マニアのストックパーツ×若き情熱で復活！
ただの復活では終わらない、次なる進化を見据えた1台
大学3年で免許は取得したが、しばらくはペーパードライバーとして過ごしていた平松さん。そんな彼が運命的な巡り合わせで初の愛車として手に入れたのが、このZ32。90年代に湾岸を流していた走り屋なら「もしやこのマシンは！」と、当時の記憶が蘇る人もいるはずだ。
「ペーパードライバーだったのは特に欲しいクルマがなかったからで、クルマに興味がないわけじゃなかったんです。そんな気持ちが大きく変わったのが、FC3Sに乗る友人の杉本に誘われた旧車ミーティングでした。中でもカッコイイと感じたのがZ32。地を這うようなロー＆ワイドなスタイルに一目惚れだったんです」。
それからは毎週末に中古車店を巡ってZ32を探したものの、なかなか良いモノは見つからず。そんな時、またも杉本さんがたまたま大黒PAで遭遇したのが、以前ウェブオプションでも取り上げた大沢さん。Z32ひと筋30年で、一時期は5台ものZ32を所有していたという生粋のマニアだ。「友達がZを探しているんですよ…」と恐る恐る声を掛けたところ、「本気ならあるよ。連れておいで」となったのだ。
こうして巡り合ったのがこのZ32。92年式2シーターTバールーフは初代オーナーが新車から湾岸最高速仕様として仕立てたマシン。長い休眠期間を経て2代目オーナーに譲られたが、エンジンブローで不動となり、エンジン＆ミッションレス状態となっていた。そんな状態にも関わらず、平松さんは現車を確認してオーナーになることを即決した。
復活への作業は所沢市の「エリアカーコンサルタント」が担当。検討の結果、新たなエンジンはVG30ノーマルとしたが、大沢さん秘蔵のフロントカバーやメッキサージタンクなどでそうとは思えぬ仕上がり。新品エアフロなど要所を押さえた整備により極めて快調だ。
初代オーナーから引き継がれている当時物のジースプロジェクト製マフラーや足回り、ボディパーツなどの多くは、最高速仕様当時からのものを踏襲しているのが現在の仕様となる。
足元に覗くアルコン4ポットキャリパー＋329mmローターがスパルタン。HKSハイパーマックス車高調も最高速仕様のときから引き継がれているパーツだ。
ダッシュボードやセンターコンソールは表皮をアルカンターラ仕上げとして質感が大きく向上しているインテリア。330km/hまで刻まれたスピードメーターが、最高速仕様だったことを物語っている。
カーボンパネルでワンオフ製作されたセンターコンソールには、トラスト製ブースト計を中央に配し、その周りにデフィ油圧、油温、水温計をセット。エアコンやオーディオなど快適装備もしっかり機能する。
車内にはダッシュ貫通式の12点式ロールケージが張り巡らされている。元々はサイドバーも装着されていた。トランク内のバッテリーケースも以前の仕様の名残で、現在バッテリーはエンジンルーム内の配置だ。
エクステリアの変更点はアブフラッグ製のフロントカーボンリップスポイラーとサイドスカートという構成。パット見はノーマル風だが、冷却用のダクト追加などでハイパフォーマンスを感じさせる凄みが伝わる。
「まだまだ運転の修行中の自分にはこれでも十分なパフォーマンスなんですが、やはりZのカッコ良さは速さだと思いますので、ゆくゆくはタービン変更で500psオーバーを目指したいです」とのこと。若きオーナー平松さんにより、伝説のZ32の歴史が紡がれていくことに期待したい。
