連載
今日は何の日?■コンパクトながら3列シート7人乗りを実現したシエンタ
2003(平成15)年9月29日、トヨタはキュートな7人乗り3列シートのコンパクトミニバン「シエンタ」を発売した。丸みのある可愛らしいコンパクトボディながら、ホイールベースを延長して3列シートを組み込み、主に若いファミリー層から人気を獲得した。

1980年代に誕生していたコンパクトミニバン
現在コンパクトミニバンと言えば、「シエンタ」とホンダ「フリード」が人気を2分しているが、1980年代にそれに匹敵するようなモデルが登場していた。

1980年代のアウトドアブームに対応して、1982年に日産からデビューした「プレーリー」は、マルチパーパスビークルを謳って乗用車ベースのミニバンとして人気を獲得した。続いて、1983年には同様のコンセプトの三菱「シャリオ」とホンダ「シビック・シャトル」も登場し、マルチビークルという言葉が流行った。

1997年にトヨタは、カローラベースの3列シート、6人乗りの「カローラスパシオ」、ターセル/コルサ系をベースにした「ラウム」を市場に投入された。
若いファミリー層から支持され大ヒットした初代シエンタ
本格的なミニバンブームは、1990年代のトヨタ「エスティマ」とホンダ「オデッセイ」によって火が付いた。2000年代に入ると、トヨタはミドルサイズのミニバン「ヴォクシー/ノア」、高級ミニバン「アルファード/ヴェルファイア」を投入。続いて、トヨタ最小のコンパクトミニバンとして2003年にデビューしたのが、シエンタだった。


シエンタは、コンパクトながらホイールベースを延長して3列シートを組み込み、丸目2灯ヘッドライトのキュートなフロントマスク、丸みのある可愛らしいスタリングを採用。インテリアは、シンプルながら機能性が重視された。パワートレインは、最高出力110ps/最大トルク14.4kgmを発揮する1.5L 直4 DOHCエンジンと4速ATおよびCVTの組み合わせ、駆動方式はFFと4WDが用意された。

車両価格は、2WDの標準グレードが137万円に設定。コンパクトながらミニバンに求められる機能を凝縮したシエンタは、若いファミリー層を中心に広い層から支持されて人気を獲得した。

そして2008年に、実質的な後継車としてパッソをベースにした「パッソセッテ」がデビューして、初代シエンタは2010年にいったん販売を終了した。パッソセッテはダイハツからのOEM車だが、スライドドアを採用せず使い勝手が悪かったため販売は低迷、2012年には販売を終了した。

そこでシエンタは、2011年5月にマイナーチェンジで急遽復活。その後、2代目シエンタが再登場することになったのだ。
スポーティな2代目は、環境技術や予防安全技術を充実
2015年7月のこの日、待望の2代目シエンタが登場。2代目シエンタは、初代のキュートな雰囲気からトレッキングシューズをイメージしたスポーティなフォルムに変貌した。

コンパクトミニバンながら、乗降しやすいフラットで低いフロアとワイドなスライドドアなど、小さな子供からシニアまで幅広いユーザーに優しく、サードシートを格納すると26インチの自転車も搭載できるユーティリティの高さはミドルクラスのミニバンにも匹敵した。

パワートレインは、新開発の100psを発揮する1.5L 直4 DOHCエンジンとハイブリッド。ハイブリッドモデルは、22.8km/L(WLTCモード)を記録し、ミニバンとしてトップクラスの燃費を誇った。さらに、急発進・急加速抑制制御やヒルスタートアシストを標準装備し、予防安全支援技術「TOYOTA Safety SenseC」がオプション設定された。

2代目シエンタの車両価格は、ガソリンモデルが168万~198万円、ハイブリッドが222万~232万円に設定され、発売月7月と8月の2ヵ月間で4.9万台と驚異的な販売を記録。2016年には12万台/年を超え、その後も2019年までは年10万台前後を販売する大ヒットモデルに成長したのだ。

・・・・・・・・・
2008年5月には、ホンダから同様のコンセプトの「フリード」が発売され、現在コンパクトミニバンはシエンタとフリードの2強時代を迎えている。両者の共通点は、全長4300mm程度のコンパクトボディで全高が高く、スライドドアを装備していること、これが若いファミリー層にとって理想的なミニバンということなのであろう。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。



