【Q.】新基準原付は二段階右折をしないと違反?

【A.】50ccと同じ扱いなので取締りの対象

二段階右折とは、片側3車線以上の交差点、または二段階右折の標識がある交差点を右折する場合、いったん左車線を直進し、交差点を渡った先で方向を変えてからさらに直進する右折方法だ。従来、この二段階右折は、バイクの場合、主に50ccなどの原付一種が対象だった。

一方、2025年4月1日から追加された新区分「新基準原付」。これは、最高出力を4.0kW(5.4PS)以下に制限した排気量125cc以下のバイクのことだ。

導入の背景には、2025年11月から適用される新排出ガス規制の影響がある。この新規制の対応が従来の50cc以下のバイクでは難しく、2025年10月末をもって生産終了となるためだ。

新基準原付は、そうした50ccバイクの代わりとして、新排出ガス規制に対応可能な110ccや125ccのバイクを使い、最高出力を4.0kW(5.4PS)以下に制御。性能面を50ccバイクと同等とすることで、運転可能な免許や交通ルールなどを原付一種と同じ扱いにするというものだ。

つまり、新基準原付に適用される法規や交通ルールは、基本的に50ccバイクと同じ。従来ある125cc以下の原付二種バイクが二段階右折が不要なのとは違うので注意が必要だ。

なお、もし新基準原付を運転し、二段階右折が必要な交差点で二段階右折をしなかった場合は、「交差点右左折方法違反」と「信号無視違反」という2つの違反を犯したことになる。それぞれの罰則は以下の通りだ。

【交差点右左折方法違反(原付一種の場合)】
・違反点数:1点
・反則金:3000円

【信号無視違反の罰則(原付一種の場合)】
・違反点数:2点
・反則金:6000円

ここで、疑問なのは、なぜ信号無視違反なのか? 理由は、二段階右折をする場合、通常は前述の通り、最初に走行していた一番左の車線を直進し交差点を通過、右に曲がりたい車線の一番左側の車線で向きを変えて停車。その車線の信号が赤から青に変わるのを待って進む必要がある。ところが、二段階右折をせず、通常の小回りで右折をすると、右折した先の信号はまだ赤信号のため、信号無視違反にもなるということだ。

なお、こうして2つの違反で検挙された場合は、重い方の違反を適用される。この場合は「信号無視違反」となり、上記の違反点数2点、反則金6000円が科せられることになる。

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交通法規上、新基準原付も二段階右折が必要だ

【Q.】新基準原付で2人乗りをすると違反?

【A.】定員外乗車違反で違反点数1点、反則金5000円

原付一種に該当する新基準原付と原付二種では、2人乗りに関しても以下のような違いがある。

【原付一種&新基準原付(50cc以下+125cc以下で最高出力4.0kW以下)】
・2人乗り:不可

【原付二種(50cc超〜125cc以下)】
・2人乗り:可能

2人乗りに関し、原付二種は基本的にOKだが(タンデムステップなど法規で決められた2人乗り用装備がある場合)、原付一種+新基準原付は不可。つまり、同じ排気量110ccや125ccのバイクでも、原付一種バージョンと従来の原付二種バージョンでは、取締りの対象になるのかが変わるのだ。

なお、もし、新基準原付で2人乗りをして捕まると、定員外乗車違反となり、以下の罰則を科せられる。

【定員外乗車違反の罰則(原付一種の場合)】
反則点数:1点
反則金:5000円

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新基準原付は2人乗り不可。同じ110ccや125ccの排気量でも、2人乗りOKの原付二種とは異なる

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現時点(2025年10月10日時点)では、まだ一般ユーザーが購入できる新基準原付のバイクは国内主要メーカーから販売されていない。だが、もし新基準原付の新規機種が発売され、実際に公道を走る場合には、交通ルールや保険など、上記以外にも原付二種と異なる点がかなりある。それらの詳細については、以下リンクの記事で紹介しているので、ぜひチェックしてみて欲しい。

新基準原付に対応した125ccや110ccの最高速は30km/h。従来の原付二種と比較したメリット・デメリット|バイクの法律 | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム

運転できる免許の違い 新基準原付が導入された背景には、2025年11月から適用される新排出ガス規制が関連している。新しい基準値への適合が従来の50cc以下のバイクでは難しく、2025年10月末をもって生産終了となってしま […]

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