マイルドハイブリッド新搭載 柔軟かつ洗練された乗り心地

2007年にデビューした初代ティグアンはフォルクスワーゲンにとってトゥアレグに次ぐ2番目のSUV。ゴルフをベースとした比較的コンパクトなサイズで、SUV人気の高まりとともに販売台数も増えていき、19年以降はフォルクスワーゲンのベストセラーとなった。

エクステリア

初代や2代目より曲面を多用した筋肉質なスタイルの3代目。Cd値も2代目の0.33から0.28へと大幅に低減されている。スポーティ仕様の「R -L i n e 」は255/40R20 タイヤを装着する。最小回転半径は5.4m。

サイズが近いT-ROCが遊び心のあるクーペスタイルであるのに比べると、正統派のSUVらしい存在感とユーティリティの高さが特徴となっている。現行の3代目は24年11月に日本上陸。従来モデルに比べると全長は30㎜伸長、全幅は同一、全高は25㎜低くなった。ボンネットが高くなったことでSUVらしさは増したようだ。ラインナップ1.5ℓガソリンターボ+MHEV(マイルドハイブリッド)のFFとなる「eTSI」系と2.0ℓディーゼルの4WDとなる「TDI 4MOTION」と2種のパワートレインに、それぞれ「アクティブ」「エレガンス」「R―ライン」というグレードが用意される。

乗降性

1.5ℓガソリンターボは2気筒休止システムと48V電源のMHEVで15.6㎞/ℓと秀逸な燃費を誇っている。実際に走らせてみると巡航など負荷が低くなるなど隙あらばエンジンを停止させて積極的にコースティング。燃料消費を抑えようという意志を感じられる。とはいえエンジン再始動はスムーズ。モーターのアシストもあるのでターボラグは少なく、実用域のトルクが充実している。MHEVによって燃費性能とドライバビリティを高いレベルで両立しているのだ。

インストルメントパネル

チリの少なさで精緻さを、10.25インチデジタルメーターと15インチセンターディスプレイ、インパネ助手席側やドアトリムのアンビエントライトで近未来感を味わえる。Aピラーの傾斜は強くアイポイントも低めで、各窓ガラスも天地方向に薄いため、運転感覚は良くも悪くもセダンライクだ。

ディーゼルは400Nmもの太いトルクがあるので発進時から力強い。以前のユニットに比べると音/振動が抑えられ、スムーズに高回転まで回るようになった。4WDということもあって「eTSI」系に比べると150㎏ほど重くなるが、それでも燃費は15.1㎞/ℓで、さらにコストが安い軽油だからロングドライブが多い人にとってありがたいだろう。もちろん、悪路走破性も高い。プラットフォームは従来のMQBからMQBEvoとなったことで乗り心地が洗練された。従来モデルでは操縦安定性は良いもののリヤから突き上げ感があったが、それがマイルドでスムーズになったのだ。

居住性

コンベンショナルなサスペンションとなる「エレガンス」でも快適なのだが、新アイテムのDCC Proを装備する「R-ライン」はさらにレベルの高いシャシー性能をもっていた。従来の電子制御可変ダンパーのDCCの進化バージョンで、伸び側と縮み側が独立制御されるのがDCC Pro。しかもカスタマイズでは15段階もの設定が可能となっている。いろいろと試してみたが、感心したのはハードな方へ振っても乗り心地が悪くならないこと。明確にダンピングが効いて上下動の収束などは早くなるのだが、いやな突き上げ感などはないのだ。

うれしい装備

「ハロー、アイダ」または「ハロー、フォルクスワーゲン」と呼び掛けると起動する音声操作機能「IDAボイスアシスタント」を標準装備。ナビやエアコンなどの操作に加え、ちょっとした会話も可能だ。
4対2対4分割可倒式の後席は荷室左右のレバーを引いても格納できる。そのうち助手席側を引くと中央の背もたれも一緒に倒れるが、中央のみ格納したい場合は左肩口にあるボタンを押すと前方に倒れる。
月間販売台数    NO DATA
現行型発表     24年7月
WLTCモード燃費   15.6㎞/ℓ ※「eTSI」系

ラゲッジルーム

良くできたドイツ車のイメージそのものと言っていい。逆に設定を思いっきりソフトにするとフンワリと優しい乗り心地になり、低速で荒れた路面を走るときなどに向いている。新しいプラットフォームを得て動的質感が高まり、洗練された乗り味となったティグアン。ベストセラーの座をキープすることになりそうだ。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.167「2025-2026年 国産&輸入SUVのすべて」の再構成です。

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