YZ125はヤマハのオフロードラインナップにおいて特別な位置を占める。軽量で扱いやすく、若手ライダーがモトクロスの世界へ飛び込む最初の一歩となるマシン。そして、熟練者にとっても純粋に2ストロークを楽しむための頼れる相棒だ。2026年モデルは、そのポテンシャルをさらに引き出し、「いつでも、どこでも、誰でも」自在に操れるマシンへと進化した。
キャブと点火の刷新 ― さらなる扱いやすさへ
新型YZ125の開発で注力されたのは、キャブレターとCDIの改良だ。
吸気経路の形状変更や点火タイミングの最適化により、低速から高速まで途切れのないパワーフィールを実現。特にコーナー脱出時のスムーズさは顕著で、ライダーは意図したラインを自在に描くことができる。
パワージェットやフロート高さの変更によって急開時のレスポンスも改善。従来よりも力強く、かつ扱いやすい出力特性となり、エントリーライダーでも安心して攻められるマシンとなった。
環境変化に強い ― 季節別セッティング
YZ125はキャブセッティングが容易である点も魅力だ。従来モデルの課題は、急開時のレスポンスの鈍さや、気温や標高の変化に伴うセッティングの難しさにあった。これを解決するため、まずキャブレターのメインジェットが160から178へ拡大され、燃料供給量が増加。これにより全域での燃焼安定性が改善し、特に高回転域での力強さが増した。
ニードルは従来の仕様から、より太い2段テーパー品(N3EW-2)へ変更。これにより低中開度ではよりクリーンな燃焼を実現し、中高開度ではスムーズなつながりとパワフルな特性を得られるようになった。パイロットジェットは75から65に変更され、アイドリングから低速域での扱いやすさが向上。エアスクリューも従来の2と5/8回転から1と3/8回転へと変更され、燃調がより安定するようになった。
パワージェットは35から95へと大幅に拡大され、急開時の燃料供給を改善。これによりレスポンスも向上している。フロート油面も従来比で+1mm高められ、燃料供給の安定性をさらに高めた。
冬季と春秋はメインジェット178、夏季は172とし、気温や湿度の変化に対応できるようになっている。さらに出荷時には172、175、180、182といった複数のメインジェットが同梱され、ライダーはその場で最適なセッティングを選べる。加えてN3CWニードルや62/68番のパイロットジェットも付属し、幅広い調整が可能となっている。
これらの変更により、YZ125は低速から高回転までリニアで滑らかな出力特性を獲得した。特にコーナー脱出時の挙動がスムーズになり、ライン取りの自由度が増した点は大きい。気候やコースコンディションが変化しても安定して走れるという安心感は、アマチュアライダーにとっても大きなメリットである。
ライダー目線での魅力

試乗したライダーの声を聞くと「軽くて思い通りに動く」「コーナーでの自由度が高い」という評価が多い。2ストローク特有の軽快さに加え、2026年モデルでは出力特性の安定感が増したため、幅広い層が楽しめるようになった。ベテランライダーからは「練習用として最適」という声も聞かれ、初心者からエキスパートまで、誰にとっても価値のある一台であることが分かる。
ヤマハはYZ125を次世代ライダー育成の基盤として位置付けている。アマチュアレースでのサポートやBLU CRUアカデミーを通じ、若手がステップアップしていくための環境を整備。実際、YZ125からキャリアをスタートし、やがてYZ250やYZ450Fで世界の舞台に立つライダーも少なくない。
2025年のBLU CRU Cup SuperFinaleには日本からも若手ライダーが参戦し、国際的な舞台で活躍。YZ125は単なるバイクではなく、夢を追う若者たちの「未来を開く鍵」となっている。
成長を支えるパートナー
新型YZ125は、キャブと点火の見直しにより「扱いやすさ」を極限まで高め、環境変化にも強い万能性を備えた。若手ライダーにとってはステップアップの基盤となり、ベテランにとっては2ストロークの楽しさを存分に味わえる存在だ。
ヤマハが掲げる「誰もが勝者になれる」という哲学。その原点を体現するのが、このYZ125である。未来のチャンピオンを育み、同時にすべてのオフロードファンに笑顔をもたらすマシン、それが2026年型YZ125だ。
