「新基準原付」とは?
新基準原付とは、これまで50cc未満と規定されてきた原付一種最の排気量を、最高出力4.0kW(約5.4ps)以下に制限した125ccまでとする規格である。

ホンダはこの新基準原付に適合した「スーパーカブ110Lite」「スーパーカブ110プロLite」「クロスカブ110Lite」そして「ディオ110Lite」を「Lite」シリーズとして発表、ディオが11月20日に、スーパーカブシリーズが12月11日に発売される。

新基準原付は全国の約3700店の店舗で取り扱い、ディオ110Liteはすでに年間目標販売台数9000台のところ販売店からはすでに6000台の先行受注が入っているという(10月16日現在・ホンダ調べ)。

販売店からの先行受注のため、実際にユーザーがどれくらい求めているのかは不明だが、販売店としてはニーズに対して即納体制を整えておきたいという意向が窺われる。ユーザーに近い販売店がそのように考えているとしたら、ディオ110Liteの潜在的顧客は多そうだ。
ディオ110とディオ110Liteはどこが違う?

ディオ110Liteは基本的にベースとなる原付二種モデルであるディオ110と共通である。新基準原付の規格に合わせた変更点としてはまずエンジン出力が挙げられる。新基準原付の規制(最大4kW)に合わせて3.7kW(5.0ps)・7.6Nm(0.77kgm)とされた。ディオ110の6.4kW(8.7ps)・9.0Nm(0.92kgm)に対しては出力こそ約60%程度に抑えられているがトルクは約85%程度と、規制の無いトルクが重視された特性だのよう。

また、原付(一種)免許で乗れる50ccモデルと比較した場合、最高出力こそ+0.4kw(0.5ps)程度の向上だが、最大トルクに関しては2倍近くになっている。ただ、車体重量がタクトの79kgに対して95kgと16kg増となっているため、この出力差がどこまで日常での取り回しに影響するかはまだわからない。

エンジンそのものはディオ110と共通だが、吸気を絞ってECUで燃調をコントロールして出力を変更している点はスーパーカブ110Liteシリーズと同様の手法だ。
CVT(無段変速機)のセッティングも共通で、プーリーやウエイトローラーなどもディオ110から変更されていないそうだ。ということは、メーカー推奨ではないが、ディオ110の駆動系パーツを使ってチューンも可能と考えられる。

また、新基準原付は出力規制だけではなく原付(一種)の道交法が適用されるため、最高速度は30km/hに制限される。そのためメーターも専用の60km/hスケールのものに変更されている。

加えて、新基準原付は原付(一種)免許扱いなので二人乗りはできない。そのため、タンデムステップは省略されている。
一方で、よりコンパクトな既存の原付一種モデルからの乗り換えも考慮して、専用のローシートを装着してシート高をディオ110より15mm低減。足着き性を向上させているという。



そのため、シート下トランクの容量がディオ110の18Lから17Lへとやや減少しているものの、ジェットヘルメットの収納は可能とのこと(ヘルメットのサイズと形状による)。

また、外観上の違いとしては原付二種に義務付けられているフロントフェンダーの白太線ステッカーとリヤフェンダーの白三角ステッカーが無いこと。ホンダの新基準原付「Lite」シリーズのステッカーをフロントカウルに装着していることが挙げられる。目立たないが、トランスミッションケースに新基準原付である最高出力と型式を記載したステッカーも貼られている。
前後14インチのキャストホイールにフロント80/90-14・リヤ90/90-14サイズのタイヤを装着するのは共通。フロントディスクブレーキとリヤドラムブレーキに、前後連動のコンビブレーキを採用しているのも同様だ。

ちなみにディオ110は上級モデルのディオ110と廉価版のディオ110ベーシックがあり、ディオ110がリモコンキーなのに対しディオ110ベーシックがオーソドックスな物理キーとなっている。ディオ110Liteはベーシックに倣って物理キーを採用している。

荷掛けフックや小物入れ、リヤキャリアやサイドスタンドもディオ110同様に装備されており、ユーティリティでのディオ110との差はほぼ無いと言って良いだろう。
原付二種の車体に原付一種の免許で乗れると思えば?
ディオ110Liteの価格は23万9800円。ディオ110ベーシック(25万800円)からは約1万円ちょっと安い。一方で、原付一種モデルとなると、例えばタクトは17万9300円〜19万2500円なので、その差は約6万円〜4万5000円程度となる。

基本的に共通の車体なのでディオ110に対して割安感が無いのは仕方のないところだが、原付一種モデルとしては価格だけ見るとやや割高な印象を受けてしまう。とはいえ、原付一種モデルより大きめの車体と余裕のある走りは、ちょっと高級な原付一種と考えられなくもない。

クルマもバイクも車両価格が高騰する昨今、出力こそデチューンされているものの、原付二種の車体に原付(一種)免許で乗れると考えればこの価格差も納得できるレベルかもしれない。
| 車名 | ディオ110 | ディオ110Lite | タクト |
| 全長 | 1870mm | 1870mm | 1675mm |
| 全幅 | 685mm | 685mm | 670mm |
| 全高 | 1100mm | 1100mm | 10 35mm |
| シート高 | 760mm | 745mm | 720mm |
| 車両重量 | 96kg | 95kg | 79kg |
| 定員 | 2名 | 1名 | 1名 |
| 最小回転半径 | 1.8m | 1.8m | 1.8m |
| エンジン | 空冷4ストローク単気筒OHC | 空冷4ストローク単気筒OHC | 空冷4ストローク単気筒OHC |
| 排気量 | 109cc | 109cc | 49cc |
| 最高出力 | 6.4kW(8.7ps)/7500rpm | 3.7kW(5.0ps)/5250rpm | 3.3kW(4.5ps)/8000rpm |
| 最大トルク | 9.0Nm(0.92kgm)/5750rpm | 7.6Nm(0.77kgm)/4000rpm | 4.1Nm(0.42kgm)/6000rpm |
| 燃料タンク | 4.9L | 4.9L | 4.5L |
| トランスミッション | CVT | CVT | CVT |
| タイヤサイズ | 前:80/90-14 後:90/90-14 | 前:80/90-14 後:90/90-14 | 前:80/ 100-10 後:80/ 100-10 |
| ブレーキ | 前:ディスク 後:ドラム | 前:ディスク 後:ドラム | 前:ドラム 後:ドラム |
| 価格 | 25万800円〜28万6000円 | 23万9800円 | 17万9300円〜19万2500円 |

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