原付一種に新たな区分「新基準原付」が追加

jama(日本自動車工業会)、警察庁、国土交通省、総務省が発行する啓蒙チラシ。 https://www.jama.or.jp/operation/motorcycle/cat1_scooter/

排気量50cc以下の原動機付自転車(原付一種)は2025年11月より新たな排出ガス規制が適用。これにより、排ガス規制をクリアできない現行50cc以下の車両の生産は実質上、2025年10月末で終了となる。

「ええ! 近場の移動に便利な50ccの原付一種が無くなっちゃうの?」と思う人もいるだろう。でもご安心を。その“代替車”として登場するのが……

排気量50cc超125cc以下(110ccクラスや125ccクラス)、最高出力を4.0kW(5.4ps)以下に制御した車両が「新しい原付一種」として、原付免許で運転できるようになった。“新基準原付”の誕生である。この法律は2025年4月1日に施行された。

原付の排気量見直しの理由。それは「50ccでの排ガス規制クリア=採算がとれないから」

1958年(昭和33年)8月に登場以来、国内はもちろん、世界中の人々に愛され続けてきたホンダ スーパーカブ50。ホンダ伝統の横型・空冷4ストローク単気筒SOHC 2バルブ49ccエンジンを搭載。写真は現行のスタンダードモデル。

年々厳しくなる排気ガス規制。2025年11月より制定される新排ガス規制(第4次)は、これまでの中でもっとも厳しいもの。この規制を排気量50ccのままクリアするには、構造が複雑なフューエルインジェクションや、高額なレアメタルを素材にしたキャタライザー(触媒)の大幅な改良が必要。

また厳しい排ガス規制は、一般的に125ccよりも50cc。排気量が小さくなるほど、排ガス規制をクリアするために必要な浄化装置の負担が車体価格に対して割高になり、採算性の面でクリアするのが困難になるのが特徴。厳しい排ガス規制をクリアするには、さらなる高い技術力や高 高価な材料が必要で、研究・開発に多大な時間とリソースを要する。

これらのコスト上昇は、バイクの販売価格に反映。例えば50ccモデル1台の価格が50万円にまで跳ね上がれば、“庶民の足”であるはずの50ccは誰も買えなくなる=バイクメーカーは生産しても採算がとれない。既存の法律に縛られた、この悪循環を解消するためには……

排気量区分を見直す=現実的な金額を実現

現況、マーケットが日本のみとなっている50ccの場合。パワーを維持しながら厳しい排ガス規制をクリアするためには、規制前よりもさらに多くのコスト(お金)がかかってしまう。
一方、125ccクラスはバイクの巨大市場であるアジア諸国において、庶民の足として活躍する”スタンダード”ともいうべきカテゴリー。市場が日本のみの50ccに比べ、世界規模の市場である125ccは、排ガス規制クリアとコストのバランスを取りやすいのが特徴。
排ガス規制をクリアするために125ccクラスは、50ccほどコスト(お金)がかからず、規制対応後の50ccと比べて、現実的な販売価格を実現しやすい。
これが今回の原付排気量見直しの根本的な理由であり、最大のポイント。加えて大きなメリット。ユーザーもメーカーも互いに「WIN(ウィン)=WIN(両者がメリットを得ること)」の関係が築けるわけだ。

「新基準原付」に該当するバイクの特徴

スーパーカブ110をベースにした「スーパーカブLiteコンセプト」。タンデムステップのレス化等を除けば見た目はほぼ同じ。エンジンもスーパーカブ110と同じ空冷4サイクル109cc単気筒OHCで、最高出力を4Kw(5.4ps)以下にデチューン。

2025年10月7日現在、国内メーカーの公式ホームページには、まだ「新基準原付」モデルが未掲載。現行50ccモデルのメーカー在庫の状況次第で、随時新基準原付へとバトンタッチされる模様。

新基準原付の多くは現行の110ccクラスや125ccクラスなどの原付二種モデルをベースに、

・最高出力をダウン
・タンデムステップなど2人乗り機能の排除
・ダブルシートの場合、シングルシートに変更
・スピードメーターの60km/h表示化
・60km/hスピードリミッターの導入
・不法改造(最高出力アップやスピードリミッターカット等)を防止する措置の導入

などを実施するなど、差別化が図られる見込みだ。

なお2025年3月に開催された第41回大阪モーターサイクルショーのホンダブースでは、新基準原付の規格に対応した「スーパーカブLiteコンセプト」が発表された。

既存の110ccモデルや125ccモデルをベースにした新基準原付モデルの誕生は、「車体が大きくなるので運転しづらいのでは?」「シート高が高くなる」等々の意見もあるが、スーパーカブに関しては、50cc版も110cc版も基本的に車体は同サイズなので問題ないといえる。

新基準原付→既存の「時速30km/h規制」「2段階右折義務」「2人乗り禁止」はそのまま継続。交通ルールの変更なし

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新基準原付には、排気量50cc以下時代に規定された

・時速30km/h規制
・2段階右折義務
・2人乗り禁止

を引き続き施行。免許制度、ナンバープレートの色(原付一種は白/原付二種の50cc超〜90cc以下は黄/原付二種の90cc超〜125cc以下はピンク)、自賠責保険料、税額も従来の排気量50cc以下時代と同じ。

「新基準原付の125cc」と「原付二種の125cc」は別物です

なお一部のネットのコメントには、

「もしも原付免許で125ccモデルに乗ったら、事故が増えて危険」
「110ccや125ccに排気量アップされるのだから、自動車への原付免許付帯はやめるべし」

等々の意見もあるが……

「125ccのバイクが原付免許で運転できるようになる」という考えは誤解であり、大きな間違い。

原付免許では“新基準原付”に該当しない110ccや125ccの原付二種モデルは運転不可(小型限定普通二輪免許以上が必要)。これまでと同じく、原付免許で既存の110ccや125ccのモデルの乗車はNGだ。

もしも原付免許で小型限定普通二輪免許以上が必要な原付二種の125ccモデルを運転した場合、無免許運転により罰則の対象となり、仮に事故を起こした時は保険適用対象外となる可能性が極めて高いので要注意。

繰り返すが、新基準原付は便宜上、原付一種の排気量を50cc以下から125cc以下に変更しただけ。エンジン車は最高出力を4kW(5.4ps)以下に制限しているのが特徴。

間もなく登場する110ccや125ccの新基準原付は、小型限定普通二輪免許以上が必要な、110ccや125ccの原付二種モデルとは別物であることを、あらためて強調しておきたい。

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