
ESUは、普通・急速充電機能と給電機能、DC-DCコンバーター(電圧変換)機能、電力分配機能を統合した、BEVの効率的な電力利用に関わる重要なパワーエレクトロニクス部品で、充電スタンドからの充電、家庭用電化製品への給電、車内の電子機器を動作させるための電力供給などを行う。
豊田自動織機はBEV向けに、これまで充電器とDC-DCコンバーターを一体化した小型・軽量ユニットを供給している。今回は急速充電用に高電圧・高電流に対応したDCリレー、電力を分配するPower Distribution Unit(PDU)、給電機能を一体化した、ESU全体が開発された。同社独自の電流制御方式を世界で初めて適用することで、日本や北米で主流の単相と、欧州を中心に採用されている三相といった、国や地域で異なる送電方式を一つの回路で制御することを可能にし、さまざまな国の家庭用電源からの充電に対応する。
高出力化も実施さっれ、出力7kWから22kWまで、バリエーションを6種類に広げて同時展開することで、車格の異なる多様な車種展開ができるようになり、量産効果によるコスト低減にも貢献する。主要市場でのユーザーニーズに応えるため、北米で最も普及している充電規格「NACS」にも対応する。これらの機能を追加しつつ、構造を最適化することにより、従来に比べ26%の小型化※1も実現されている。
豊田自動織機は1990年代から、ハイブリッド車をはじめとするトヨタの電動車向けに車載充電器およびDC-DCコンバーター、ACインバーターなどを開発・生産し、パワーエレクトロニクス技術を有している。2050年のカーボンニュートラル実現や自動運転、ソフトウエアによる機能向上が可能なSDV※2といった観点からBEV市場は広がりつつあり、パワーエレクトロニクス技術の重要性は一層高まっている。

【注釈】
- 出力性能の向上により、単位出力あたりの容積で26%小型化(単相11kW仕様と比較した場合)
- Software Defined Vehicleの略