ROLLES-ROYCE GHOST


ロールス・ロイス ゴーストとは
ロールス・ロイス ゴーストは、最高峰の「ファントム」よりもドライバースカー志向のモデルを求める声に応えるカタチで2009年に誕生した。2020年にモデルチェンジが行われ、第2世代に進化を遂げた。現行モデルは2024年にマイナーチェンジを受け、「シリーズⅡ」と呼ばれる。
アルミニウム製の「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー(Architecture of Luxury)」を採用。6.75リッターV12ツインターボエンジンや、路面状態に応じて車両制御を行う「プラナー・サスペンション」などの最新技術を搭載し、加速性能と静粛性を高いレベルで両立している。
デザインは同社が「Post Opulence」(ポスト・オプレンス≒控えめで純粋な美を追求するラグジュアリー)と呼ぶフィロソフィーに基づき、過剰な装飾を排した上質なミニマリズムを特徴とする。
ロールス・ロイス ゴーストの外観・内装




ロールス・ロイス ゴーストの外観と内装は、控えめな美しさと精緻なクラフトマンシップを融合させている。エクステリアとインテリアの両面において、デザイン哲学であるPost Opulenceを具現している。
外観:静謐と威厳を備えたプロポーション
ファントムよりもひとまわりコンパクトでありながら、外観は同様の存在感を放っている。シンプルな面構成のフロントエンドだが、“パンテオングリル”がロールス・ロイスらしいモノリシックな雰囲気を醸し出す。グリルが放つ柔らかいイルミネーションによって、ボンネット上の「スピリット・オブ・エクスタシー」像が浮き上がっているかのようなビジュアルを生む。
リヤ周りでは、コンパクトなテールランプがミニマリズムを象徴している。レンズ内部にはクローム装飾が施された2枚の縦型ライトパネルが収められ、さりげなく刻まれたロールス・ロイスの「ダブルR」モノグラムが印象的だ。
内装:クラフトマンシップの極致
キャビンは最高級のレザー、ウッド、メタルを用い、すべてが手作業で仕上げられる。天体写真からインスピレーションを得た「Illuminated Fascia(イルミネーテッド・フェイシア)」は、星を模した850を超える光がダッシュボード助手席側を照らし、独特の空間を演出する。インテリア各部はBespoke(ビスポーク≒フルオーダーの一点もの)プログラムにより幅広く指定可能で、素材選択や仕立ての自由度はこれ以上にないほど高い。当然、品質も最高級で、見ても触っても究極の上質さが感じられる。
ロールス・ロイス ゴーストのサイズ


ロールス・ロイス ゴーストのサイズは、ラグジュアリーセダンとして圧倒的な存在感を持つ。また、快適性と威厳を両立させるように設計されている。
ボディサイズ:均整のとれた堂々たる車格
ロールス・ロイス ゴーストのボディサイズは、標準仕様で全長が5mを超える5545mm(ホイールベースは3295mm)。「ゴースト エクステンデッド」ではホイールベースを170mm延長し、後席の居住性を高めている。全幅は1998mm(ドアミラー含む2148mm)、全高が1571mmというフルサイズサルーンだ。
室内スペース:比類なき快適性
インテリアのサイズに関する詳細な数値データは公式に発表されていないが、前席・後席ともにエグゼクティブクラスの広さと快適性が確保されているのは明らかだ。エクステリア同様に、ミニマリズムを追求し、装飾を排した落ち着いた空間を形成している。
ロールス・ロイス ゴーストの走行性能・燃費性能

