輸入コンパクトSUVトップクラスの低燃費

フィアットのアイコン的存在であるAセグメントのスモールカーである500(チンクエチェント)に、「+100」の魅力を加えたというキャッチコピーを掲げるのが600(セイチェント)だ。500から車格もアップしたBセグメントのクロスオーバーSUVで、アルファロメオ・ジュニアとはブランド違いの兄弟車。600はEV版が上陸済みで、シリンダーヘッドを新設計した1.2L直列3気筒ガソリンターボに、16kWのモーターを組み合わせた48Vマイルドハイブリッドを追加した。

始動時にエンジンはかからず、発進時から30㎞/hくらいまではモーター走行になるので、街中などでのストップ&ゴーは静か。組み合わされるトランスミッションは、6速デュアルクラッチ(DCT)になる。生産を終了し、在庫販売のみになっているガソリン車の500が積むシングルクラッチと比べると、スムーズな変速フィールが得られるのは当然だが、最近のDCTとしてはややギクシャクとした変速マナーともいえる。ただし、モーターアシストが感じられる中・低速域では目くじらを立てるほどではない。

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フランスのメーカー、ルノーの2列5人乗りミニバン「カングー」がフルモデルチェンジし、 3世代目へと進化。 現代的なインターフェースや予防安全装備も標準装備され、 エンジンは直噴ガソリンターボとディーゼルターボの2種類をラインアップする。

このDCTに加えて、ターボエンジンがかかると、一気に純ガソリン車のような加減速と変速フィールになる。ターボの過給まではモーターアシストもあり、ターボラグ自体もモーターの加勢もあって比較的抑えられている。中低速域の加速感は比較的マイルドで、DCTに少し慣れを要する以外は、扱いにくさはない。高速道路で少し飛ばしてもパンチ力はそれなり。パドルシフトが備わるが、電動車両の回生レベルセレクターではなく、DCTをマニュアル感覚でシフト操作ができる。つまり、純ガソリン車と同じ機構になる。また、飛ばしても静かさはあまり変わらず、後席に子どもを乗せる機会の多いファミリーにもうれしい美点。

高速道路やワインディングなども含めて安定感のある操縦安定性も長所だ。コーナーではそれなりにロールするものの、粘りのある足まわりにより安心して走破できる。比較的ソフトといえる乗り心地も魅力で、ショートホイールベースのコンパクトSUVの割にしなやかさも感じられる。プレミアムガソリンを指定するものの、最高値23.2㎞/Lのカタログ燃費も美点だ。静粛性の高さも含め、高速道路を使ったロングドライブでも苦にしないだろう。なお、ストップ&ゴー付アダプティブクルーズコントロールは、上級の「ラ・プリマ」に標準装備する。

前後席に大人が座っても無理のないパッケージングを実現していて、6対4分割可倒式後席でアレンジできるラゲッジは、385Lの荷室容量を確保する。上下2段いずれかに設置できるラゲッジボード、「ラ・プリマ」にはハンズフリーパワーリフトゲートも備えている。

国産車にもトヨタ・ヤリスクロスやスズキ・フロンクス、日産キックスなどのハイブリッド車がある。走りと燃費が良く、スタイリッシュな内外装を備えるフィアット600は、BセグメントSUVで個性も求める向きに最適な1台といえるだろう。

FIAT 600 Hybrid
エクステリアは「BIG SMILE」を掲げる顔つきで、人の目を模したようなヘッドランプが目を惹く。ロアグリルやテールランプ、18インチアルミホイールにピクセルパターンを配した個性的な造形も印象的。
ピクセル柄とダイヤモンドカットが特徴の18インチアルミホイールは、「ラ・プリマ」に標準。エントリー仕様は、16インチスチールになる。
EVの「600e」と基本的なフォルム、デザインは同じ。EVはテールゲートに「e」のロゴを配するのに対し、「HYBRID」ロゴを用意している。
新開発の1.2Lガソリンターボは、エンジン単体で100kW(136PS)/230Nm。モーターを合わせたシステム合計出力は、107kW(145PS)。
シンプルかつ操作性に優れたインパネ。10.25インチスマホ連携ディスプレイオーディオは、ナビも標準で備わる。
シフトセレクターはセンターコンソール最前部にあるプッシュスイッチ式で容易に操作できる。その上のスイッチは、エアコン用で、スイッチの数は多いが、視認性、操作性ともに良好。
丸型のメーターナセルを備える7インチカラーメーターには、デジタル速度計や先進安全装備の作動状況などを表示する。

開放感のあるキャビンとクラストップレベルのラゲッジ

「ラ・プリマ」の運転席は、マッサージ機能を備えるアクティブランバーサポート機能付きの6ウェイパワーシート。このクラスで電動&マッサージ機能はうれしい。
通常時の荷室容量は385Lで、BセグメントSUVとしては大きめだ。後席は6対4分割可倒式で、フロアボードは、荷物などに応じて上下段いずれかに設置できる。

主要諸元(FIAT 600 Hybrid La Prima)
●全長×全幅×全高:4200×1780×1595mm●ホイールベース:2560mm●車両重量:1330kg●エンジン:1199cc・直列3気筒ガソリンターボ●エンジン最高出力:100kW(136PS)/5500rpm●エンジン最大トルク:230Nm/1750rpm●モーター最高出力:16kW(22PS)/4264rpm●モーター最大トルク:51Nm/750-2499rpm●駆動方式:前輪駆動●サスペンション(前/後):マクファーソンストラット/トーションビーム●ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ディスク●タイヤ:215/55R18

▶FIAT 600 Hybrid:365万円

▶︎FIAT 600 Hybrid La Prima(ラ プリマ):419万円

▶︎FIAT 600 Hybrid La Prima(ラ プリマ):399万円(ローンチプライス/600台限定)

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