ツインターボ化で鈍重感を完全に払拭!

スペース確保のためにエンジン高を30mmアップ

汎用性の高い設計のVQ35DEを搭載したZ33は、発売当初から“鈍重”と評されることが多かった。カタログ上の最高出力は280psを誇っていたが、NA仕様ということもあり、チューニングベースとしての伸びしろは限られていた。

「オーナーは趣味グルマとしてZ33を新車購入したんですが、あまりの遅さに驚いてウチに持ち込んだのが始まりですね。当初は“マフラーを交換して”という話でしたが、市販品では大きな変化が見られず。その後、“せっかくだからパワーの出るものを作ってほしい”というオーダーが続いていきました」と語るのは、製作を担当したブラックライン代表・鈴木さん。

マフラー製作を皮切りに、F-CON Vプロによるフルコン化、そして最終的にはツインターボ化へと一気に進化。目標出力は600psに設定された。もちろんノーマルエンジンではそのパワーに耐えられないため、ブロック補強に加え、コスワース製ピストンやH断面コンロッドなど、内部から徹底的に手が加えられた。

特にVQエンジンはブロック剛性が弱く、高出力化するとブロックの捻れによってピストンクリアランスが失われ、焼き付きの原因となる。そこでブラックラインでは、捻れを想定したうえでシリンダーを楕円にホーニング加工するなど、独自のノウハウを投入している。

タービンはTD06-19C改のアクチュエーター仕様を採用。しかし、スペース的制約が大きく、エンジン搭載位置を約30mm上方に変更して対応した。

「VQ35は排気圧が高い特性があり、市販のターボキットでは高回転域が詰まり気味なんです。そこで、ウチではタービンサイズを最適化して、高回転までスムーズに吹け上がるようにしました。本当はウエストゲート仕様にしたかったんですが、スペース的に断念しましたね。結果的に燃料系の容量不足が露呈し、燃料ポンプや配管もすべて新規で構築。最終的に600psで安定稼働するツインターボ仕様として完成しました」と鈴木さんは振り返る。

フロントバンパーの開口部から覗くインタークーラーは、ブラックラインオリジナルの3層コアを左右バンクごとに装着したツイン仕様だ。

制御にはF-CON Vプロを採用し、左右バンクごとに排気圧をモニタリングすることで、高ブースト時のセッティング精度を高めている。

内装は快適性を重視してすべて残されており、ナビとテレビを同時に使いたいというオーナーの要望から、モニターを2基設置。追加メーターはブラックライン製ステーでルームミラー下に配置し、さらにピラー部にはブースト計と排気温度計を追加している。

当初から「ストリートの快適性を犠牲にせず、ドラッグも楽しめるマシン」を目指して製作されたこのZ33。エアコンや内装をフルに残した状態で11秒台後半のタイムを記録するなど、性能面でも高い完成度を誇る一台となった。

●問い合わせ:ブラックライン 埼玉県川越市下広谷690-1 TEL:049-239-6667

「Z33がアメ車を超えた日」V8スーパーチャージャーで1500馬力を狙うJDMモンスター!

アメリカの若手が挑んだJDM×マッスルの融合。Z33型フェアレディZに、5.7L HEMI+スーパーチャージャーを搭載したコードネーム“570Z”。1520psを目指す異次元マシンは、ドリフトも街乗りも圧倒する。

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ブラックライン
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