EVを先行発売、内燃エンジン搭載車が登場するのはモデルサイクルの後半

ポルシェは現在、「718ボクスター/ケイマン」次期型を開発中だが、BEVモデルのみで発売予定だった718シリーズに、内燃エンジンモデルがラインアップのトップに加わることを発表した。

ポルシェ 718ケイマン ガソリンエンジン スケジュール

ポルシェは過去に、911を928に置き換える構想など、いくつかの失敗を経験しているが、すべて撤回されている。今回は、当初EVのみの計画だった次期ボクスターとケイマンに、内燃エンジンオプションが追加するが、これを利用できるのはごく一部の購入者に限られるということだ。

ポルシェ 718ケイマン EV 次期型 プロトタイプ スパイショット

この見直しは、ポルシェが先週末に投資家向け電話会議で発表したもので、CEOのオリバー・ブルーメ氏は、EV市場の成長ペースがもはや十分ではなく、同社が数年前に構想した電気自動車中心の製品戦略を継続していくには不十分であることを認めたのだ。

このEV市場の鈍化を受け、ポルシェはより多くの内燃機関モデルを組み込む計画を見直しており、そのなかには718ラインアップの「最上位」に位置付けられる「非常にエモーショナルな」派生モデルも含まれる予定だ。

この計画の詳細は明らかにされていないが、ガソリンエンジンが搭載されるのは、ケイマンGT4、GT4 RS、そして718スパイダーの後継モデルと思われ、6気筒ガソリンエンジンを継続する可能性があると考えられる。しかし、通常の718モデルは、ポルシェが次世代スポーツカーを純粋にEVとして構想して以来開発を続けてきた、シングルモーターおよびデュアルモーターの電動ドライブトレーンを採用する。つまり、内燃エンジンを楽しめるのは、ごく一部の購入者に限られるということだ。

しかし、電気自動車プラットフォームを内燃機関に対応させるのは、一朝一夕でできることではない。そのため、この計画発表が遅れていたとみられ、718 EVは2026年にデビュー予定だが、プレゼンテーションスライドによると、内燃エンジン搭載車が登場するのはモデルサイクルの後半まで待たなければならないことがわかった。

今年初めには、ポルシェが新型EVプロトタイプを、現行の内燃エンジン車と同等のハンドリング性能に仕上げるのに苦労していると報じられており、前述のハイパフォーマンスモデルに内燃エンジンが搭載された場合、サーキットでは、EVより速い可能性があるという。

そして、もう一つ重大な決定もなされたようだ。ポルシェは電気SUV計画を撤回することも発表した。マカンはEVのみのラインアップには移行せず、2020年代末までに新しい内燃エンジン/プラグインハイブリッド(PHEV)モデルを投入する予定だ。また、同じくEVとして計画されていたコードネーム「K1」と呼ばれる、新型フラッグシップSUVには、現在BEVバージョンは用意されておらず、代わりに内燃エンジンとハイブリッドエンジンの選択肢が用意される予定だということだ。

これらは、同ブランドにとって膨大なコストと時間を費やすため、かなり重大な決断と言えるが、メルセデス・ベンツやBMWは、人気モデルにそれぞれBEVとガソリンバージョンを用意するなど、完全なEV時代が到来する前の戦略が成功したと言えそうだ。