中国のCFLITEが中南米、アフリカ、ASEANなどの市場に投入しようとしているマシンが250 Dualだ。メインの使い方として想定しているのは混雑した市街地のトランスポーテーションやライトなオフロード走行。オフロードの本気度は高くないのだが、試乗してみて、この方向性は日本にも当てはまるかもしれないと感じた。

CFLITE 250Dualとは


CFLITE DUALは、都市のモビリティとレジャーライディングを再定義するしされている。2025年に発表されたCFLITE 230 Dual とCFLITE 250 Dualの2モデルは、より多くの人がライディングを楽しむことができることが考えられ、手軽で多用途、スタイリッシュなデザインであることが追求された。

同じ排気量帯、同じカテゴリーに似たようなバイクを2台送り込んでくるのは、CFLITEがどれだけアジア、アフリカ、中南米のマーケットを重要視しているかの証明だろう。


今回紹介する250 Dualは、量産前の仕様だ。4段階ある開発過程の3段階目にあり、ここから細かい部分が熟成されて量産車となる。230 Dualが空冷エンジン+ラウンドタイプキャブレターなのに対して250 Dualは水冷エンジン+CVタイプのキャブレターだ。ただしこれも暫定的。2025年9月にメキシコで発表された250 DualにはインジェクションとABSが採用されていたから、本格的に日本に導入されるタイミングでは仕様は変わってくる可能性がある。そのため今回の試乗は参考としてとらえていただきたい。

別記事で紹介しているDual 230とスタイルは似ているけれど、まったくの別物。エンジンだけでなく、フレームや足回り、保安部品にいたるまで共通している部品はほとんどない。


外装は共通かと想いきや230 Dualはタンク下でシュラウドとサイドカバーが分かれているのに対して250 Dualはシュラウドからシート下まで一体。キャリアの形も違う。

エンジンの力強さは好印象


水冷エンジンは、パワフルで力量感があり、高回転まできれいに回ってくれる。CVタイプのキャブレターは扱いにくさもなく、スロットルに対する反応もダイレクト。フィーリングはインジェクションに比べて多少ラフな感じはするものの、これが逆に楽しさにつながっている。もちろん燃費や排ガスの問題などを含めた総合的な扱いやすさではインジェクションに軍配が上がるのだが、様々なステージを走ってみて不満がないし、調教された国産のエンジンとは違った味わいがある。回転が上がるにつれて振動増えてくるけれど気になる感じではない。


トップギアで3000rpmでクルージングしているときでも、そこからスロットルを開けるだけで加速してくれる低速トルクがあり、6000rpmからはパワーの盛り上がって9500rpm付近でレブリミッターが効くところまできれいに回りきる。9000rpmから若干パワーがドロップしてくるけれど、この特性のおかげでタコメーターを見なくてもシフトするタイミングを把握することができる。最近のオフロードバイクにはフライホイールマスが小さめでシャープに回るエンジンもあるが、そこまで詰めた設計はされていないようだ。おかげで80年代頃の元気な単気筒を彷彿させるようなフィーリングになっていて、これが新鮮で面白かった。個人的にこのエンジンはとても気に入っている。

重さを感じるハンドリング


走り出すときに気がついたのは車体傾いている時の引き起こしがとても重く感じたこと。重心位置の関係なのだろう。これが影響しているのかハンドリングは重め。バンクさせたときのステアリングのレスポンスが鈍くて、ワンテンポ遅れで舵角がつく。230 Dualと同様なフィーリングである。

倒立フォークの動きは比較的スムーズで230Dualよりもショック吸収性は高い。230 Dualでは底づきしたような場所でも問題なく走ることができた。リアサスが硬めの設定になっていることや、オフロード性能がソコソコなのも230 Dualと同じなのだが、250 Dualの方がサスペンション性能もエンジンのパワーも上がっているので、オフの走破性は少し高くなっている。

今回の試乗ではオフロードをトレッキングしてストリートも走ってみてわけだが、四輪でいうところのクロスオーバーSUVに相当するバイクなのだなと思った。オフロードも走ることができるけれど、基本的にはストリートでの走りを重視しているのである。この性格を歓迎するライダーは少なくないのではないかと想う。

気になるのは価格だ。230 Dualほど低価格ではないだろう。同クラスの国産や欧州車よりも手頃になるのであれば、それなりに人気になりそうな気もする。最終の量産仕様がどうなるのか。そして日本導入がいつになるか気になるバイクである。

ポジション&足つき(身長178cm 体重76kg)


ポジションは上体が直立していて疲れが少なく、ストリートでマシンをコントロールしやすい。段付きのシートはとても柔らかくて座り心地は良いのだが、シートが前傾しているので走っていると腰が前にずれてくる。


足付きはあまり良くないがフルサイズのオフロードバイクであればこの程度だろう。両足をついた時に踵が軽く着く程度だ。

ディテール解説

フロントフォークは倒立でリーディングアクスル。インナーチューブ径はφ37mm。

 

249cc水冷SOHCエンジンを搭載。8000rpmで18kW、7000rpmで22.5Nmのトルクを発生。

 

キャブレターはCVタイプを使用する。

 

スイングアームは楕円断面。リアタイヤはyuanxingでサイズは120/80-18。

 

フロントブレーキは片押し2ポット。オンロードを走っているときでも制動力は必要十分。

 

水冷のエンジンは振動も少なめ。完成度は高い。

 

リアショックのスプリングは硬めの設定。イニシャルを調整することができる。

 

ステップは振動防振のラバーを装備。オフロード走行の場合はラバーを取り外すことができる。シフトレバーは可倒式。

 

段付きのシートの乗り心地は良好なのだが、座面が前傾していて腰が前にずれていくのが気になった。頑丈なリアキャリアが装備されている。

 

シート下にはバッテリーなどの電装品が収められている。

 

歯切れのよいシングルの排気音を聞かせてくれるサイレンサー。

 

個性的なライトカウル兼メーターバイザー。

 

小型のテールランプやウインカーなど灯火類はLED。。

 

左スイッチボックスは、ライトのオンオフ、ローハイの切り替え、ホーン、ウィンカースイッチを配置している。

 

右スイッチボックスにはキルスイッチとスターターボタンを配置。

 

ハンドルバーは高めなので、ポジションはリラックスしたものになる。ブリッジがないので、ハンドル剛性は低いのだけれど、そのおかげで手に伝わってくる振動は少ない。

 

デジタル表示のシンプルなメーター表示されるのは、速度と回転数、ギアポジションと燃料の残量、距離の積算計とトリップ。

主要諸元

※諸元は海外仕様のものです