背景
近年、国内の物流業界では、物流量の増加に伴う人手不足が深刻化している。生産労働人口の減少や、2024年4月施行の働き方改革関連法による残業時間の上限規制、いわゆる「2024年問題」が影響を与え、効率化と自動化へのニーズが高まっている。特に、トラック荷役作業は日本のサプライチェーンを支える重要な業務であり、自動運転フォークリフトによる効率化と無人化への期待が急速に広がっている。
一般的にフォークリフトの操作は数cm単位の精度が必要である。中でも荷物の積み方で積載効率が大きく左右されるトラックへの荷役作業は、トラックの停車位置が定まらないなど、環境変化が大きいため技術難度が高く自動化が進んでいない領域の一つで、人と同等レベルの作業性の実現が課題となっていた。今回のRinova Autonomousは、3D-LiDAR※2を用いたトラック位置検出、ガイドレスでの自動運転に加え、画像認識・ディープラーニングを活用した、マーカーなどの目印が不要なパレット位置・姿勢検出技術や、パレットまでのアプローチ走行経路の自動生成技術を搭載している。
豊田自動織機トヨタL&Fカンパニーは1986年以降、工場や倉庫など屋内での定位置荷役が可能な無人搬送フォークリフトや無人搬送車など、自動化製品のラインアップを拡充している。Rinova Autonomousは、2022年以来、日用品メーカーや飲料メーカーなどの工場内での実証試験や、一部先行導入を通じた機能検証、課題の洗い出しを進め、実環境においても人に匹敵する精度でのトラック荷役を実現する技術を確立している。
トラック荷役自動運転フォークリフト「Rinova Autonomous」の概要
- 3D-LiDARを用いてトラックの位置や荷台を検知し、積み付け位置を特定
- 磁気テープなどのガイドが不要な自動運転
- ディープラーニング技術を活用し、マーカーなどの目印なしでパレット位置・姿勢を検出
- フォークの差し込みから荷台への積み込みまで、パレットやトラックの位置に合わせたアプローチ経路を自動生成し、一定の間隔を空けて荷物の積載が可能
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 誘導方式 | 3D-SLAM |
| 操作方式 | リーチタイプ |
| 定格荷重 | 1,100kg |
| 全長 | 2,620mm |
| 全幅 | 1,380mm |
| 全高 | 2,510mm |
| 車両重量 | 2,710kg |

【注釈】
- 環境に応じて一部、条件確認が必要
- 対象物にレーザー光を照射し、その反射光を測定することで対象物までの距離を正確に測定できるセンサで、車両周辺状況の把握に使用
