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今日は何の日?■3代目エクリプスは、スパイダー(オープン)のみ国内投入
2004(平成16)年10月25日、三菱自動車は3代目となる「エクリプス」のオープンモデル「エクリプス・スパイダー」を発売した。北米では3代目クーペが1999年、翌2000年にスパイダーが投入されたが、日本には4年遅れでスパイダーのみが輸入販売されたのだ。

日本で輸入販売された米国生まれのエクリプス
三菱自動車は、重工から独立した1970年にクライスラーと資本提携を締結し、三菱車の一部を米国のクライスラーブランドで販売していた。エクリプスは三菱で設計し、1985年に設立されたクライスラーとの合弁会社「ダイヤモンドスターモーターズ(DSM)」で共同開発し、新設の米国イリノイ工場で生産。1988年からまず米国で、1990年からは日本で輸入販売された。

スタイリッシュな3ドアハッチバックのコンパクトクーペで、グリルレスのリトラクタブルヘッドライト、バンパー一体型のフロントスポイラー、大きく張り出したテールスポイラーなどによってスポーティさを演出。エンジンは、最高出力140ps/最大トルク17.5kgmを発揮する2.0L 直4 DOHCのNA(自然吸気)、205ps/30.0kgmのターボの2機種で、駆動方式はFFに加えて、4WDも用意された。

エクリプスは、スタイリッシュなデザインと高性能な走りで北米では人気を獲得したが、日本では輸入車だったため価格が327万円と高額となり、さらに左ハンドルということもあり人気は限定的だった。
2代目でオープンモデルのスパイダーを追加
エクリプスは1994年に2代目へとモデルチェンジし、日本へは1995年6月に導入された。スタイリングは一新され、リトラクタブルヘッドライトをやめて横長のヘッドライトに変更し、初代よりも曲面を多用したダイナミックなフォルムに変貌した。

パワートレインは、ランエボにも搭載されていた最高出力220psを発揮する2.0L 直4 DOHCインタークーラーターボと、5速MTおよび4速ATの組み合わせ。駆動方式はFFながらパワフルな走りが実現された。

そして、2代目エクリプスデビューの2年後1996年に、限定販売でオープンモデルのスパイダーが追加された。クーペスタイルのルーフを電動トップにしたオープンボディに、クーペと同じ220psを発生する2.0L直4 DOHC インタークーラーターボエンジンを搭載し、トランスミッションは4速ATのみ。電動開閉式のソフトトップは10秒で開閉でき、運転席&助手席エアバックとABSが標準装備された。
当時は、バブル景気が崩壊してスポーツモデルは冬の時代、ベースのクーペの販売は伸びなかったが、個性的なスパイダーは価格288万円/200台限定で販売され、すぐに完売となった。
3代目は、左ハンドルのスパイダーのみ国内投入

エクリプスは、1997年7月に3代目にモデルチェンジして北米でデビューした。通常は、その1年後ぐらいで日本に投入されるが、3代目はしばらく日本へは投入されなかった。日本に投入されたのは、2004年10月のこの日、しかもオープンモデルのスパイダーのみだった。

エクリプス・スパイダーはシャープなスタイリングながら、フロントバンパーから連続して刻まれたドア下部の3本のプレスラインがサイドエアダムと相まってダイナミックさを強調した。
一方でオープンモデルでありながら、ロングホイールベースの特徴を生かしたゆとりの居住空間や、幌収納スペースの小型化で後席の居住スペースにも配慮したパッケージとしている点も見逃せない。先代のスパイダーから継承された電動トップは、簡単なスイッチ操作で爽快なオープンエアドライブが楽しめた。
パワートレインは、最高出力196ps/最大トルク27.2kgmを発揮する可変吸気機構付きの3.0L V6 SOHCエンジンと、マニュアル感覚のシフト操作を可能としたスポーツモード付きのINVECS-II 4速ATの組み合わせ。駆動方式はFFで、パワフルな走りを堪能できる。

車両価格は、単一グレードで315万円のみ。比較的安価な設定だが、目標台数500台を下回る結果となった。
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2000年以降、日本市場ではクーペが売れなくなった。しかもオープンモデルというニッチな市場に、左ハンドルのスパイダーを投入するという思い切った三菱のチャレンジは、マニアックな根強いファンからは歓迎されたはずだ。
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