ロールス・ロイス ゴーストは、同ブランドがしばしば表現する“Effortless (≒意識させない)”なドライビングエクスペリエンスという理念に基づいて設計されている。パワートレインからシャシー制御に至るまで、走行性能と静粛性および燃費性能が精密に調律されている点が特徴である。
走行性能:V12エンジンと全輪駆動の調和
6.75リッターV12ツインターボエンジンの最高出力は420kWで、1600rpmから最大トルクの850Nmを発生する。GPSデータと地図情報をもとに最適なギアを選択する“サテライト エイド トランスミッション”が、このパワーを駆動輪へと伝える。前後独立エアサスペンションは、カメラから取得した情報を基に路面状況を予測し、減衰力を自動制御する。さらに、全輪駆動と四輪操舵が安定性と回頭性を両立している。
欧米の主要自動車メディアによる試乗レポートでは、現行ゴーストおよび「Black Badge(ブラックバッジ)」仕様の0–100 km/h加速が約4.7〜4.8秒、最高速度はリミッターにより250km/hと報告されている。これらはメーカー公式発表値ではないが、グローバルメディアによる実測値として広く参照されている。
燃費性能:静粛性と効率の両立
WLTP複合モードでの燃費は約6.7km/L前後(15.8~15.3L/100km)と公表されている。アイドリングストップ機能および熱管理システムを改良し、従来モデルより効率が向上している。効率化は静粛性や快適性およびパフォーマンスを損なわないよう設計されており、発進・減速・巡航などあらゆる場面で滑らかな挙動を維持するよう制御が施されている。
ロールス・ロイス ゴーストの購入価格・維持費


ロールス・ロイス ゴーストの購入価格は仕様やカスタマイズ内容により大きく異なる。維持費についても、一般的なクルマよりは高額になるだろう。
購入価格:唯一無二のパーソナリゼーション
日本市場における参考価格についても公式な情報は公開されていないようだが、今年2月のシリーズⅡ導入時で3800万円台からとされている。ロングホイールベースのエクステンデッドが4400万円台、ハイパフォーマンス仕様のブラックバッジが4600万円台からのようだ。すべての個体はビスポークプログラムにより、顧客の要望に応じて内外装が「一点もの」としてオーダーメイドされる。仕様やオプションの選択内容により、最終的な購入価格は大きく変わる。
維持費:コストに見合った専用サポート体制
維持費は一般車両より高額となるが、ロールス・ロイス専用サービスネットワークによる定期点検、メンテナンスプラン、24時間サポートが提供される。保証期間は4年間で、走行距離に制限は無い。正規サービスでの管理を前提に品質維持を図り、整備や保証の枠組みは車両の性格に合わせて整えられている。ちなみに正規ディーラーであるコーンズ・モータースでは、約15万円で法定12か月点検が受けられる(消耗品や部品の交換等費用は別途)。
| 区分 | 項目 | 年間費用(円) | 備考 |
| 税金・保険 | 自動車税 | 11万 | 6749cc |
| 重量税 | 2万4600 | 重量2.5t超(2年間で4万9200円) | |
| 自賠責保険 | 8825 | 2年分1万7650円 | |
| 任意保険 | 100万 | 4000万円の車両保険に加入した場合の概算 | |
| メンテナンス | オイル交換 | 10万 | 銘柄等により変動。年1回交換と想定 |
| タイヤ交換 | 40万 | 4年で交換と想定 | |
| 消耗品 | 随時 | ブレーキパッド、ブレーキ液、バッテリー等の交換・整備費用 | |
| 日常費用 | ガソリン | 10万 | 年間3000km走行、燃費約6km/L、ガソリン¥200/Lで計算 |
| 駐車場 | 60万 | 都内マンション併設 タワーパーキング想定 (5万円/月) | |
| 合計 | 約230万 | 注)税金・自賠責保険料以外はすべて概算 |
ロールス・ロイス ゴースト モデル解説



