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今日は何の日?■4代目カローラをベースにしたシャルマン
1981年(昭和56)年10月8日、ダイハツは2代目となる「シャルマン」を発売した。2代目も引き続き「カローラ」のプラットフォームをベースとしていたが、2代目は当時最新の4代目カローラをベースとし、内外装のデザインはダイハツオリジナルで、カローラとは全く異なる上級感溢れる小型セダンとなった。

カローラをベースに上級化したシャルマン
ダイハツは1960年代半ばに起こった業界再編成の波に巻き込まれるかたちで、1967年11月にトヨタと業務提携を締結。1969年にはトヨタ「パブリカ」をベースにした業務提携後初の小型セダン「コンソルテ・ベルリーナ」を発売した。

コンソルテ・ベルリーナに続く本格的な小型セダンとして1974年11月に登場したのが、シャルマンだった。シャルマンは、2代目カローラのエンジンやトランスミッション、サスペンションなどを流用しながらも、内外装はダイハツ独自のデザインを採用し、コンソルテより上質の小型車をアピールした。

スタイリングは、オーソドックスな直線基調ながらクラス初の丸形4灯ヘッドライトで個性を演出。パワートレインは、最高出力71ps/最大トルク9.7kgmを発揮する1.2L 直4 OHV、86ps/12.0kgmの1.4L 直4 OHVの2種エンジンと、4速MTおよび2速ATの組み合わせ、駆動方式はFRである。

カローラよりもワンランク上の小型セダンとして登場したシャルマンは、好調な販売で滑り出したが、その後は徐々に低迷した。
上質化してダイハツのフラッグシップに成長した2代目
1981年10月のこの日にモデルチェンジした2代目シャルマンは、現行4代目カローラがベースで、エンジンやプラットフォーム、足回りなどは引き続きカローラの流用品だが、内外装のデザインは引き続きダイハツオリジナルである。

ボディタイプは4ドアセダンのみで、ボディサイズはカローラよりも全長・全幅が大きく、先代に対してもやや大きく、ホイールベースは先代から65mm延長された。一部のボディ部品をカローラと共有した先代と異なり、専用のボディパネルが採用され、6ライトの大きなグラスエリアを持つスタイリングは、より個性を強めて先代よりもモダンな雰囲気に変貌した。

インテリアについても、上級グレードはシートが前後ともにルーズクッションタイプのモケット張りとなり、後席にはセンターアームレストとヘッドレストがビルトイン。インパネも各種メーターを配置した大型クラスターを採用し、木目パネルを配置するなど豪華さを印象付けた。
パワートレインは、74ps/10.7kgmを発揮する1.3L 直4 OHV、80ps/11.8kgmの1.5L 直4 SOHCの2種エンジンと、4速/5速MTおよび3速ATの組み合わせ、駆動方式はFRである。
車両価格は、1.5L仕様で108.1万円(標準グレード)/135.8万円(ハイグレード)に設定。当時の大卒初任給は12万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約207万円/260万円に相当する。
2代目シャルマンはまずまずの堅調な販売を続けたが、ベースとなった4代目カローラがモデルチェンジしてFFに変更したことから、1987年にFRのシャルマンは姿を消すことになった。

シャルマンの後継アプローズは自社開発
1980年代後半は、日本経済が絶頂を迎えたバブル好期、ダイハツはシャルマンの後継として、トヨタとは一切共通点のないすべて自社開発の小型セダン「アプローズ」を1989年9月に発売した。

独立トランクを持った3BOXセダンでありながら、大きく開くハッチゲートを持つ「スーパーリッド」と呼ばれるテールゲートが特徴だった。角の取れたオーソドックスで大人しいスタイリング、インテリアも派手さを抑えた落ち着いた雰囲気で独自の高級感をアピールした。
パワートレインは、アプローズのために開発された97ps/13.3kgm(キャブ仕様)と120ps/14.8kgm(EFI仕様)の1.6L 直4 SOHCと5速MTおよび4速ATの組み合わせ。駆動方式はFFと4WDが用意された。
ダイハツのフラッグシップとしてダイハツの持てる技術のすべてを注入したアプローズだったが、カローラやサニーが人気の激戦区の中ではヒットモデルになることは難しく、2000年に販売を終えた。同時に、次期車としてカムリのOEMモデルである「アルティス」発売した。

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アルティスも2023年12月に販売を終え、一方でダイハツはトヨタの完全子会社となってトヨタグループの中で軽自動車やコンパクトカーを担うメーカーとなった。そのため、今後共同開発はあってもダイハツの独自色をアピールできるようなフラッグシップモデルを発売するのは難しいのではないだろうか。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。