTのソフトウェア技術と、インベンターが持つ、トヨタにはない強みおよび専門性をかけ合わせることで、新たな価値づくりをしていくのだと。
これをトヨタは「カケザン」による発明と称している。
インベンターにはアーティストも
そのインベンターのひとりに、トヨタはシンガーソングライターのナオト・インディライミさんを起用。
インベンターとして初のアーティストは、Woven Cityに於いて音の分野の実証を行なうのだそうで、ナオト氏は、Woven City Anthemとサウンドシンボルをプロデュースすることも決定している。
また、参画が決定しているInventorsに加え、さきの「カケザン」を加速すべく、より幅広い人たちにWoven Cityの実証に参加してもらうため、スタートアップや起業家、大学・研究機関など、企業・個人を対象に、9月8日からアクセラレータープログラム「Toyota Woven City Challenge – Hack The Mobility -」の募集中。
世界中のひとたちから、Woven Cityで試したい「カケザン」アイデアの応募を2025年10月14日まで受け付ける。
このカケザンによる発明者には、Weaversと呼ばれる住むひと、訪れるひとも含まれる。
WeaversはInventorsが提供するプロダクトやサービスを享受し、その使用性や感想をInventorsにフィードバック。
もしInventorsのひとも住人になるとすれば、そのInventorsもまた別のInventorsにとってはひとりのWeaversとなる。
お互いにお互いの感想を述べ合い、新たな価値をカケザンしてカイゼンしていくことになるのだろう。
2025年9月から、Phase 1としてトヨタ関係者とその家族数世帯が居住を始め、最終的には300名程度が住む予定で、一般のひとのビジターとしての受け入れも2026年度以降に予定しているという。
はじまりのイベント「Woven City Official Launch Weaving the Future:Day 01」開催
本日9月25日がWoven City「はじまりの日」ということで、「Woven City Official Launch Weaving the Future:Day 01」が開催された。
ここではさきのナオト氏がWoven Cityのテーマ曲であるWoven City Anthem「Woven City」を初披露。


ここでトヨタの取締役会長にしてWoven City のMaster Weaverである豊田章男氏は、
「Woven Cityで起こしていくのは『カケザン』です。掛け算は1社だけでは成り立ちません、最低でも2社は必要です。みんなで笑顔の2をかけていきましょう。たくさんの笑顔の未来をつむげる気がしてきませんか?」
と語った。

2020年のCESでのWoven City構想の公表から5年。
初代サニーや初代カローラが生まれた1966年は「モータリゼーション元年」と呼ばれる。
実証実験とはいえ、Woven Cityが本格稼働する今年2025年は、トヨタ史に於いて「モビリティカンパニー元年」であり、きょう9月25日はその「元旦」なのかも知れない。
決定しているInventorsの一部と実証テーマ
1.ダイキン工業 : 「花粉レス空間」や「パーソナライズされた機能的空間」に関する実証実験
2.ダイドードリンコ : 自動販売機を通じた新たな価値創造
3.日清食品 : 新たな「食文化」創造に向けた食環境の構築とその環境が及ぼす影響の検証
4.UCCジャパン : コーヒーが人々の創造性や生産性に与える影響を実証
5.増進会ホールディングス : データ活用による先進的な教育スタイル及び新しい学びの場の実現
6.インターステラテクノロジズ : ロケットの製造体制強化
7.共立製薬 : ペットと人の「より良い共生社会のあり方」を探る
8.ナオト・インティライミ : 音に関する実証
9.トヨタ自動車 :
1. e-Palette 様々なモビリティサービスに活用できるバッテリーEV。飲食の提供などサービス提供のプラットフォーム機能を実証
2. Personal Mobility Vehicle(PMV) 自由に安心して楽しめる電動小型三輪モビリティによるシェアサービスを実証
3. Summon Share 自律走行ロボット(Guide Mobi)によるシェアカーの自動搬送サービスを実証
10.WbyT : Smart Logistics モノの移動を簡単にする配送プラットフォームを活用し、将来はクリーニングやストレージサービスなど生活を支えるサービスを実証


