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今日は何の日?

■大きくなってミディアムSUVとなった3代目CR-V

2006年(平成18)年10月12日、ホンダの都会派クロスオーバーSUV「CR-V」の3代目が発表(発売は翌日)された。1995年にデビューしたCR-Vは、トヨタの「RAV4」とともに都会派SUVの先駆けとなったが、日本よりも欧米で人気が出たことからサイズアップして、ミディアムサイズのクロスオーバーSUVへと変貌した。

ホンダ3代目「CR-V」
2006年にデビューしたホンダ3代目「CR-V」

街乗りからレジャーまで使える都会派SUVのCR-V

1995年にデビューした初代「CR-V」は、Comfortable(快適な)/Runabout(自由に走り回る)/Vehicle(クルマ)のイニシャルを取ってネーミングされた。その開発コンセプトは、セダンのもつ爽快な走りや快適な乗り心地とワゴン並みのスペースユーティリティ、そしてオフローダーの持つ悪路走破性を実現することだった。

初代ホンダ「CR-V」
1995年にデビューした都会派クロスオーバーSUV、ホンダ「CR-V」

街乗りからレジャーまで気軽に使える乗用車感覚のSUVを目指して、スタイリングは“トレッキングシューズ”をイメージして全体のフォルムを構成。パワートレインは、新開発の最高出力130ps/最大トルク19.0kgmを発揮する2.0L 直4 DOHCエンジンと4速ATの組み合わせのみ。駆動方式は、FFとホンダが独自に開発したデュアルポンプ式のフルタイム4WDが採用された。

初代ホンダ「CR-V」
1995年にデビューした都会派クロスオーバーSUV、ホンダ「CR-V」

乗用車感覚で扱いやすいCR-Vは、トヨタ「RAV4」とともにコンパクトな都会派クロスオーバーSUVという新たなジャンルを開拓して大ヒットした。

大きくラグジュアリーになった3代目

ホンダ2代目「CR-V」
2001年にデビューしたホンダ2代目「CR-V」

好調な販売でスタートを切ったCR-V、2001年には正常進化の2代目が登場。2代目は、エンジンにi-VTECを採用して最高出力は158psまで向上し、2.4Lエンジンも加わって力強い走りが実現された。

ホンダ3代目「CR-V」
2006年にデビューしたホンダ3代目「CR-V」

そして、2006年10月にモデルチェンジした3代目は、欧米を意識してラグジュアリーに変貌した。2代目に対して全幅は35mm拡大され、一方で全長と全高はそれぞれ20mm縮小。これにより、ミドルクラスSUVに求められる広々とした室内空間と、ダイナミックでありながらもスポーティさも兼ね備えたスタイリングが実現された。

ホンダ3代目「CR-V」
2006年にデビューしたホンダ3代目「CR-V」のグレード別装備
ホンダ3代目「CR-V」
2006年にデビューしたホンダ3代目「CR-V」のグレード別装備

シャープなヘッドライトと前方にせり出した存在感あるグリル、流線形のサイドウインドウが特徴的で、リアのスペアタイヤをなくして都会的なイメージを強調。インテリアについては、直線基調のシンプルな面構成で落ち着いた立体的なデザインのインパネを採用することによって、機能性と上質感を両立させた。

ホンダ3代目「CR-V」のコクピット
ホンダ3代目「CR-V」のコクピット

パワートレインは、最高出力170ps/最大トルク22.4kgmを発揮する2.4L 直4 DOHC i-VTECエンジンと、5速ATの組み合わせ。駆動方式はFFとフルタイム4WDが用意された。

ホンダ3代目「CR-V」の前後席の居住性、乗降性
ホンダ3代目「CR-V」の前後席の居住性、乗降性

その他にも、追突軽減ブレーキ(CMBS)や、運転席のシートベルトを弱く2〜3回引き込むことで警報を与えるE-プリテンショナー、高速道路での同一車線内における車速・車間を自動制御するインテリジェント・ハイウェイ・クルーズコントロール(IHCC)など、当時の最先端の安全装備が用意された。

ホンダ3代目「CR-V」搭載の2.4L直4 DOHC i-VTECエンジン、他
ホンダ3代目「CR-V」搭載の2.4L直4 DOHC i-VTECエンジン、他

車両価格は、標準グレードで246.75万円(FF)/252.0万円(4WD)に設定。ただし、CR-Vの販売は3代目を迎える頃には徐々に人気に陰りが見え始め、ヒットとはならなかった。

ホンダ3代目「CR-V」のリアビュー
ホンダ3代目「CR-V」のリアビュー

5代目をもって国内販売を終了

CR-Vは、2011年に4代目を迎えたが、2016年にいったん国内販売を休止した。

2018年にデビューしたホンダ5代目「CR-V」
2018年にデビューしたホンダ5代目「CR-V」

しかし、2018年8月には5代目のガソリン車、同年11月にはハイブリッド車で復活を果たした。先代より最低地上高を40mm上げホイールベースも延長。さらにワイドトレッド化と大きく張り出した前後フェンダーにより、重量感のあるイメージとなり、インテリアについてはファブリックシートや本革シートの採用などで上質感が演出された。

2018年にデビューしたホンダ5代目「CR-V」
2018年にデビューしたホンダ5代目「CR-V」

最大の注目は、CR-Vでは初となる2モーターハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-MMD」を採用したハイブリッド車とダウンサイジングターボ車が設定されたこと。ハイブリッド車は、2.0L 直4アトキンソンサイクルDOHC i-VTECを搭載して25.8km/L(JC08モード)の低燃費を、ダウンサイジングターボ車は低燃費と高出力を両立させた。

優れた走りと燃費を両立させた5代目CR-Vはこれまで同様、海外では人気を獲得したが、国内では厳しい販売を強いられ、残念ながら2022年8月に国内販売を終了した。

・・・・・・・・・
CR-Vは、欧米では人気を獲得したが、3代目以降に国内販売の低迷が顕著になった。こうなるとどうしても海外志向となり国内低迷に拍車をかけるという悪循環に陥ってしまう。結果として、人気の「ヴェゼル」と「ZR-V」に後を託して、CR-Vの国内販売を終えることになったのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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