現行のロールス・ロイス ゴーストは2020年に登場。ベースモデルから数週間遅れてロングホイールベース仕様のエクステンデッドが発表された。約1年後に、エンジンをパワーアップし外観をスポーティに演出したブラックバッジが市場投入されている。2024年にマイナーチェンジを受け、現在はシリーズⅡと呼ばれる。
ゴースト シリーズⅡ
もっぱらショーファードリブンとして使用されるファントムとは異なり、ロールス・ロイス ゴーストは自ら運転する顧客層も意識して設計され、ドライバーズカーとしての完成度も高い。シリーズIIに搭載される “プラナーサスペンションシステム”は、フロントサスペンションの上部にアッパーウィッシュボーン・ダンパーユニットを組み込んでいる。連続可変電子制御ダンパーおよび自己調整式の大容量エアストラットアッセンブリーと連携して作動し、「マジックカーペットライド(魔法のじゅうたんのような乗り心地)」を実現する。
サスペンションおよびシャシーは、Flagbearer(フラッグベアラー)システムによって補完されている。このシステムは前方の道路をカメラで読み取り、路面の変化に備えてサスペンションを事前に調整する。さらに、サテライトエイドトランスミッションが、GPSデータを用いてコーナーのRに応じた最適なギアを選択する。
これらの技術が統合的に機能することで、ゴーストはどのような路面状況においても最上の静粛性と安定性・敏捷性を両立させ、ロールス・ロイスの哲学であるEffortless Driving Experienceを実現している。
| 項目 | 内容 |
| 発表年 | 2020年(2024年マイナーチェンジ) |
| 全長/全幅/全高/ホイールベース | 5545/1998/1573/3295mm |
| パワートレイン | 6.75リッターV12ツインターボ |
| 総排気量 | 6749cc |
| 最高出力、最大トルク | 420kW(563PS)、850Nm/1600rpm~ |
| トランスミッション、駆動方式 | 8速AT、AWD |
| 車両重量 | 約2.5t * |
| 0-100km/h加速 | 約4.7〜4.8秒 * |
| 最高速度 | 250km/h(リミッター) |
| 新車価格 | 3875万4040円~ * |
ゴースト エクステンデッド シリーズⅡ
ロールス・ロイス ゴースト エクステンデッドは、標準ボディのホイールベースを170mm延長した仕様。後席のレッグスペースを拡大することによって、ショーファードリブン用途に最適化されている。その他のスペックは、基本的に標準仕様に準ずる。
| 項目 | 内容 |
| 発表年 | 2020年(2024年マイナーチェンジ) |
| 全長/全幅/全高/ホイールベース | 5715/1998/1573/3465mm |
| パワートレイン | 6.75リッターV12ツインターボ |
| 総排気量 | 6749cc |
| 最高出力、最大トルク | 420kW(563PS)、850Nm/1600rpm~ |
| トランスミッション、駆動方式 | 8速AT、AWD |
| 車両重量 | 約2.5t * |
| 0-100km/h加速 | 約4.7〜4.8秒 * |
| 最高速度 | 250km/h(リミッター) * |
| 新車価格 | 4480万4040円~ * |
ブラックバッジ ゴースト シリーズⅡ
ロールス・ロイス ブラックバッジ ゴーストは、エンジン出力をアップしたハイパフォーマンス仕様。ボンネット上のマスコット「スピリット・オブ・エクスタシー」の像やパンテオングリル、サイドセクションに取り付けられた「バッジ・オブ・オナー」など、各所をブラッククローム仕上げでダークな色調に統一している。22インチホイールの細身な7本スポーク形状によって大型ブレーキキャリパーの存在感を強調するなど、見た目のスポーティーさも演出している。
| 項目 | 内容 |
| 発表年 | 2021年(2024年マイナーチェンジ) |
| 全長/全幅/全高/ホイールベース | 5545/1998/1573/3295mm |
| パワートレイン | 6.75リッターV12ツインターボ |
| 総排気量 | 6749cc |
| 最高出力、最大トルク | 441kW(592PS)、900Nm * |
| トランスミッション、駆動方式 | 8速AT、AWD |
| 車両重量 | 約2.5t * |
| 0-100km/h加速 | 約4.7〜4.8秒 * |
| 最高速度 | 250km/h(リミッター) * |
| 新車価格 | 4645万4040円~ * |
* 公式な数値が発表されていないため、データは各国の主要メディアからの情報より推測
ロールス・ロイス ゴーストの新車・中古車価格


