元D1GPドライバーのエンジョイドリフトマシン!
セオリー無視で突き進む500ps仕様!
ビビッドなサンシャインイエローのワイドボディに、ボンネットから大胆に飛び出したパイピングとエアクリーナー。その姿から放たれる迫力のドリフトで観る者の度肝を抜くZ33。ステアリングを握るのは、ガレージUG代表の吉岡さんだ。

「このZ33が僕にとって初めてのZです。ドリフトはAE86で始めて、180SXやS15でD1GPにも参戦していました。地元に戻ってからは、ドリフトを気軽に楽しみたいと思い、Z33を選びました。シルビアが高騰していた一方で、Z33は30万円前後と手頃でしたし、横乗りした時に感じたポテンシャルの高さも決め手でしたね」。
こうしてZ33とともに“第二のドリフトライフ”をスタートさせた吉岡さん。しかし想定外だったのは、サーキットで出会う仲間たちの存在だ。のんびり遊ぶつもりが、旧知のD1仲間たちが容赦なく煽ってくる。結果、「このままじゃ応えられない」と一念発起し、パワーアップ計画が始動した。

ネットで見つけたのは、元HKSデモカーのスーパーチャージャー仕様チューンドVQ35DE(GTS8550搭載)。これをZ33にスワップすることから物語は加速していく。


干渉を避けるため、パイピングはボンネットを貫通。深リムを履きこなすため、ブレンボキャリパーをベースグレードの片押しキャリパーに変更。ナンバーなしのサーキット専用マシンだからこそ実現できた、規格外のカスタムだ。
「電子スロットルのフィーリングが気に入らなかったので、Q45用のワイヤースロットルに変更しました。でもどうやってもボンネットに干渉してしまう。公式戦に出る予定もないので、『なら上に出してしまえ!』って(笑)」。


スロットル横に鎮座するエアクリーナーも同じノリだ。もちろん、スロットル横に鎮座したエアクリーナーも同様のノリだ。スワップしたスーパーチャージャー仕様のチューンドVQ35DEをサポートショップのNRクラフトでセッティングしたところ、その数値は吉岡さんの期待値を大きく下回る300ps台後半だった。
プーリー比の変更でブースト圧を1.0キロに引き上げても改善されなかったことから、問題は吸気環境にあると判断し、ボンネット飛び出し仕様のレイアウトに変えて見事500psを達成している。
さらに、OS技研のフルクロスミッションなど豪華な装備を多数搭載。とはいえコスト面も重視しており、326パワーのデモカーを入手して有効パーツを移植。逆に外した純正寄りパーツは従兄弟に譲り、YouTubeでZ33の魅力を発信する活動を続けている。

美しい溶接ビードとカーボンテールが印象的なマフラーも、326パワーのデモカーから移植。電動制御の消音バルブを軽量化のために手動式へ改造し、リヤゲートから直接操作できるようにした。
NA時代はもともと装着されていた車高調でセットアップしていたが、ストローク量やバンプタッチのタイミングなど細かな味付けにこだわって326パワーのチャクリキダンパーを投入。前方へオフセットしたステアリングギヤボックスや調整式アームで、ドリフト時に不足する切れ角を引き上げた。

ホイールは326パワー・ギャングスターディープメッシュで、サイズは前後ともに11Jプラス10×18だ。このディープリムを履きこなすために、フロントのブレンボキャリパーをベースグレードの片押しキャリパーにダウングレードしている。


内張を取り外したインテリアは、ロールケージを取り外すことなくメンテできるようダッシュボード両端をカット。スパルタンな装いのシーケンシャルシフターは、OS技研のフルクロスとともに326パワーのデモカーから移植したものだ。

外観はフロント片側50mm、リア片側80mmワイドのスピリット玲・華艶ボディキット。軽量化を狙ってエスプリ製FRPゲートを装着し、ワークスベリー製ルーバーを組み合わせた。内装を極限まで軽くしてもエアコンは残したが、リヤウインドウレス仕様ゆえ効果は控えめだという。


「Z33はコスパ良く、おもちゃ感覚で楽しめる最高のドリフトベースです。油温が厳しく連続周回は難しいけど、リアタイヤが先に終わるからちょうどいい(笑)。MAXドリフトのナックルやアームも準備していますが、最近はゆるく遊んでるので積みプラ状態です」。
今では“家庭最優先”のライフスタイルへとシフトした吉岡さん。それでも、1年半ぶりに走らせたこのZ33は、かつての情熱を思い出させる完熟のエンジョイドリフトマシンだった。
●取材協力:ガレージUG 島根県松江市東持田町332
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