
KOVE が手がける MX450 DUAL SPORT は、その名のとおり「モトクロッサーと公道バイクのハイブリッド」を狙うモデルだ。基礎となるのはモトクロッサー MX450 であり、それを公道仕様に再設計を施したのがこの DUAL SPORT。EURO5+ 規制をクリアしつつ高出力と軽量性を維持することを目指し、「120 kg、47.5 PS」という公道オフ車としては最強スペックを掲げている。「公道オフ車 最強スペック」と公式サイトで謳われており、その挑戦的な立ち位置が明白だ。
価格は未定だが、2026 年春〜夏の日本国内発売を予定している。 カラーは現時点で「GREEN(緑系)」が表示されており、将来的に他色追加もありうる。
このモデルは、モトクロッサーの荒々しさを残しつつ、舗装路にも対応できる汎用性を手に入れようという意欲作だ。オフロードでの性能と、公道での取り回し性・安心感を両立させようとする試みが透けて見える。
エンジンと動力性能

心臓部には水冷 4 ストローク SOHC 単気筒 449 cm³ エンジンを搭載。EURO5+ 規制下でも 47.5 PS の高出力を発揮する。 排気系には一見チャンバー風のパイプが見えるが、これはキャタライザー(排ガス浄化装置)を内蔵するためのデザインで、その内側に排ガス処理機構が組み込まれている。さらに、キャタライザーの前後には 2 個の O₂ センサーが配置され、排気ガスの制御精度を高めている。
この設計により、オフロード性能と環境性能を両立させることを狙っている。モトクロッサー向け競技モデル “MX450 ENDURO” は最高出力 61 PS とされており、公道仕様との違いが明確だ。
この動力性能により、悪路から舗装路まで使える懐の深さを持たせようという意図が感じられる。単なる公道対応オフ車ではなく、エンジン性能そのものにも手を入れたモデルである点が強調される。
車体構造と足まわり設計

車体構造では、HC700 高強度鋼材を用いたダブルクレードルフレームに加え、アルミサブフレームを併用する設計とすることで強度と軽量性を両立。これにより車両重量を120 kg(半乾燥)に抑えている。
シート高は正式未発表だが、開発中のモデルにまたがった際、身長 170 cm・体重 75 kg のライダーが両足つま先立ちレベルで支えられたという記述があることから、足つき性は悪くないようだ。 タンク容量は 9.5 リットルで、モトクロッサー版 MX450 の 6.5 リットルから大幅に増量されており、公道走行時の実用性を重視した設計とみられる。
サスペンションは前後ともフルアジャスタブル仕様。だが、競技モデルよりストロークを短く設計し、足つきや扱いやすさに配慮している。 公道・舗装路での扱いやすさと、オフ走破性とのバランスを取る設計姿勢がうかがえる。
また、公道版として安全性確保のため ABS 装備等も想定されており、規制対応への配慮が随所に散りばめられている。
規制対応・発売時期と市場展望

MX450 DUAL SPORT は EURO5+ 規制のクリアを前提に設計されているが、エンデューロ仕様向け「L3e-A2E / A3E」規定も視野に入っており、最低地上高(310 mm 以上など)において符合しない可能性があるため、ABS 装備などの対策を講じつつ通常の EURO5+ 規制として申請中との表記がある。
発売は 2026 年春〜夏を予定しており、日本市場でどのような価格設定になるかが注目される。 純正パーツ提供についても、KOVE 側が別事業部(Gunsmith BATON)を通じて通販体制を整える準備を示唆しており、パーツ流通面にも力点を置く姿勢が感じられる。
市場展望としては、オフロード愛好家と公道ユーザーとの間を繋ぐ橋渡し的存在として期待できる。一部のライダーはモトクロッサーを利⽤したが、公道走行が制限されることから公道仕様モデルを求める声が根強い。その需要を的確に捉えられれば、MX450 DUAL SPORT は注目モデルになる可能性を秘めている。
MX450 DUAL SPORT は「荒野も街も走る一台」を狙うモデルであり、KOVE の技術力と意欲が反映された挑戦的なマシンである。
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