原付二種免許で乗ることができるフルサイズオフローダーがアプリリアRX125だ。上位モデルにひけを取らない装備と車格、高回転型のエンジンはライダーの心を熱くさせる。
Aprilia RX 125 ……498,300円

アプリリアRX125は原付二種でありながら250ccフルサイズオフローダー並の車格と質感を誇るマシンである。細かな部分までしっかり作り込まれていて、上級レベルのバイクと比べても全く遜色がない。フレームはツインチューブタイプで倒立フォークを採用。タイヤはフロント21インチ、リア18インチのフルサイズだ

原付二種でここまで存在感のあるオフロードバイクは国内モデルに存在しない。その理由は生産国イタリアなどEU諸国の免許制度が背景にある。EUではライセンス区分が取得できる年齢によって別れていて、16歳以上で取得できるA1クラスの免許では125cc以下で最高出力が11kw以下であることが定められている。18歳以上になると取得できるA2ライセンスは35kwまで。パワーなどの制限がないAライセンスを取得できるのは20歳からとなっている。

つまりRX125は16歳以上が乗ることができる最上位モデルに該当するのである。
RX125は2018年に登場して以来高い人気を誇っている。少しずつ変更を加えられながら熟成を重ねてきており、2024年11月に開催されたEICMA 2024(ミラノショー)で今回紹介する新型モデルが登場。Euro5+に対応したエンジンとなり、デザインなどがリニューアルされた。


刺激的な高回転型エンジン

DOHC4バルブエンジは高回転型で7000rpmから盛り上がってきて本格的にパワーが出るのは8000rpmくらいから。引っ張れば12,000rpmくらいまで回る。元気に走ろうとすると8000rpm以上を常用することになるけれど、ミッションがクロスしているので、パワーバンドを使い切るのは難しくない。ミッションのタッチも軽くて確実にシフトできるから高回転型エンジンをぶん回し、こまめにシフトして元気に走るのが楽しい。イタリアの10代の若者たちが夢中になっている様子が目に浮かんでくるようだ。絶対的なパワーはそれほど高いわけではないが、この高回転の爽快さは250cc以上のオフローダーにはない楽しさである。
ストリートを走るときは4000rpm前後を常用することになるのだが、この回転でもそれなりにトルクがあるのがこのエンジンの良いところ。もちろん250ccクラスのように加速はしないけれど、交通の流れに乗って走ることは問題なくできるし、ツーリングなどでまったりと走っても苦痛になるようなことはない。ハンドルへの振動は7000rpmくらいから出てくるけれど、辛くなるようなレベルではないのだが、回転が上がると硬めのシートがビリビリと振動する。
安定感の高いハンドリング

ハンドリングはかなり直進安定性を重視していて、パンクさせるとフロントがワンテンポ遅れて舵角がついていくような感じ。125ccとは思えないようなどっしりとしたコーナリングだ。ブレーキもよく効くし車体がしっかりしているからワインディングは楽しい。
オフロードでは長いサスペンションストロークが本領を発揮する。サスペンションの動きがスムーズだから林道で出てくるギャップくらいならものともしない。車体とサスペンションがパワーを完全に上回っている。
登りではコーナーでバンクしているところからスロットルを全開にしてもリアタイヤが滑らせたりすることもできず、あたりまえのことだけれど250のような加速は望めない。「もう少しパワーが欲しい」と思ってしまうのだが、下りは車体の軽さと足回りの良さを活かして相当なペースで走ることができる。ただし、パワーでトラクションをコントロールすることができないので、ペースを上げていったときのマシンコントロールはシビアになってくる。
狭い林道で気になったのはUターンだった。ステムのオフセットが非常に少なくて倒立なので、ハンドルの切れ角が少ないのである。

全体的にクオリティは原付2種としてはとても高い。これで49万8300円という価格設定は魅力だ。誰が乗っても面白いというわけではないだろうが、小型二輪免許のライダーや、セカンドバイクとして維持費が安いバイクを探していて、なおかつ高級感のあるオフローダーに乗りたいというのであれば面白い選択肢になるだろう。更にもうひとつ言えば、イタリア製125ccスポーツバイクの多くに設定されている150ccボアアップキットがRX125にも存在する。つまり150ccキットを組み込んで軽二輪登録とすることもできるわけだ。個人的には150cc化したマシンにはとても興味がある。
ポジョン&足つき(身長178cm・体重76kg)

跨った感じは250フルサイズかそれ以上のサイズ感がある。リラックスしたポジションだが、シートは硬め。

車体が大柄なので足つき性は良くない。両足をつくと踵が少し浮く。ただし車体が軽いので支えるのに苦労することはない。

ディテール解説















主要諸元
