MotoGP第17戦日本GPが、9月26日から28日にかけて、栃木県のモビリティリゾートもてぎで行われ、MotoGPクラスに参戦する小椋藍(アプリリア)がスプリントレースで9位フィニッシュを果たした。決勝レースは抱えていた右手負傷の状態が悪化したため、欠場している。
スプリント9位も、決勝は無念の欠場
2025年にMotoGPクラスにステップアップした小椋藍(アプリリア)は、MotoGPライダーとして初めての母国グランプリを迎えた。ただ、懸念事項はあった。右手の怪我である。
前戦サンマリノGP決勝レースで転倒した小椋は、右手を負傷したのだ。木曜日の囲み取材で本人に確認したところ、右手の甲2か所にひびが入っている状態だという。小椋はサンマリノGP後の公式テストでは、走行を見送っていた。帰国してからは右手の状態を確認するために一度、バイクに乗ったという。
母国・日本のもてぎが舞台とはいえ、MotoGPマシンでもてぎを走行するのはこのレースウイークが初めてである。条件としては、これまで戦ってきたサーキットの多くと変わらず、まずはMotoGPマシンによるもてぎへの適応から始まる。そうした意味で、小椋は怪我を抱えてはいたものの、順調にレースウイークを進めていた。
金曜日午後のプラクティスこそ14番手だったが、予選1(Q1)では3番手タイムをマークした。プラクティスでトップ10に入ることができれば、予選2(Q2)に進むことが決まる。Q2では、Q1のトップ2を加えた12名のライダーで予選順位を争う。つまり、Q2に進んだ時点で12番手以上のスタートポジションが決まるのである。その意味で、プラクティスは重要なセッションだ。
先に述べた通り、小椋はプラクティス14番手でQ2ダイレクト進出を逃した。とはいえ、Q1では最後のアタックで自己ベストタイムを更新するだろうタイムを刻んでいた。この最後のアタック中、コース後半のセクターで転倒者が発生。このため黄旗が提示され、黄旗提示中に小椋がこの区間を通過したことで、最後のラップタイムは無効となった。有効タイムによって3番手となったのである。
黄旗によるラップタイム無効は致し方ないこととしても、「たら・れば」にはなるが、このときの小椋にはQ2進出のポテンシャルがあったと考えていいだろう。なお、小椋がMotoGPクラスでQ2に進出したのは、これまでに3回(タイGP、カタールGP、カタルーニャGP)である。世界最高峰のライダーたちが0.1秒、0.01秒を削ることに全力を懸けるタイムアタックである。Q2の12名に入るのは、そう簡単なことではないのだ。
小椋は予選について、土曜日の囲み取材で「昨日(金曜日)のセッションをいい形で終わることができました。今日はそこからスタートして、今日のうちにワンステップ上げられたので、よかったと思います」と語っていた。
スプリントレースでも、小椋はいつものようにしっかりと順位を上げた。13番手からのスタートで、9位でレースを終えている。
小椋は「いいレースだった」と認め、右手の状態については「レース中盤くらいに、一、落ち着いてしまうのでそこで少し。ただ、レースの最初と最後は問題ありませんでした」と説明した。
言うまでもなく、右手の状態は走れば走るほど悪くなる。小椋もこのとき、「昨日よりもよくない」とは言っていた。ただ、囲み取材の小椋の様子からは、決勝レースも全力を尽くして挑むのだろうと思われた。
しかし、日曜日にチームより小椋の決勝レース欠場が発表された。「右手の状態が悪化したため」と説明されている。なお、決勝レースを走らなかったために日曜日の小椋の囲み取材は行われなかった。次戦のインドネシアGPは連戦だが、参戦についてはマンダリカ到着後に回復状況を確認し、それに基づいて判断されるという。
とはいえ、日本GPでもまた、小椋は金曜日から土曜日へと、いつものようにしっかりと前に進み、スプリントレースで9位という結果につなげた。前半戦に比べればやや苦戦気味だったシーズン後半戦のなかで、スプリントレースの9位は、カタルーニャGPと並ぶ好結果である。小椋は日本GPでもまた、一つのレースウイークとして経験を積み、前進を果たしたと言えるだろう。

