炎天下に駐車したら液晶が薄くなった??

2000年頃からバイクのメーターにも採用されるようになった液晶ディスプレイ(LCD)メーターパネル。アナログメーターよりコンパクトでデザインの自由度も高くなるため、フル液晶のメーターも多くなった。しかしこの液晶パネル、最近、2000年代のモノクロのタイプのメーターが、表示が薄くなって見えにくくなるという話を聞くことが多くなった。筆者が所有する2013年式の台湾ヤマハ製スクーターRS-Zeroもだんだんと表示が薄くなり、真夏の炎天下に半日停めておいたらほとんど見えなくなってしまった。どうやら紫外線に弱いみたいだ。基本的に分解修理はできない構造なので、メータユニットごとの交換となる。が、並行輸入車なのでパーツの手配がちょっと大変だし、なにより高価になるのでなんとか安く修理したい。人気車種なら中古パーツという手もあるが、日本国内では流通も少ない車種なのでそれも見つからず。ということで、分解修理にチャレンジすることにした。
薄くなった原因は偏光フィルム

液晶パネルの構造は、2枚のガラスに挟まれた液晶層が、電極に電圧をかけることで液晶分子が動いて光の透過率が変化。そのガラスパネルの上下には偏光フィルムを配置してあり、偏光フィルムを通して一定方向の光だけが透過する。偏光フィルムは上下で交差するように配置されているので、液晶層に電圧がかかり液晶の分子が動いた時に、その部分を黒く(フィルムにより他の色にも)表示させている。メーターパネルの液晶が見えにくくなる原因は、この偏光フィルムが劣化している場合がほとんど。筆者のスクーターも本来は白黒反転液晶なので、電源OFF時にはメーターパネルは真っ黒になるはずだが、中央部分は白くなってしまっている。このフィルムを交換すればメーターパネルの表示は正常になるはずだ。
液晶パネルの分解は大変

補修に必要な偏光フィルムはAmazonから入手。小さいサイズなら1000円以内で入手が可能だ。取り外したメーターパネルから外側の樹脂カバーを外し、液晶パネルに貼られた上側の偏光フィルムをスクレーパーで剥がした。フィルムの接着剤がパネル側に残ってしまったので、シール剥がしを使って丁寧に取り除いた。試しにフィルムを剥がした液晶パネルに新しい偏光フィルムを乗せてみたが、中央が白くなっているのは変わらず。内側の変更フィルムも交換が必要だ。液晶パネルと基板との接点にシリコンゴムが使われているメーターもあるが、この車種のメーターは液晶のガラスパネルの端子がしっかりと基板にハンダ付けされている。取り外すには38ヶ所もある端子のハンダを一つ一つ取り除いていかなければならない。機械でキレイにハンダ付けされているのでハンダの量が少なく、取り除くのが難しいので、一旦新たにハンダを持ってからハンダ吸い取り機で取り除いた。ハンダは取り除いたものの、足を固定している接着剤が強力でなかなか取り除けず、グイッと引っ張ったら液晶の端子が1ヶ所折れてしまった。
はっきりくっきり表示で復活
ようやく外れた液晶パネルの裏側も同じように偏光フィルムを取り除く。剥がした偏光フィルムと同じように新しいフィルムをカットして貼り付ける。この時、フィルム側に少量の中性洗剤を混ぜた水をスプレーしておき、フィルムを貼り付けてからゴムベラで擦り付けると気泡が残らずキレイに貼れる。裏側を貼り替えたら液晶パネルを戻し、38ヶ所の端子をハンダ付け。次に表側のフィルムを貼り付けるのだが、この時、裏側と同じ水平方向に貼り付けると黒字に白抜き、クロスする垂直方向に貼り付ければ白地に黒文字の表示となるので、フィルムをカットする時には注意。今回は純正と同じ黒字に白抜き文字になるように同方向にフィルムを貼り付けた。あとは元通りに組み立てれば完成。これで日中でもはっきり文字が読み取れるようになった。分解しての補修はメーカーでは推奨していません。あくまで自己責任でお願いします。














