洗練されたネオスポーツカフェスタイル
Hondaが誇る4気筒ネイキッド「CB650R」が、2026年モデルでさらなる魅力を放つ。メカニカルな造形美と現代的な機能を融合した“Neo Sports Café”スタイルを磨き上げ、今年は新たに4色のカラーバリエーションを採用した。既存の「マットガンパウダーブラックメタリック」に加え、「マットジーンズブルーメタリック」「キャンディエナジーオレンジ」「グランプリレッド」が登場。いずれも“グラファイトブラックメタリック”のディテールとブロンズカラーのフォーク・ホイールを組み合わせ、上質かつスポーティな印象を強めている。
2019年に登場したCB650Rは、ホンダのネオクラシックデザインの象徴であり、2018年の「CB1000R」や「CB300R」に続く“Neo Sports Café”シリーズの中核を担う存在だ。時代を超える造形と最新技術を融合したこのシリーズは、“アート・メカニカ”というデザイン哲学に基づき、機械構造そのものの美を際立たせてきた。
スタイリングと装備の進化

2024年モデルで刷新された外観は、2026年型でも継続採用されている。コンパクトで筋肉質なプロポーションを維持しつつ、タンクからテールまで流れるラインが精悍な印象を与える。5インチのフルカラーTFTディスプレイは視認性を高める光学接着構造を採用し、スマートフォン連携システム「Honda RoadSync」に対応。音楽再生、通話、メッセージ、ナビゲーションを統合操作でき、ライダーは音声とハンドルスイッチで自在にコントロール可能だ。
シート高は810mmで、快適なライディングポジションを確保。前後ともにフルLED照明を採用し、フロントの独特な丸型ヘッドライトがシリーズのアイコンとして存在感を放つ。車体重量はE-Clutch搭載ながらわずか207kgと軽量で、ダイレクトな操作感と俊敏なレスポンスを実現している。
高性能なシャシーとエンジン特性

フレームはスチール製ダイヤモンド構造を継承。41mm径の倒立フォーク「Showa SFF-BP」やリンク式モノショックを備え、スポーツ走行から日常まで幅広く対応する。前後ブレーキは310mmのフローティングディスクと4ピストンラジアルマウントキャリパーを装備し、高い制動力とコントロール性を誇る。
エンジンは649ccの水冷直列4気筒DOHC16バルブで、最高出力95PS/12,000rpm、最大トルク63Nm/9,500rpmを発揮。ホンダ独自のトラクションコントロール「HSTC」を標準装備し、荒れた路面でも安定した駆動を確保する。燃費はWMTCモードで20.4km/Lと優れ、15.4Lタンクにより約300kmの航続距離を実現。排出ガス規制Euro5+にも適合し、環境性能も抜かりない。A2ライセンス対応の35kW仕様も設定されている。
内部構造にもホンダらしい精緻な工夫が凝らされる。シリンダーには放熱性を高める微細加工を施し、ピストンは摩擦抵抗を低減する非対称設計を採用。軽快な吹け上がりと信頼性を両立した。吸気経路はダブルチャンネル構造とし、スロットルレスポンスを一段と鋭くしている。
革新的なHonda E-Clutchを標準装備

CB650R 2026最大のトピックが、電子制御クラッチシステム「Honda E-Clutch」の標準装備だ。クラッチレバー操作を必要とせず、シフトペダルのみで発進・変速・停止・シフトダウンを可能にする画期的技術である。電子制御ユニットがエンジン回転、スロットル、車速を瞬時に解析し、クラッチの開閉を最適化。発進時のエンストを完全に防ぎ、変速時のショックをほぼ感じさせない。
システム重量はわずか2kgで、クラッチレバーも従来通り残されており、ライダーが手動操作を選択することも可能。シフトフィールは3段階(Soft/Medium/Hard)で設定でき、好みに応じたレスポンスを得られる。街乗りでの快適性と、ワインディングでの直感的な操作性を両立し、ライディングの自由度を新たな次元へと引き上げた。
さらにホンダは、CB650R専用の3種のアクセサリーパックを展開する。外観を高める「スタイルパック」、スポーティさを強調する「スポーツパック」、そして快適性を重視した「コンフォートパック」など、オーナーの個性に合わせたカスタマイズが可能だ。
Honda CB650R 2026は、伝統の4気筒ネイキッドが持つ官能的なエンジンフィールと、E-Clutchによる未来志向の操作性を融合した存在だ。ネオクラシックとテクノロジーの理想的な融合体として、ホンダのデザイン哲学“アート・メカニカ”を体現する新たなマイルストーンと言える。
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