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今日は何の日?

■シーマをベースにした4代目プレジデント

2003(平成15)年10月7日、日産自動車が誇る最高級セダン「プレジデント」がモデルチェンジで4代目に移行した。4代目は専用設計ではなく、2001年にデビューした「シーマ(F50型)」とコンポ―ネンツを共有する上級モデルという位置付けだった。

日産4代目「プレジデント」
2003年にデビューした日産4代目「プレジデント」

堂々たる国産ショーファーカーの元祖プレジデント

1960年代は日本のモータリゼーションが幕開け、クルマは一般庶民にも手の届く存在となり、一方で政治家や会社幹部などを送迎する世界に通用する純国産ショーファーカーの登場が期待された。

日産初代 「プレジデント」
1965年に誕生した日産初代 「プレジデント」

その期待に最初に応えたのは日産であり、まず1963年にセドリックベースの大型高級車「セドリックスペシャル」を発売。さらに、1965年には国産車最大のボディと大排気量エンジンを搭載した最高級車「プレジデント(150型)」を発売した。

初代プレジデントのボディサイズは、全長5045mm/全幅1795mm/全高1460mm。エンジンは、最高出力180ps/最大トルク32kgmを発揮する4.0L V8 OHVエンジンと、130ps/24kgmの3.0L 直6 OHVエンジンの2種が搭載された。

初代プレジデントの警視庁所有のパトカー
初代プレジデントの警視庁所有のパトカー。捕まりたくはないが、リヤシートにはちょっと…座ってみたいカモ?

スタイリングは、当時のアメ車のような直線基調をベースとし、インテリアについては室内全体に張り巡らせたソフトパッドや多くの快適装備で高級感をアピールした。最高グレードの車両価格は、当時としては破格の300万円(現在なら約3000万円相当)だった。日本初の本格ショーファーカーは、さっそく当時の佐藤栄作首相や官公庁、大企業の専用車として使用された。

Q45をベースに大型化・高級化を実現した3代目プレジデント

日産2代目 「プレジデント」
1973年にデビューした日産2代目「プレジデント」
日産2代目「プレジデント」
1973年にデビューした日産2代目「プレジデント」
プレジデント ソブリン
プレジデント ソブリン/画像のクルマは、1977年に53年排ガス規制への適合化を図り、型式名を252型としたマイナーチェンジ後の1980年式最上級グレード「ソブリン」。V8 OHV 4400ccのY44型エンジン(最高出力200ps)を搭載、公用車やハイヤーなどの用途で、多くのVIPへ快適な移動を提供した(日産ヘリテージコレクションより)

その後、プレジデントは1973年に2代目(250型)に移行し、排気量を拡大した4.4L V8 OHVと3.0L 直6 OHVを搭載。その後マイナーチェンジでソブリンシリーズを追加。1985年に最高級グレードのソブリンVIPを発売して、さらなる上級化を追及した。

日産3代目「プレジデント」
1990年にデビューした日産3代目「プレジデント」。インフィニティQ45をベースに大型&高級化

そして、1990年には3代目(JG50/PG50型)に移行。3代目プレジデントは、日産自体の経営不振の影響で専用設計を止め、前年に北米市場向けの高級車ブランドとして米国で設立されたインフィニティのフラッグシップ「Q45」をベースにした。Q45の全長とホイールベースを150mm伸ばし、重厚感のある大型フロントグリル、七宝焼きのオーナメントなどを備えた最高級車として仕上げられた。

プレジデントEV
プレジデントEV/1990年発売の3代目プレジデント(JHG50型)をベースに、オープンボディ化と電動化の大幅な改造を施した特殊車両。市販化はされなかったが、主にパレード用として使用され、大型なプレジデントのボディサイズをいかして、大相撲の力士を後席に乗せての祝勝パレードのような場面に多く登場しお茶の間にも親しまれた。当時の日産では、日産が世界で初めて実用化に成功し、現代の電気自動車の技術標準にまでなった「自動車用リチウムイオンバッテリー」の開発を積極的に進めていたが、このクルマに関しては用途が限定的なためにそのような最新技術の採用はなく、コンベンショナルな鉛バッテリーが採用された。最高時速は40km/h(日産ヘリテージコレクションより)

全長5225mm/全幅1830mm/全高1435mmの堂々たるボディに、エンジンは当時インフィニティで販売されていたQ45搭載用を専用チューニングした270ps/40.2kgmの4.5L V型8気筒DOHCが搭載された。また、運転席SRSエアバッグやABS、トラクションコントロールが標準装備され、快適装備としてデュアルエアコンや後席パワーシート、クルーズコントロールなど日産の最新技術が盛り込まれた。

車両価格は、標準グレードが860万円。当時の大卒初任給は、17万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算で現在の価値で約1164万円に相当する。

今も輝きを放つセンチュリー、残念な最期を迎えたプレジデント

2008年2月に一部改良された4代目「プレジデント ソブリン」
2008年2月に一部改良された4代目「プレジデント ソブリン」

2003年10月のこの日、モデルチェンジで4代目プレジデント(PGF50型)へ移行した。基本的なハードウェアは、2001年にデビューした4代目「シーマ(海外名:インフィニティQ45)」をベースとし、同じプラットフォームを使い、変更はデザインの一部のみで差別化された。

日産4代目「プレジデント」
2003年にデビューした日産4代目「プレジデント」のリヤビュー

変更されたデザインは、フロントグリルをはじめ、バンパーからホイールアーチ、各ドアのサイド、そしてリアバンパー、ウインドウまわりに至るまでメッキを多用して豪華さを強調。リアまわりでは、シーマのナンバープレートはトランクリッドに埋め込まれるのに対して、プレジデントではバンパー下に埋め込まれるという違いがあった。そして、トランクリッドに横長に入る「PRESIDENT」のロゴが超VIPカーであることを主張。また、前後バンパーのデザインが異なることから、プレジデントは同時期のシーマより55mm長い。

日産4代目「プレジデント」
2003年にデビューした日産4代目「プレジデント」に搭載された4.5L V8 DOHCエンジン

パワートレインは、シーマの上級グレードと同じ最高出力280ps/最大トルク46.0kgmの4.5L V8 DOHCエンジンと5速ATの組み合わせ。ただし、プレジデントでは遮音材を増やし、静粛性はシーマとは違う次元に仕上げられていた。

4代目「プレジデント」のボディサイズ
4代目「プレジデント」のボディサイズ
4代目「プレジデント」のボディサイズ
4代目「プレジデント」のボディサイズ

新車時価格は、800万円(5人乗り)/900万円(4人乗り)の2グレード。シーマの最上級グレードよりも約200万円高額だった。プレジデントは、当初は日産グループ系のVIP向けなどで需要はあったが、その後販売台数は100台/年にも満たないようになり、2010年に生産を終えることになった。

日産4代目「プレジデント」のコクピット
日産4代目「プレジデント」のコクピット
日産4代目「プレジデント」の室内。余裕のリヤシートスペースを持つ
日産4代目「プレジデント」
2003年にデビューした日産4代目「プレジデント」

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2000年頃の日産は経営再建中で、例え日産の威信を示すプレジデントと言えど、収益性の期待できないクルマを世に出す余力はなかった。一方ライバルだったトヨタ「センチュリー」は、2018年にモデルチェンジして現在唯一無二の最高級セダンに君臨している。日産とトヨタの企業体力差が、両車の運命を大きく変えたと言える。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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