史上2番目に若いウイナーの誕生

MotoGP日本GPから連戦で行われたインドネシアGPは、小椋藍(アプリリア)が欠場となった。小椋はサンマリノGP決勝レースで転倒を喫し、右手を負傷した。日本GPは右手甲の2か所にひびが入った状態で土曜日まで走行したが、状態が悪化したことで決勝レースを欠場していた。

土曜日に行われた予選では、アプリリアのマルコ・ベツェッキがポールポジションを獲得した。2番手はルーキーのフェルミン・アルデゲル(ドゥカティ)、3番手はラウル・フェルナンデス(アプリリア)が獲得。日本GPでチャンピオンを獲得したマルク・マルケス(ドゥカティ)は9番手、優勝を飾ったフランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ)はまさかの16番手となった。

スプリントレースでは一度後退したベツェッキが素晴らしい追い上げを見せ、優勝した。2位はアルデゲル、3位はフェルナンデスが獲得した。

日曜日の決勝レースは、ペドロ・アコスタ(KTM)がトップに立ってレースをリードする展開となった。1周目の7コーナーではベツェッキとマルケスが接触し、クラッシュ。2025年チャンピオンと今大会のスプリントレース勝者がここでリタイアという波乱の展開となった。

アコスタの後ろにつけるのは、ルカ・マリーニ(ホンダ)、3番手にはスプリントレース2位のアルデゲル、4番手にアレックス・リンス(ヤマハ)、5番手にフェルナンデス、6番手にファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)が続く。その後、フェルナンデスが4番手に浮上した。

アコスタがトップを守る一方、4周目にアルデゲルがマリーニをかわして2番手に浮上。2番手がアルデゲル、3番手がマリーニというオーダーとなる。マリーニの0.2秒ほど後方には、フェルナンデスが続いている状況である。

7周目、ルーキーのアルデゲルがアコスタをかわした。ドゥカティのサテライトチームのライダーであるアルデゲルがトップに浮上。トップに立ったアルデゲルは、ファステスト・ラップを叩き出しながらアコスタとの差を広げていき、翌周にはその差は0.5秒になった。

トップを快走するアルデゲルとの差を広げられていったアコスタは、3番手のマリーニの猛攻を受ける。マリーニの後ろにはフェルナンデスがぴたりとつけ、アコスタ、マリーニ、フェルナンデスが2番手を争う格好となった。

アコスタはマリーニを抑え続けていたところ、14周目に4番手のフェルナンデスがマリーニに仕掛け、二人は軽く接触。この接触によりフェルナンデスとマリーニは後退し、代わってリンスが3番手、アレックス・マルケス(ドゥカティ)が4番手に浮上した。フェルナンデスは5番手、マリーニは8番手となった。2番手、3番手争いは、役者を変えながら混戦状態が続いた。

19周目、3番手を走行していたリンスがアコスタをとらえ、2番手に浮上する。アコスタの後ろにはアレックス・マルケスがおり、アレックス・マルケスが3番手をねらう。さらにその後ろにはフェルナンデスなどが続く。

その後、リンスはアレックス・マルケスにかわされて3番手に後退。さらにアコスタもポジションを奪い返し、アコスタが2番手、アレックス・マルケスが3番手となった。リンスは大きくポジションを落としている。

アルデゲルはトップを守り切り、優勝を飾った。ルーキーのアルデゲルにとって、MotoGPクラスにおける初優勝。これを、1年目で成し遂げる偉業を達成した。また、マルク・マルケスに次ぐ、2番目に若い年齢、20歳と183日で最高峰クラスにおける優勝を果たしている。

2位はアコスタ。レース展開としては厳しいものだったが、2位を守り切った。3位はアルデゲルのチームメイト、アレックス・マルケスが獲得した。

4位は15番手から大きく追い上げたブラッド・ビンダー(KTM)。5位は、レース中盤まで表彰台を争ったマリーニで、日本GPでジョアン・ミル(ホンダ)が獲得した3位の再現を思わせるレースとなった。6位はフェルナンデスが入った。

レース序盤にクラッシュしたマルク・マルケスはメディカルセンターに向かった。チームからの情報によると、右鎖骨を負傷し、精密検査を受けて治療方針を決定するために、スペインのマドリードに戻ったという。

また、ベツェッキもメディカルセンターに向かい、チームによれば、さらなる検査のためにマタラム病院に搬送されたが、骨折は見つからなかった、ということだ。

独走で優勝を成し遂げたルーキー、アルデゲル© MotoGP.com