ロールス・ロイス ゴーストは、内装などの各種素材やオプションなどの選択肢が非常に豊富なビスポークプログラムが用意されており、オーナーのチョイスによって価格も大きく変わる。日本における車両本体の新車価格は4000万〜5000万円が目途となる。正規ディーラーでは認定中古車プログラム “Provenance(プロブナンス)” により、品質保証とアフターサービスが提供される。このプログラムは、ロールス・ロイス・モーター・カーズ本社が定めた厳格な基準に基づき、車両履歴などに関して詳細に確認がとれた車両のみを対象としている。そのほか、中古車市場では初代モデルが1000万円台前半から取引されているようだ。
| モデル | 車両本体価格(税込) | 中古車 |
| ゴースト シリーズⅡ | 3875万4040円~ * | 旧モデル:1000万~ 現行モデル:3000万~5000万 |
| ゴースト エクステンデッド シリーズⅡ | 4480万4040円~ * | |
| ブラックバッジ ゴースト シリーズⅡ | 4645万4040円~ * |
* 同上
ロールス・ロイス ゴーストについて多い質問

以下では、ロールス・ロイス ゴーストについて多い質問に答える。
Q:ロールス・ロイス ゴーストはどこで製造されているか?
ロールス・ロイス ゴーストは、英国ウェストサセックス州グッドウッドに位置するロールス・ロイス・モーター・カーズ本社工場で製造されている。同工場は2003年の開設以来、すべてのロールス・ロイス車をハンドビルド方式で生産している。車体の組立から塗装、内装仕上げに至るまで、職人による手作業が中心である。ゴーストも例外ではなく、製造工程の大部分が熟練工の手により行われる。また、同施設はBMWグループ内の最も高い品質管理基準が適用され、完成車は個別検査工程を経て出荷される。
Q:ロールス・ロイス ゴーストとファントムは、どう違うのか?
ロールス・ロイス ファントムとゴーストは、同じアルミ製のArchitecture of Luxuryプラットフォームを共有しているが、設計思想と構成要素に違いがある。ファントムはブランドの頂点に立つフラッグシップとして、後輪駆動レイアウトと専用設計のアルミ構造を採する。圧倒的な静粛性と威厳を追求したショーファードリブンモデルである。ゴーストはPost Opulenceを理念とした控えめなデザインが施されている。また、全輪駆動と四輪操舵を備えた自ら運転するためのラグジュアリーセダンである。同じ6.75リッターV12ツインターボを搭載するが、制御やチューニングが異なり、ファントムは滑らかさを、ゴーストは応答性を重視している。
Q:ロールス・ロイス ゴーストの信頼性には問題ないか?
ロールス・ロイス ゴーストは、BMWグループの品質基準に基づき開発・製造されている。英国グッドウッド工場でのハンドビルド生産では、出荷前に全車両が個別検査を受ける。搭載されるV12ツインターボエンジンや電子制御システムも、グループ内で検証済みの信頼性を備える。
新車には4年間・走行距離無制限保証が付帯し、正規ネットワークでの点検・部品交換を通じて品質を維持できる。複雑な電子制御を採用するため整備には専門知識を要するが、ロールス・ロイスは専用機器と訓練を受けた技術者を各地に配置している。適切な保守管理を行えば、高い信頼性を保てる設計である。
ロールス・ロイス ゴーストの購入方法

ロールス・ロイス ゴーストの新車は、東京・横浜・名古屋・大阪・広島・福岡のロールス・ロイス・モーター・カーズ正規ディーラーを通じて購入できる。ビスポークプログラムを通じて仕様を細部までオーダーでき、納車前にはグッドウッド本社での最終確認も可能である。購入後はグローバル保証および専用アフターケアが適用される。正規ディーラーでは、ロールス・ロイスのグローバルな品質基準に基づいた認定中古車制度も用意されている。

